Dream
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
きっと仕方の無い事なんだ。17歳の俺では、きっと。
この辺りに住んでいるらしいるあき姉ちゃんは、最初は依頼人として萬屋ヤマダに来た。
それからは男ばかりの俺達を気にしてか、たまに家に来てくれたりしていたが、一応料理とか家事は兄弟で分担して上手くやっている。
るあき姉ちゃんは「えらいね」と言ってくれたが、照れくさくて「こんなん普通だろ」なんて返してしまった。
ある時、雑に放置していた2点のテストを見て「私で良ければ勉強教えようか」と笑ってくれた時は、馬鹿で良かった!なんて馬鹿みたいな事を思ったのを覚えている。
るあき姉ちゃんの教え方は先公なんかよりずっと分かりやすくて、実際少しだけ俺の成績は上がった。
じわじわと良くなるテストの点数を見て、るあき姉ちゃんは自分の事のように喜んでくれる。
その笑顔を見るのが大好きで、今日も俺は返却されたテストを大切に鞄に入れて、帰り道をダッシュした。
公園の近くを歩くるあき姉ちゃんを発見し、俺は手を振りながら駆け寄る。
「二郎くん、学校終わったの?」
「うん!見て、るあき姉ちゃん!今日テスト返されたんだけどさ、前より点数上がったんだぜ!」
鞄からテストを出して、るあき姉ちゃんに渡す。その時、左手で受け取ったるあき姉ちゃんの薬指が光を反射して輝いた。
「本当だ、すごく良くなってる。あ、惜しい間違いしてる所あるね。二郎くん、今日は時間ある?間違った所復習しようか」
「…ねぇ、るあき姉ちゃん。その指輪って、前はつけてなかったよね?」
左手薬指で輝いたもの。流石の俺でも知っている。
「あぁ、私ね、結婚するんだ」
予想通りの返事だった。
「そう、なんだ。…おめでとう、るあき姉ちゃん!あ、俺今日サッカーの助っ人行かないとなんだった!ごめん、勉強はまた今度!」
るあき姉ちゃんの手からテストを引ったくって、再びダッシュでその場を去る。
駄目だ、ださ過ぎんだろ俺…。
サッカーがどうのってのは嘘。むしろ、るあき姉ちゃんに会いたくて断って来たくらいだ。
感情のままにしばらく走って、ふと冷静になり速度を落とす。とぼとぼ帰宅し、俺はベッドに倒れた。
あんなに折れないよう綺麗に仕舞った38点のテストは、今俺の右手の中でぐしゃぐしゃになっている。
そこからは分かりやすく俺の成績は下がって行き、久々に2点と再会した頃、るあき姉ちゃんから結婚式の招待状が届いた。
知らない男の名前の隣にある、るあき姉ちゃんの名前を指先で撫でる。
あれからなんとなく会わなくなったが、正直このまま忘れたいような、もう一度会いたいような、自分でもよく分からない気持ちだ。
兄ちゃんも三郎も、るあき姉ちゃんの結婚式に行くらしい。俺だけが行かないのも変だろうし、気持ちの整理がつかないまま参列する事になった。
ウェディングドレスに身を包んだるあき姉ちゃんが、バージンロードを静かに歩いて来る。俺はまばたきも忘れてその姿を追った。
花婿の前に立ったるあき姉ちゃんは、見た事無いくらい優しい笑顔で相手を見詰めている。
その姿があんまり綺麗で、目頭が熱くなった。
─ END ─
【あとがき】
診断メーカーより。
山田二郎と夢主のお話は「きっと仕方の無いことなのだ」で始まり「あんまり綺麗で、目頭が熱くなった」で終わります。
#こんなお話いかがですか #shindanmaker
▶こんなお話いかがですか(外部リンク)
悲恋も書いちゃいます。
2025/02/02
この辺りに住んでいるらしいるあき姉ちゃんは、最初は依頼人として萬屋ヤマダに来た。
それからは男ばかりの俺達を気にしてか、たまに家に来てくれたりしていたが、一応料理とか家事は兄弟で分担して上手くやっている。
るあき姉ちゃんは「えらいね」と言ってくれたが、照れくさくて「こんなん普通だろ」なんて返してしまった。
ある時、雑に放置していた2点のテストを見て「私で良ければ勉強教えようか」と笑ってくれた時は、馬鹿で良かった!なんて馬鹿みたいな事を思ったのを覚えている。
るあき姉ちゃんの教え方は先公なんかよりずっと分かりやすくて、実際少しだけ俺の成績は上がった。
じわじわと良くなるテストの点数を見て、るあき姉ちゃんは自分の事のように喜んでくれる。
その笑顔を見るのが大好きで、今日も俺は返却されたテストを大切に鞄に入れて、帰り道をダッシュした。
公園の近くを歩くるあき姉ちゃんを発見し、俺は手を振りながら駆け寄る。
「二郎くん、学校終わったの?」
「うん!見て、るあき姉ちゃん!今日テスト返されたんだけどさ、前より点数上がったんだぜ!」
鞄からテストを出して、るあき姉ちゃんに渡す。その時、左手で受け取ったるあき姉ちゃんの薬指が光を反射して輝いた。
「本当だ、すごく良くなってる。あ、惜しい間違いしてる所あるね。二郎くん、今日は時間ある?間違った所復習しようか」
「…ねぇ、るあき姉ちゃん。その指輪って、前はつけてなかったよね?」
左手薬指で輝いたもの。流石の俺でも知っている。
「あぁ、私ね、結婚するんだ」
予想通りの返事だった。
「そう、なんだ。…おめでとう、るあき姉ちゃん!あ、俺今日サッカーの助っ人行かないとなんだった!ごめん、勉強はまた今度!」
るあき姉ちゃんの手からテストを引ったくって、再びダッシュでその場を去る。
駄目だ、ださ過ぎんだろ俺…。
サッカーがどうのってのは嘘。むしろ、るあき姉ちゃんに会いたくて断って来たくらいだ。
感情のままにしばらく走って、ふと冷静になり速度を落とす。とぼとぼ帰宅し、俺はベッドに倒れた。
あんなに折れないよう綺麗に仕舞った38点のテストは、今俺の右手の中でぐしゃぐしゃになっている。
そこからは分かりやすく俺の成績は下がって行き、久々に2点と再会した頃、るあき姉ちゃんから結婚式の招待状が届いた。
知らない男の名前の隣にある、るあき姉ちゃんの名前を指先で撫でる。
あれからなんとなく会わなくなったが、正直このまま忘れたいような、もう一度会いたいような、自分でもよく分からない気持ちだ。
兄ちゃんも三郎も、るあき姉ちゃんの結婚式に行くらしい。俺だけが行かないのも変だろうし、気持ちの整理がつかないまま参列する事になった。
ウェディングドレスに身を包んだるあき姉ちゃんが、バージンロードを静かに歩いて来る。俺はまばたきも忘れてその姿を追った。
花婿の前に立ったるあき姉ちゃんは、見た事無いくらい優しい笑顔で相手を見詰めている。
その姿があんまり綺麗で、目頭が熱くなった。
─ END ─
【あとがき】
診断メーカーより。
山田二郎と夢主のお話は「きっと仕方の無いことなのだ」で始まり「あんまり綺麗で、目頭が熱くなった」で終わります。
#こんなお話いかがですか #shindanmaker
▶こんなお話いかがですか(外部リンク)
悲恋も書いちゃいます。
2025/02/02
40/40ページ