Dream
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「む」
「理鶯さん、どうしたんですか?」
端末を眺めて顎に手をやる彼に、私はそう問い掛ける。すると理鶯さんは、私に向き直って淡々と言った。
「明日、左馬刻と銃兎と会うのだが、るあきも来ないか?」
「え、私も?」
たまに彼等三人で集まって、お酒を飲んだり理鶯さんの料理を楽しんだりしているのは知っているが、そこに私が混ざるのはとてもじゃないが恐れ多い。
「折角のお友達との集まりなんだし、私が居ない方が話しやすい事とかあるんじゃないです?」
そう返すと、理鶯さんは面白そうに笑った。
「お友達か。そのお友達が、るあきに会ってみたいと言っているのだが」
聞くと、左馬刻さんが私を連れて来いと言っているらしい。
「ヤクザからの呼び出し…やっぱり理鶯さんとお付き合いを始めた時に、挨拶に行かなかったのが悪かったんでしょうか…」
想像はどんどん悪い方向へ向かって行く。私は無意識に小指をさすっていた。
「何処の馬の骨とも知れない女にうちの理鶯をやれるか、みたいな事言われたりするんですかね…」
「左馬刻だけにか?」
首をわずかに傾げ、真顔でこちらを見詰める理鶯さん。
「馬に掛けたギャグを言った訳ではないです…」
相変わらずの天然振りが、今は少しだけ心を癒した。
そんなこんなで、不安が残ったまま当日を迎えた訳である。目の前に座る左馬刻さんと銃兎さんは、私をじっと見詰めていた。
「こちらが以前話したるあきだ」
「はっ、初めまして。理鶯さんとお付き合いをさせて頂いております、黒椿るあきです。えぇと、本日はお日柄も良く…?」
緊張で早口気味になり、最後は自分でも何を言っているのか分からなくなってしまった。
言葉に詰まっていると、隣に居る理鶯さんにぽんぽんと頭を撫でられる。その様子を見て、銃兎さんが小さく笑った。
「左馬刻の所為で緊張させてしまい申し訳ありません。他人を睨む事しか出来ない男なもので」
その言葉に左馬刻さんは銃兎さんを睨んで舌打ちをし、再びこちらに視線を向ける。
「俺様にどんなイメージ持ってっか知らねぇが、取って食いやしねぇよ」
そう言って、左馬刻さんはお酒が入ったグラスを傾けた。
「私も左馬刻も、理鶯がどんな方とお付き合いしているのか興味があったんですよ」
銃兎さんは優雅にグラスのお酒を飲み、私に微笑み掛けた。
お二人には申し訳無いが、私はなんの面白味も無い一般人である。
左馬刻さんと銃兎さんが私の事をどう思っているのか少しだけ怖くなって、小さく俯いた。
それに気付いたのかは分からないが、理鶯さんは再び私の頭を優しく撫でる。
「二人にるあきを紹介する事が出来て良かった。親睦を深める為、此処は小官が腕を振るうとしよう。何かリクエストはあるか?」
「まじかよ、リクエストもクソもあるか……」
左馬刻さんがいつの間にか煙草を咥えて、何かを呟いた。銃兎さんの笑顔も引き攣っている。
「貴女は理鶯の料理、大丈夫なタイプなんですか…?」
「まぁ、そうですね。蛇が入ったスープとかは結構美味しかったですよ」
そう返すと、左馬刻さんと銃兎さんは目を見開いて驚いた。理鶯さんは、嬉しそうな笑顔を見せている。
「お前、随分と面白ぇ女だな…」
「食の好みが合うのは良い事ですよ…」
理鶯さんは低い鼻歌をうたいながら席を立ち、料理の準備に取り掛かった。
「お二人は、理鶯さんの料理で何が好きなんですか?」
そう質問してみると、左馬刻さんと銃兎さんは顔を見合わせる。しばしの沈黙が私達を包んだ。
「あー、俺様はあれだ、ナントカ煮込み的なやつだ。あれはまだマシだった気が…じゃなくて、美味かったな、ああ……」
「そうですね…私も、あまり覚えてはいないのですが、何かを焼いたものは、気絶せずに食べられたと記憶していますね……」
歯切れ悪く答える二人に疑問を浮かべつつも、理鶯さんの料理が出来上がるまで私達は話に花を咲かせた。
「ふむ。打ち解けているようで安心したぞ」
料理を手に戻って来た理鶯さんに、私は笑顔を返す。
「はい。さっき、理鶯さんの料理の話で盛り上がったんですよ」
「そうか。馬が合ったようで何よりだ」
「ふふ、左馬刻さんだけにですか?」
私と理鶯さんはそんなやり取りをして微笑み合う。
「では、いただきます!お二人もどうぞ。これ、すっごく美味しいんですよ!」
左馬刻さんと銃兎さんの頬に汗が伝うのが見えたが、今日は天気が良く気温も高い所為だろう。
二人に小皿を渡し、私は手を合わせてフォークを握った。
─ END ─
【あとがき】
左馬刻様が出る話では「馬」がつく慣用句を入れたくなります。「左馬刻の耳に念仏」とかもいつか使いたい。
2025/02/02
「理鶯さん、どうしたんですか?」
端末を眺めて顎に手をやる彼に、私はそう問い掛ける。すると理鶯さんは、私に向き直って淡々と言った。
「明日、左馬刻と銃兎と会うのだが、るあきも来ないか?」
「え、私も?」
たまに彼等三人で集まって、お酒を飲んだり理鶯さんの料理を楽しんだりしているのは知っているが、そこに私が混ざるのはとてもじゃないが恐れ多い。
「折角のお友達との集まりなんだし、私が居ない方が話しやすい事とかあるんじゃないです?」
そう返すと、理鶯さんは面白そうに笑った。
「お友達か。そのお友達が、るあきに会ってみたいと言っているのだが」
聞くと、左馬刻さんが私を連れて来いと言っているらしい。
「ヤクザからの呼び出し…やっぱり理鶯さんとお付き合いを始めた時に、挨拶に行かなかったのが悪かったんでしょうか…」
想像はどんどん悪い方向へ向かって行く。私は無意識に小指をさすっていた。
「何処の馬の骨とも知れない女にうちの理鶯をやれるか、みたいな事言われたりするんですかね…」
「左馬刻だけにか?」
首をわずかに傾げ、真顔でこちらを見詰める理鶯さん。
「馬に掛けたギャグを言った訳ではないです…」
相変わらずの天然振りが、今は少しだけ心を癒した。
そんなこんなで、不安が残ったまま当日を迎えた訳である。目の前に座る左馬刻さんと銃兎さんは、私をじっと見詰めていた。
「こちらが以前話したるあきだ」
「はっ、初めまして。理鶯さんとお付き合いをさせて頂いております、黒椿るあきです。えぇと、本日はお日柄も良く…?」
緊張で早口気味になり、最後は自分でも何を言っているのか分からなくなってしまった。
言葉に詰まっていると、隣に居る理鶯さんにぽんぽんと頭を撫でられる。その様子を見て、銃兎さんが小さく笑った。
「左馬刻の所為で緊張させてしまい申し訳ありません。他人を睨む事しか出来ない男なもので」
その言葉に左馬刻さんは銃兎さんを睨んで舌打ちをし、再びこちらに視線を向ける。
「俺様にどんなイメージ持ってっか知らねぇが、取って食いやしねぇよ」
そう言って、左馬刻さんはお酒が入ったグラスを傾けた。
「私も左馬刻も、理鶯がどんな方とお付き合いしているのか興味があったんですよ」
銃兎さんは優雅にグラスのお酒を飲み、私に微笑み掛けた。
お二人には申し訳無いが、私はなんの面白味も無い一般人である。
左馬刻さんと銃兎さんが私の事をどう思っているのか少しだけ怖くなって、小さく俯いた。
それに気付いたのかは分からないが、理鶯さんは再び私の頭を優しく撫でる。
「二人にるあきを紹介する事が出来て良かった。親睦を深める為、此処は小官が腕を振るうとしよう。何かリクエストはあるか?」
「まじかよ、リクエストもクソもあるか……」
左馬刻さんがいつの間にか煙草を咥えて、何かを呟いた。銃兎さんの笑顔も引き攣っている。
「貴女は理鶯の料理、大丈夫なタイプなんですか…?」
「まぁ、そうですね。蛇が入ったスープとかは結構美味しかったですよ」
そう返すと、左馬刻さんと銃兎さんは目を見開いて驚いた。理鶯さんは、嬉しそうな笑顔を見せている。
「お前、随分と面白ぇ女だな…」
「食の好みが合うのは良い事ですよ…」
理鶯さんは低い鼻歌をうたいながら席を立ち、料理の準備に取り掛かった。
「お二人は、理鶯さんの料理で何が好きなんですか?」
そう質問してみると、左馬刻さんと銃兎さんは顔を見合わせる。しばしの沈黙が私達を包んだ。
「あー、俺様はあれだ、ナントカ煮込み的なやつだ。あれはまだマシだった気が…じゃなくて、美味かったな、ああ……」
「そうですね…私も、あまり覚えてはいないのですが、何かを焼いたものは、気絶せずに食べられたと記憶していますね……」
歯切れ悪く答える二人に疑問を浮かべつつも、理鶯さんの料理が出来上がるまで私達は話に花を咲かせた。
「ふむ。打ち解けているようで安心したぞ」
料理を手に戻って来た理鶯さんに、私は笑顔を返す。
「はい。さっき、理鶯さんの料理の話で盛り上がったんですよ」
「そうか。馬が合ったようで何よりだ」
「ふふ、左馬刻さんだけにですか?」
私と理鶯さんはそんなやり取りをして微笑み合う。
「では、いただきます!お二人もどうぞ。これ、すっごく美味しいんですよ!」
左馬刻さんと銃兎さんの頬に汗が伝うのが見えたが、今日は天気が良く気温も高い所為だろう。
二人に小皿を渡し、私は手を合わせてフォークを握った。
─ END ─
【あとがき】
左馬刻様が出る話では「馬」がつく慣用句を入れたくなります。「左馬刻の耳に念仏」とかもいつか使いたい。
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