Dream
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繁忙期を乗り越え、仕事はようやく落ち着きを見せていた。
スマホを手に取り、久々に定時で上がれそうだから会いたいと一二三くんにメッセージを送ってみる。そして仕事に戻ろうと伸びをした時、メッセージの通知音が響いた。
『俺っちもるあきちゃんに会いたい!!!!!』
『家来るよね?何食べたい???』
文章でもテンションの高さが分かる一二三くんへ今の気分で浮かんだメニューを送ると、彼からすぐに返信が届いた。
『OK!楽しみにしてて〜!』
『残りの仕事もがんば!』
『夕方迎えに行くね♡』
『好きだよ、るあきちゃん』
ポンポンと送られて来るメッセージに、思わず頬が緩んでしまう。投げキッスをする猫のスタンプを送ると、同じスタンプが返って来た。
スマホの画面をニヤニヤと眺め、周りに見られないうちに仕事に戻る。その日は予定通り定時で上がる事が出来た。
帰り仕度を調え会社を出ると、こちらに気付いた一二三くんが大きく手を振る。
「るあきちゃん、お疲れ〜!」
「ありがとう、一二三くん。急に会いたいなんて言ってごめんね」
「そんな謝んなし!会いたいって言われて嬉しくない訳無くない!?てか、るあきちゃんにはもっと甘えて欲しいくらいなんだけど!」
仕事の疲れも吹き飛ぶ明るく無邪気な彼の笑顔を見詰め、私はそっと呟いた。
「…じゃあ今日は泊まって行っても良い?一二三くんとずっと一緒に居たい」
「もち!るあき姫の仰せのままに」
そう嬉しそうに言うと、一二三くんは私に向かって左手を差し出す。温かい彼の手を握り、私達は一二三くんの自宅を目指して歩き出した。
「お邪魔します」
「どうぞ〜。お風呂にする?ご飯にする?それとも、俺っちにしちゃう?」
一二三くんは、片目を瞑りながら軽い調子で言う。
「じゃあ、一二三くんにしちゃおうかな」
「まじ?へへ、嬉し〜」
彼はにこにこしながら腕を広げると、私の身体をすっぽりと覆うように抱き締めた。
「るあきちゃん、今日は俺っちがいーっぱいイイコトしてあげる」
そして一二三くんは私の頬に軽いキスを落とすと、再び優しく抱き締める。
私も彼の頬にお返しをしようと背伸びをした所で、盛大にお腹が鳴った。
「あはは、ご飯にしよっか。るあきちゃんが食べたいって言ったやつとか、好きなもの張り切って作ったんだぜ〜」
笑いながらそう言うと、一二三くんは私の頭を撫でてキッチンへ向かった。恥ずかしさを感じつつ、私はダイニングチェアに腰を落ち着ける。
「そういえば、独歩くんは今日も残業?」
「もはや安定の残業って感じだな〜。るあきちゃん来るってメッセージ送ったら、じゃあ今日はせんせーの所にお世話になるって返って来たから、こっちには帰って来なさそ〜」
「そうなんだ。独歩くんにも久し振りに会えると思ってたから、少し残念かも」
そんな会話を繰り広げながら、一二三くんがテーブルに並べて行く料理を見て溜息がこぼれた。
「私がリクエストしたのもそうだけど、どれも美味しそうだね」
「そりゃあ愛情込めて作ったからな〜!どうぞ召し上がれ!」
「ふふ、いただきます」
一二三くんと向かい合わせに座り、他愛の無い会話をしながら食事を始める。どの料理も頬が落ちそうな程美味しい。
「ごちそうさまでした!やっぱり一二三くんの料理は最高だね」
「いつも喜んでくれるから、こっちも作り甲斐あるし!あ、皿はそのままで良いよ。今日は繁忙期を乗り切ったるあきちゃんをめちゃくちゃに甘やかすって決めてっから!」
食べ終えた皿を手に立ち上がった私にストップを掛け、一二三くんは手際良くテーブルの上の食器をまとめ出した。
「片付けは俺っちがやるから、るあきちゃんはお風呂でゆっくり疲れ取って来て」
お言葉に甘えて、彼の部屋に置かせてもらっている自分の着替えを取りに行く。そのままお風呂に行こうとした時、一二三くんに呼び止められた。
「この前るあきちゃんに似合いそうなルームウェア見付けたから、プレゼント!良かったら着てみて欲しいな〜!」
そう言って手渡されたのは、手触りが良いふわふわの白いルームウェア。
「ありがとう…でも、これって高いやつじゃない?私、プレゼントとか何も用意してないのに」
「見返り求めてプレゼントしてる訳じゃないって〜。強いていえば、るあきちゃんの笑顔が見れたら良いなぁって感じ?」
はい行った行った〜、と私の背を押し風呂場へ押し込んで行く一二三くん。
パタンと閉じられた扉をしばし見詰め、次いでルームウェアを見詰める。
ありがたく着用する事が彼への一番のお礼だろう。お風呂上がりの楽しみにしようと、ルームウェアをカゴに入れ服を脱いだ。
広くて綺麗なバスタブには乳白色の湯が張られ、更には薔薇の花弁も浮かんでいる。
「薔薇風呂なんて初めて見た…」
非現実的なひとときを楽しみお風呂を上がると、早速プレゼントされたルームウェアに袖を通す。
触り心地も良かったが、着心地も抜群に良い。広げて見て初めて気付いたが、フードには猫耳が付いていた。
「おかえり〜。お!やっぱそれ似合ってる!めちゃくちゃ可愛い!」
正直この歳で猫耳ルームウェアなんて…と思っていたが、そう言われるとなかなか悪い気はしない。フードを被って出て来れば良かったかも知れない、と少しだけ後悔した。
「ありがとう。ところで一二三くんは何作ってるの?」
「食後のデザート!もうちょいで完成だから待ってて〜」
夕飯同様ダイニングチェアに座って待っていると、一二三くんが完成したデザートを手にやって来た。
「ひふみん特製フルーツパフェ、召し上がれ〜!」
「え、これ一二三くんが作ったの!?」
目の前には、瑞々しい旬の果物が鮮やかに盛られたパフェが置かれた。オレンジは薔薇の飾り切りがされ、苺もハートの形をしていてとても可愛らしい。
「食べるの勿体無い…」
私はスマホを構え、もはやアートの領域に達しているパフェを写真に収めた。向かいに座る一二三くんが映り込もうとして来るのが可愛い。
「結構自信作なんだけど、俺っちがあーんしてあげた方が良さ気?」
勿体無くて未だスプーンを片手に眺めているだけの私に、彼は笑いながら言った。
「それは流石に恥ずかしいよ…うん、いただきます」
ようやくパフェをひとくち頬張る。程よい甘さと酸味が口に広がり、とても幸せな心地だ。
「るあきちゃんのそういう顔見ると、俺っちもめっちゃ嬉しいんだよねぇ」
優しい顔で私を見詰める一二三くんに、改めてお礼を言う。
「一二三くんのお蔭だよ。至れり尽くせりで申し訳無いくらい。本当にありがとうね」
「るあきちゃんは俺っちのお姫様なんだし、このくらい当然!」
先程「繁忙期を乗り切った私を甘やかす」とは言ってくれたが、彼は普段から何かにつけて私に尽くしてくれる。
「さてと、俺っちもそろそろ風呂って来るかな〜」
一二三くんが入浴している間に何か出来る事が無いか考えるも、食べ終えたデザートの食器はいつの間にか片付けられていた。当然、部屋の掃除も行き届いている。そうこう考えている内に、彼がお風呂から上がって来てしまった。
「るあきちゃん、見て見て〜!って、猫耳フード被ってくれてるじゃん!めちゃかわ過ぎるんですけど!?」
そう目を輝かせる一二三くんも、淡いグレーの猫耳を頭に生やして登場して来た。
「もしかして、私のと色違い?一二三くんも可愛いよ」
「へへ〜!折角だし写真撮ろうぜ〜!顔隠しちゃっても良いから!」
彼は流石の自撮りテクで、スマホの画面に二人を収め尚且つ自分が格好良く写る角度で写真を撮って行く。
「よし!せんせーと独歩ちんに自慢しちゃお!」
麻天狼の二人に写真を共有したらしい。程無くして返信が来た。画面を見せてもらうと、寂雷さんと独歩くんもツーショットを送って来ている。
「麻天狼って、意外と可愛いチームだよね」
「一番年上のせんせーが、一番可愛かったりすんだよな〜」
一二三くんは楽しそうに笑った。
「自慢も済んだ事だし、そろそろ寝よっか。睡眠不足はあらゆるものの大敵だかんね」
そして彼と共にベッドへ入る。
美味しい夕飯やデザートに、リラックスしたバスタイム。着心地の良いルームウェアや一二三くんの温もりと、身も心も満たされた今日の私は驚く程早く夢の中へ向かった。
ぐっすりと眠り、朝はすっきりと目を醒ます。久々に質の良い睡眠をとる事が出来た。
隣を見ると、一二三くんは長い睫毛を伏せて眠っている。
その隙に朝食の準備をしようと考え、腰に絡まれた彼の腕をそっと解いた。すると、一二三くんはゆっくりと瞼を開いて私の方を見る。
「あれ…るあきちゃん、おはよー…早いね…」
「おはよう、一二三くん。これから朝ごはん作ろうと思ったんだ」
「え、まじ…?俺っちも一緒に作りたい」
彼は寝起きの目を擦り、身体を起こして思い切り伸びをすると、もう布団から出て着替えを始めた。何度見ても、一二三くんの寝起きの良さは尊敬に値する。
彼に次いで身仕度を調えた私がキッチンへ向かうと、一二三くんはエプロンを身に着け準備万端の様子だった。
「朝は何食べたい?」
「フレンチトーストが良いな。この前作ってくれたの、すごく美味しかったから」
「了解!んじゃあ一緒に作って行こ〜!」
ほとんど一二三くんが進めてくれて完成したフレンチトーストに、私は昨晩のパフェ作りで余ったらしい果物をトッピングした。
食卓につき、手を合わせる。
「今日は何処か出掛けちゃう?」
「ゆっくり買い物とか、あと寂雷さんと独歩くんに会いに行くのも良いかも」
「手土産調達して、せんせーん家に押し掛けようぜ」
フレンチトーストのように甘くてふわふわした朝のひとときを過ごし、私達は早速外出の準備をした。
「ではでは、参りましょうか、るあき姫」
一二三くんが差し出した左手に自分の右手を重ね、シンジュクの雑踏に混ざり行く。ふと目が合った彼は、朝陽に負けない程明るい笑顔を見せた。
「今日も楽しい一日にしちゃうから、俺っちに着いて来てね」
眩しいくらいの笑顔に、私は手を強く握る事で答えるのだった。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「白鉛筆」様よりお借りしました。
2024/12/30
スマホを手に取り、久々に定時で上がれそうだから会いたいと一二三くんにメッセージを送ってみる。そして仕事に戻ろうと伸びをした時、メッセージの通知音が響いた。
『俺っちもるあきちゃんに会いたい!!!!!』
『家来るよね?何食べたい???』
文章でもテンションの高さが分かる一二三くんへ今の気分で浮かんだメニューを送ると、彼からすぐに返信が届いた。
『OK!楽しみにしてて〜!』
『残りの仕事もがんば!』
『夕方迎えに行くね♡』
『好きだよ、るあきちゃん』
ポンポンと送られて来るメッセージに、思わず頬が緩んでしまう。投げキッスをする猫のスタンプを送ると、同じスタンプが返って来た。
スマホの画面をニヤニヤと眺め、周りに見られないうちに仕事に戻る。その日は予定通り定時で上がる事が出来た。
帰り仕度を調え会社を出ると、こちらに気付いた一二三くんが大きく手を振る。
「るあきちゃん、お疲れ〜!」
「ありがとう、一二三くん。急に会いたいなんて言ってごめんね」
「そんな謝んなし!会いたいって言われて嬉しくない訳無くない!?てか、るあきちゃんにはもっと甘えて欲しいくらいなんだけど!」
仕事の疲れも吹き飛ぶ明るく無邪気な彼の笑顔を見詰め、私はそっと呟いた。
「…じゃあ今日は泊まって行っても良い?一二三くんとずっと一緒に居たい」
「もち!るあき姫の仰せのままに」
そう嬉しそうに言うと、一二三くんは私に向かって左手を差し出す。温かい彼の手を握り、私達は一二三くんの自宅を目指して歩き出した。
「お邪魔します」
「どうぞ〜。お風呂にする?ご飯にする?それとも、俺っちにしちゃう?」
一二三くんは、片目を瞑りながら軽い調子で言う。
「じゃあ、一二三くんにしちゃおうかな」
「まじ?へへ、嬉し〜」
彼はにこにこしながら腕を広げると、私の身体をすっぽりと覆うように抱き締めた。
「るあきちゃん、今日は俺っちがいーっぱいイイコトしてあげる」
そして一二三くんは私の頬に軽いキスを落とすと、再び優しく抱き締める。
私も彼の頬にお返しをしようと背伸びをした所で、盛大にお腹が鳴った。
「あはは、ご飯にしよっか。るあきちゃんが食べたいって言ったやつとか、好きなもの張り切って作ったんだぜ〜」
笑いながらそう言うと、一二三くんは私の頭を撫でてキッチンへ向かった。恥ずかしさを感じつつ、私はダイニングチェアに腰を落ち着ける。
「そういえば、独歩くんは今日も残業?」
「もはや安定の残業って感じだな〜。るあきちゃん来るってメッセージ送ったら、じゃあ今日はせんせーの所にお世話になるって返って来たから、こっちには帰って来なさそ〜」
「そうなんだ。独歩くんにも久し振りに会えると思ってたから、少し残念かも」
そんな会話を繰り広げながら、一二三くんがテーブルに並べて行く料理を見て溜息がこぼれた。
「私がリクエストしたのもそうだけど、どれも美味しそうだね」
「そりゃあ愛情込めて作ったからな〜!どうぞ召し上がれ!」
「ふふ、いただきます」
一二三くんと向かい合わせに座り、他愛の無い会話をしながら食事を始める。どの料理も頬が落ちそうな程美味しい。
「ごちそうさまでした!やっぱり一二三くんの料理は最高だね」
「いつも喜んでくれるから、こっちも作り甲斐あるし!あ、皿はそのままで良いよ。今日は繁忙期を乗り切ったるあきちゃんをめちゃくちゃに甘やかすって決めてっから!」
食べ終えた皿を手に立ち上がった私にストップを掛け、一二三くんは手際良くテーブルの上の食器をまとめ出した。
「片付けは俺っちがやるから、るあきちゃんはお風呂でゆっくり疲れ取って来て」
お言葉に甘えて、彼の部屋に置かせてもらっている自分の着替えを取りに行く。そのままお風呂に行こうとした時、一二三くんに呼び止められた。
「この前るあきちゃんに似合いそうなルームウェア見付けたから、プレゼント!良かったら着てみて欲しいな〜!」
そう言って手渡されたのは、手触りが良いふわふわの白いルームウェア。
「ありがとう…でも、これって高いやつじゃない?私、プレゼントとか何も用意してないのに」
「見返り求めてプレゼントしてる訳じゃないって〜。強いていえば、るあきちゃんの笑顔が見れたら良いなぁって感じ?」
はい行った行った〜、と私の背を押し風呂場へ押し込んで行く一二三くん。
パタンと閉じられた扉をしばし見詰め、次いでルームウェアを見詰める。
ありがたく着用する事が彼への一番のお礼だろう。お風呂上がりの楽しみにしようと、ルームウェアをカゴに入れ服を脱いだ。
広くて綺麗なバスタブには乳白色の湯が張られ、更には薔薇の花弁も浮かんでいる。
「薔薇風呂なんて初めて見た…」
非現実的なひとときを楽しみお風呂を上がると、早速プレゼントされたルームウェアに袖を通す。
触り心地も良かったが、着心地も抜群に良い。広げて見て初めて気付いたが、フードには猫耳が付いていた。
「おかえり〜。お!やっぱそれ似合ってる!めちゃくちゃ可愛い!」
正直この歳で猫耳ルームウェアなんて…と思っていたが、そう言われるとなかなか悪い気はしない。フードを被って出て来れば良かったかも知れない、と少しだけ後悔した。
「ありがとう。ところで一二三くんは何作ってるの?」
「食後のデザート!もうちょいで完成だから待ってて〜」
夕飯同様ダイニングチェアに座って待っていると、一二三くんが完成したデザートを手にやって来た。
「ひふみん特製フルーツパフェ、召し上がれ〜!」
「え、これ一二三くんが作ったの!?」
目の前には、瑞々しい旬の果物が鮮やかに盛られたパフェが置かれた。オレンジは薔薇の飾り切りがされ、苺もハートの形をしていてとても可愛らしい。
「食べるの勿体無い…」
私はスマホを構え、もはやアートの領域に達しているパフェを写真に収めた。向かいに座る一二三くんが映り込もうとして来るのが可愛い。
「結構自信作なんだけど、俺っちがあーんしてあげた方が良さ気?」
勿体無くて未だスプーンを片手に眺めているだけの私に、彼は笑いながら言った。
「それは流石に恥ずかしいよ…うん、いただきます」
ようやくパフェをひとくち頬張る。程よい甘さと酸味が口に広がり、とても幸せな心地だ。
「るあきちゃんのそういう顔見ると、俺っちもめっちゃ嬉しいんだよねぇ」
優しい顔で私を見詰める一二三くんに、改めてお礼を言う。
「一二三くんのお蔭だよ。至れり尽くせりで申し訳無いくらい。本当にありがとうね」
「るあきちゃんは俺っちのお姫様なんだし、このくらい当然!」
先程「繁忙期を乗り切った私を甘やかす」とは言ってくれたが、彼は普段から何かにつけて私に尽くしてくれる。
「さてと、俺っちもそろそろ風呂って来るかな〜」
一二三くんが入浴している間に何か出来る事が無いか考えるも、食べ終えたデザートの食器はいつの間にか片付けられていた。当然、部屋の掃除も行き届いている。そうこう考えている内に、彼がお風呂から上がって来てしまった。
「るあきちゃん、見て見て〜!って、猫耳フード被ってくれてるじゃん!めちゃかわ過ぎるんですけど!?」
そう目を輝かせる一二三くんも、淡いグレーの猫耳を頭に生やして登場して来た。
「もしかして、私のと色違い?一二三くんも可愛いよ」
「へへ〜!折角だし写真撮ろうぜ〜!顔隠しちゃっても良いから!」
彼は流石の自撮りテクで、スマホの画面に二人を収め尚且つ自分が格好良く写る角度で写真を撮って行く。
「よし!せんせーと独歩ちんに自慢しちゃお!」
麻天狼の二人に写真を共有したらしい。程無くして返信が来た。画面を見せてもらうと、寂雷さんと独歩くんもツーショットを送って来ている。
「麻天狼って、意外と可愛いチームだよね」
「一番年上のせんせーが、一番可愛かったりすんだよな〜」
一二三くんは楽しそうに笑った。
「自慢も済んだ事だし、そろそろ寝よっか。睡眠不足はあらゆるものの大敵だかんね」
そして彼と共にベッドへ入る。
美味しい夕飯やデザートに、リラックスしたバスタイム。着心地の良いルームウェアや一二三くんの温もりと、身も心も満たされた今日の私は驚く程早く夢の中へ向かった。
ぐっすりと眠り、朝はすっきりと目を醒ます。久々に質の良い睡眠をとる事が出来た。
隣を見ると、一二三くんは長い睫毛を伏せて眠っている。
その隙に朝食の準備をしようと考え、腰に絡まれた彼の腕をそっと解いた。すると、一二三くんはゆっくりと瞼を開いて私の方を見る。
「あれ…るあきちゃん、おはよー…早いね…」
「おはよう、一二三くん。これから朝ごはん作ろうと思ったんだ」
「え、まじ…?俺っちも一緒に作りたい」
彼は寝起きの目を擦り、身体を起こして思い切り伸びをすると、もう布団から出て着替えを始めた。何度見ても、一二三くんの寝起きの良さは尊敬に値する。
彼に次いで身仕度を調えた私がキッチンへ向かうと、一二三くんはエプロンを身に着け準備万端の様子だった。
「朝は何食べたい?」
「フレンチトーストが良いな。この前作ってくれたの、すごく美味しかったから」
「了解!んじゃあ一緒に作って行こ〜!」
ほとんど一二三くんが進めてくれて完成したフレンチトーストに、私は昨晩のパフェ作りで余ったらしい果物をトッピングした。
食卓につき、手を合わせる。
「今日は何処か出掛けちゃう?」
「ゆっくり買い物とか、あと寂雷さんと独歩くんに会いに行くのも良いかも」
「手土産調達して、せんせーん家に押し掛けようぜ」
フレンチトーストのように甘くてふわふわした朝のひとときを過ごし、私達は早速外出の準備をした。
「ではでは、参りましょうか、るあき姫」
一二三くんが差し出した左手に自分の右手を重ね、シンジュクの雑踏に混ざり行く。ふと目が合った彼は、朝陽に負けない程明るい笑顔を見せた。
「今日も楽しい一日にしちゃうから、俺っちに着いて来てね」
眩しいくらいの笑顔に、私は手を強く握る事で答えるのだった。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「白鉛筆」様よりお借りしました。
2024/12/30
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