Dream
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「クソッ、今日も暑ィな。誰の許可得てヨコハマを暑くしてやがる」
太陽相手にも容赦無い左馬刻節を隣で聞きながら、私は顔を手で扇いだ。
「すっかり夏ですね、左馬刻様。夏…サマー…左馬刻サマー!なんちゃって。涼しくなりました?」
「クソイライラして来た」
彼は舌打ちをして煙草を咥える。
「コンビニ寄ってアイスでも買いません?ヤクザってコンビニ入っても大丈夫でしたっけ」
「さっきからなんなんだよるあき。暑さで頭ヤられたか?」
どうやら苛立っているのは暑さの所為だけではなさそうな左馬刻様は、溜息と共に煙を吐き出す。
やがてコンビニに到着しアイスを物色してレジへ向かうと、目出し帽を被った男数人がドタドタと店に入って来た。
「この鞄に店の金全部入れろ!妙な真似はするんじゃねぇぞ!」
「え、コンビニ強盗ですか?ヨコハマ治安悪いですね」
「馬鹿かお前、呑気にレジ並んでんじゃねぇよ」
左馬刻様は私の腕を引っ張って、私を背後に隠すように立つ。
「とりあえず警察?銃兎さんに直接電話した方が早いですかね?理鶯さんにも連絡しておきます?」
「む、小官がどうした?」
背後からいきなり理鶯さんの声がした。驚きで叫ぼうとすると、彼の大きな手で口を塞がれる。
「今此処で大声を出すのは危険だ。安心しろ、警察も直に到着する頃だろう」
あの強盗達は他のコンビニも巡って来たのだろうか。それを理鶯さんと警察が追い掛けていた?
よく分からない展開だが、ヨコハマに居る以上は何があってもおかしくは無いのだろう。
直に来るという警察を待っていると、店員が店の金を鞄に詰め込み終えてしまった。
強盗達が鞄を手にして逃走しようとした時、ようやく外からけたたましいサイレンが響き渡る。
「サツが来やがったか。こうなったら…」
強盗達はヒプノシスマイクを掲げて警察を煽り出した。
「こいつでお前らもコンビニもぶっ壊してやる!」
「やれやれ。誰を相手にそんな事を言っているのですかねぇ」
そう言いパトカーから降りて来たのは、ヒプノシスマイクを構えた我等がウサちゃん、入間銃兎巡査部長だ。
「MAD TRIGGER CREWの入間銃兎!?」
「ヨコハマ代表といえどそっちは一人だ!多勢に無勢で何が出来る!」
そう叫ぶ強盗達に、左馬刻様が指の関節を鳴らしながら言った。
「カイガラムシ共、俺様のシマでイキんのも大概にしろよ」
「いま降伏すれば貴殿等の無事は保障しよう」
理鶯さんは無益な争いはしないとでも言うように、腕を組んで静かに言った。
「なっ…!碧棺左馬刻に毒島メイソン理鶯だと!?」
「全員揃ってるなんざ聞いてねぇぞ!」
狼狽えた様子の強盗達だったが、マイクは強く握り締めたままである。
「今更引き返せるか!行くぞ!」
ヒプノシスマイクを起動させた強盗達を見て、左馬刻様も叫んだ。
「てめェ等も行くぞおら!」
「ああ」
「承知した」
MAD TRIGGER CREWの三人もマイクを起動させ、強盗達と向かい合う。
「アイス溶けちゃうので早めに片付けちゃってください」
「秒で片付けてやんよ」
その言葉通り秒で強盗達を制圧した彼等にハイタッチを求めるも、律儀に返してくれたのは理鶯さんだけだった。
「優しい…。そういえば理鶯さんと街中で会うのは珍しいですね」
「そうだな。時折こうして街へ来るのだが、偶然逃走する強盗を見掛けたので追っていた」
理鶯さんは正義感溢れる人だ。とても格好良い。
「街での目的は達成出来ました?まだでしたら私達がお供しますよ。ね、左馬刻様」
「ありがたい申し出だが既にミッションは達成している。だがそうだな…折角なので早速手に入れた物を使って、るあき達に小官の料理を振る舞おう」
「わぁ!理鶯さん、料理出来るんですか!頂きます!」
喜ぶ私とは反対に、左馬刻様と銃兎さんの反応は悪かった。
「とても残念ですが、私は署に戻らないといけませんので失礼します」
「おい銃兎逃げる気か!」
「左馬刻様、何をそんなに焦ってるんですか」
ドスの利いた声で銃兎さんを呼び止める左馬刻様に聞いてみると、彼は舌打ちを響かせる。
「…世の中には知らねぇ方が良い事もあんだよ」
極道の世界に身を置く彼が言うと妙に説得力の有る言葉だが、質問の答えとしてはイマイチである。
そんなやりとりをしている間に、銃兎さんはパトカーに乗って行ってしまった。
「では小官のベースへ向かおう。銃兎は仕事ならば仕方無い。全員で食事を共にするのは、またの機会だな」
「今日は強盗犯を倒した記念のパーティーですね!」
私と左馬刻様は二人並んで、先を歩く理鶯さんに着いて行く。
左馬刻様の顔色が悪い理由を知るのは、真夏の太陽が顔を隠し月が静かに森を照らす頃だった。
─ END ─
【あとがき】
ヨコハマの誰かの話を書こうとすると他のメンバーも出て来てしまうので、三人でわちゃわちゃしてる所が好きなのかも知れません。
2024/08/14
太陽相手にも容赦無い左馬刻節を隣で聞きながら、私は顔を手で扇いだ。
「すっかり夏ですね、左馬刻様。夏…サマー…左馬刻サマー!なんちゃって。涼しくなりました?」
「クソイライラして来た」
彼は舌打ちをして煙草を咥える。
「コンビニ寄ってアイスでも買いません?ヤクザってコンビニ入っても大丈夫でしたっけ」
「さっきからなんなんだよるあき。暑さで頭ヤられたか?」
どうやら苛立っているのは暑さの所為だけではなさそうな左馬刻様は、溜息と共に煙を吐き出す。
やがてコンビニに到着しアイスを物色してレジへ向かうと、目出し帽を被った男数人がドタドタと店に入って来た。
「この鞄に店の金全部入れろ!妙な真似はするんじゃねぇぞ!」
「え、コンビニ強盗ですか?ヨコハマ治安悪いですね」
「馬鹿かお前、呑気にレジ並んでんじゃねぇよ」
左馬刻様は私の腕を引っ張って、私を背後に隠すように立つ。
「とりあえず警察?銃兎さんに直接電話した方が早いですかね?理鶯さんにも連絡しておきます?」
「む、小官がどうした?」
背後からいきなり理鶯さんの声がした。驚きで叫ぼうとすると、彼の大きな手で口を塞がれる。
「今此処で大声を出すのは危険だ。安心しろ、警察も直に到着する頃だろう」
あの強盗達は他のコンビニも巡って来たのだろうか。それを理鶯さんと警察が追い掛けていた?
よく分からない展開だが、ヨコハマに居る以上は何があってもおかしくは無いのだろう。
直に来るという警察を待っていると、店員が店の金を鞄に詰め込み終えてしまった。
強盗達が鞄を手にして逃走しようとした時、ようやく外からけたたましいサイレンが響き渡る。
「サツが来やがったか。こうなったら…」
強盗達はヒプノシスマイクを掲げて警察を煽り出した。
「こいつでお前らもコンビニもぶっ壊してやる!」
「やれやれ。誰を相手にそんな事を言っているのですかねぇ」
そう言いパトカーから降りて来たのは、ヒプノシスマイクを構えた我等がウサちゃん、入間銃兎巡査部長だ。
「MAD TRIGGER CREWの入間銃兎!?」
「ヨコハマ代表といえどそっちは一人だ!多勢に無勢で何が出来る!」
そう叫ぶ強盗達に、左馬刻様が指の関節を鳴らしながら言った。
「カイガラムシ共、俺様のシマでイキんのも大概にしろよ」
「いま降伏すれば貴殿等の無事は保障しよう」
理鶯さんは無益な争いはしないとでも言うように、腕を組んで静かに言った。
「なっ…!碧棺左馬刻に毒島メイソン理鶯だと!?」
「全員揃ってるなんざ聞いてねぇぞ!」
狼狽えた様子の強盗達だったが、マイクは強く握り締めたままである。
「今更引き返せるか!行くぞ!」
ヒプノシスマイクを起動させた強盗達を見て、左馬刻様も叫んだ。
「てめェ等も行くぞおら!」
「ああ」
「承知した」
MAD TRIGGER CREWの三人もマイクを起動させ、強盗達と向かい合う。
「アイス溶けちゃうので早めに片付けちゃってください」
「秒で片付けてやんよ」
その言葉通り秒で強盗達を制圧した彼等にハイタッチを求めるも、律儀に返してくれたのは理鶯さんだけだった。
「優しい…。そういえば理鶯さんと街中で会うのは珍しいですね」
「そうだな。時折こうして街へ来るのだが、偶然逃走する強盗を見掛けたので追っていた」
理鶯さんは正義感溢れる人だ。とても格好良い。
「街での目的は達成出来ました?まだでしたら私達がお供しますよ。ね、左馬刻様」
「ありがたい申し出だが既にミッションは達成している。だがそうだな…折角なので早速手に入れた物を使って、るあき達に小官の料理を振る舞おう」
「わぁ!理鶯さん、料理出来るんですか!頂きます!」
喜ぶ私とは反対に、左馬刻様と銃兎さんの反応は悪かった。
「とても残念ですが、私は署に戻らないといけませんので失礼します」
「おい銃兎逃げる気か!」
「左馬刻様、何をそんなに焦ってるんですか」
ドスの利いた声で銃兎さんを呼び止める左馬刻様に聞いてみると、彼は舌打ちを響かせる。
「…世の中には知らねぇ方が良い事もあんだよ」
極道の世界に身を置く彼が言うと妙に説得力の有る言葉だが、質問の答えとしてはイマイチである。
そんなやりとりをしている間に、銃兎さんはパトカーに乗って行ってしまった。
「では小官のベースへ向かおう。銃兎は仕事ならば仕方無い。全員で食事を共にするのは、またの機会だな」
「今日は強盗犯を倒した記念のパーティーですね!」
私と左馬刻様は二人並んで、先を歩く理鶯さんに着いて行く。
左馬刻様の顔色が悪い理由を知るのは、真夏の太陽が顔を隠し月が静かに森を照らす頃だった。
─ END ─
【あとがき】
ヨコハマの誰かの話を書こうとすると他のメンバーも出て来てしまうので、三人でわちゃわちゃしてる所が好きなのかも知れません。
2024/08/14
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