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南雲先輩ってどんな人ですか?

【七色の経験】


 よ〜、お疲れさん。おまえも大変だなぁ、毎日学院とESを往復してるんだろ? まあそれは先輩であるあいつも一緒か。頑張る学生には好きなものを奢ってやろう。……ここには自販機しかないけどな〜。遠慮すんなって。機嫌の良い『上司』に気前よく奢られるのも仕事の内だぜ?
 南雲は……騒がしいやつだよなぁ。五月蝿さに関しては守沢と負けず劣らずだな。最近はP機関のせいで教師としてはほぼ学院に行けてないけど、1年の頃はよく怪我をこさえては保健室に来てたよ。レッスンで初めて青痣つくった時は守沢が真っ青な顔して連れてきてな……はは、真剣な本人には悪いけど結構面白かったよ。南雲? そりゃ心底面倒そうな顔してたよ。あいつの反抗期は別に今に始まったことじゃないってことだな。
 でも騒がしいだけじゃなくて――意外と察しが良いのが不思議なところだよな。勘が良いのかねぇ? ピンピンしてる友達連れてきたと思ったら大抵熱があったり、見えにくいところに怪我してたりしてたからこっちが驚いたもんだ。……ああ、確かに周りをよく見ているのかもな。それでいて、おかしいと思ったら保健室に引っ張っていく強引さもある。正に『ヒーロー』ってことだな。
 俺はもうとっくに芸能界から身を引いたただの事務員のおっさんだけど――最近の子は大変だね〜? 事務所の大人たちは好き放題子搾取しようとしてくるから……あいつらは今一生懸命戦ってる真っ最中だ。俺もP機関の一員としてぼちぼち頭を突っ込んではいるんだけど、中々上手くいかないもんだな。……って、なんか愚痴っぽくなっちゃったな。でもあいつらなら――とんでもないことを仕出かしてくれるって俺は信じてるよ。それは勿論南雲だってそうだ。もしブラックが嫌ならレインボーなんてどうだ? ――――なんてな、ただのおっさんの冗談だよ。


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【七色の隣】


 お疲れ様です。きっちり10分前ですね。社会人においては遅刻しないのは当たり前ですが、逆に早く来過ぎてしまうと相手方の迷惑になります。なのであなたが今日来た時間くらいが理想ですね。自分が待つ側ならばまた話が変わってきますが――と、今日はあなたに講釈を垂れる日ではありませんでした。時間に余裕がある訳でもないですし早速始めましょうか。
 南雲くんは――いえ、すいません。彼のことを思い出すと自然とテストの悲惨な点数を思い出してしまいまして。ええ、お世辞にも頭が良いとは言えません。努力しているのは認めますが……それが身を結んでいるかはまた別です。……あなたが申し訳ない顔をする必要はありません。彼の方が1年上なのですから勉強を教えるのも無理な話でしょうし。――ああでも、最近は少しずつ良くなってるようで同僚たちがほっとした顔をしていましたよ。我々だって何も留年させたくて赤点を決めている訳ではありませんからね。アイドルは容姿さえ恵まれていれば良いというのは昔の話。色々なものを人々が求める時代ですから、最低限の学力を身に付けておかなければこの世界で長くやっていけないでしょう。そのためにも私は真摯に彼らと向き合ってきたつもりです。
 アイドルという面においては、パフォーマンスが得意な子ですね。空手部で培った経験によって繰り出される蹴りと突きは、男性アイドルに慣れたファンでも物珍しいと思われるでしょう。それだけで彼は少し得をしています。まず覚えられることが大事ですからね。失敗を恐れず堂々と振る舞う姿も好感を得られるポイントです。意外と、人は他人の様子をきちんと見ていますから。
 欠点を上げればキリがないですが――誕生日祝いの企画ということですし今日は止めておきましょう。改めて南雲くん、誕生日おめでとうございます。君たちが輝き、望んだ道を進むことが私たち夢ノ咲教師陣の最大の喜びです。どうかこれからも頑張ってくださいね。
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