斜堂先生とオカルトくノ一女生徒


「――私の名は六道輪廻……この刀で悪霊や怪異を斬り祓う旅をしている者です」

 着流しにひとつにくくった髪、左目には縦一文字に走る傷がある四十路、浪人風の男は、そう言って自身が持っていた刀を見せる。
 随分と古びた刀だが、柄の部分には色鮮やかな数珠を長く繋げたような飾りが巻いてあり、彼が口にした「斬り祓う」という言葉からするに、ただの刀剣ではないということを意味しているように見えた。

 学園内の応接間――六道、と名乗った彼と向き合うように座っていたのは、斜堂という教師だけではない。
 隣には黒髪を綺麗に切り揃えたくノ一教室の生徒――墓乃上みつよの顔からは、普段から明るく振りまいている笑顔というものが失せていた。

――事の始まりは授業が終わった夕刻、職員室にて担当クラスで行ったテストの採点をしている時だった。

「あのー、斜堂先生、ちょっといいですか?」

 そう言って戸を開けたのは学園の事務員である小松田だった。
 相変わらず気の抜けるような口調ではあるものの、困惑しているという様子で斜堂に訊く。「えっと……たしか斜堂先生によく懐いてるくノ一教室の……誰だっけ、」

「幽霊が見えるっていう子、いたじゃないですか?」

「墓乃上さんのことですか?」

「あ、そうそう墓乃上さん! 今なんか正門の所にその子の保護者だっていう人が来てるんですけど、墓乃上さんを出せ、連れてこいって言って聞かないんですよねぇ」

 困ったなぁと眉を下げる小松田からの話に、墓乃上という生徒をこの学園の中で一番よく知っている斜堂も困惑していた。

 彼女の生い立ちというものはとてつもなく奇っ怪なものだ。
 実の親は死んだのか、行方知れずになったのか、とにかく親という存在が無かった彼女の面倒を見、人間として最低限困らぬようにと読み書きや生きる知恵を授けたのは、彼女が住んでいた墓場にいる幽霊たちだったという話を墓乃上本人から聞いていた。

 反対に、墓場に住んでいた頃は人間が嫌いだったとも言っていた。
 なにも悪いことをせずとも、ただただ一方的に不気味だ、縁起が悪い、と避けられ、時には街を歩いただけでも塩をぶつけられることもあったという。

 そんな彼女に、わざわざこの学園まで訪ねてくる「人間の保護者」なんていたのだろうか――分かりました、私が行きましょう、と困っている事務員の彼に返し、その「保護者」がいるという正門まで向かうと、なにやら強く言い合う声が聞こえる。

「あ、斜堂先生……! 大変です、墓乃上先輩が……」

 正門での言い合いを実際に見てしまったのか、泣きそうな顔で慌て、自身に駆け寄ってきた自分の担当クラス、一年ろ組の良い子たちは口々に大変だ、どうしようと言うものだから、斜堂自身が抱える困惑は隠し、彼らへ落ち着いた口調で返す。「大丈夫ですよ、」

「先生が今からちょっと様子見て来ますから……みなさんは心配しなくて大丈夫、安心してくださいね」

 未だ様子を直接見たわけではないので、なにが大丈夫なのか斜堂本人も分かってはいない。が、だからといってこの幼い生徒たちを宥めるにはこう言うしかなかった。
 実際、信頼を寄せている教師からその言葉を聞いた生徒たちはお互い顔を見合わせると、「すみません、斜堂先生」と一礼する。

「……どうか、墓乃上先輩を止めてあげてください」

 その言葉を残して校舎へ駆けていく生徒の言葉に首を傾げる。
 止めてあげる、というのはどういう意味だろう――しかしその疑問の答えはすぐに分かった。

 正門にていたのは墓乃上と、着流しに刀を下げた男のふたりだけ。
 しかし驚いたのは、体格差もいとわずその「保護者」を名乗る男の胸ぐらを掴み、普段の明るく温厚な態度とは一転、怒りに染まった低い声で彼を問い詰める墓乃上の姿だった。「どういうつもりだ、」

「こんなところにまで来やがって……! なにしに来やがった!」

「そりゃあお前、怪異が悪さしてないかどうか気になるだろうがよ、一応これでも霊媒師なんだから」

「刀がないとロクに視えない奴がなに言いやがる! お前は霊媒師じゃない!」

 普段は頑張って拙い敬語を話す彼女の口から出る、粗暴で、乱暴で、敵意しかない罵声も効かず、といった態度で、男は軽く彼女の手を解くと、情けないことにあまりの事態にあっけに取られていた斜堂を指差した。

「あーあ、引かれてやんの」

 そのからかう一言に向かい、誰がどう見ても感じる鋭い殺気と共に墓乃上が振りかぶった手には苦無が握られていた。「――はっ……!」

「は、墓乃上さんっ、ダメです、一般人に向けては……! 一旦、一旦離しましょう!」

 既のところで彼女の細い腕を掴み、その苦無が血に濡れることを止める。が、いつもは素直なはずの彼女は苦無を握る手を一向に緩めない。「斜堂せんせー!?」

「嫌です、止めないでください、これは私とこいつとの因縁なんです!」

「し、しかし墓乃上さん……! 私たちが日頃教えているのは忍術です、私怨で人を傷つける暴力じゃありません……!」

「っ……!」

 ほんの僅かな沈黙、そして日頃から親愛している斜堂の言葉が届いたようで、その捕らえられた手はやっと苦無を落とした。「……一年ろ組のみんなが心配してましたよ、」

「どうか止めてあげてくださいって」

「…………」

 斜堂という第三者が割り入ったことで多少血の気も引いたのか、彼女はすみません、と小さく呟いた。

「へぇ、お前が人間の言うこと聞くようになったなんてなぁ。いやぁ、怪異も丸くなったもんだなぁ」

 墓乃上の態度とは対象的に軽く笑う彼に、今度は斜堂が問いかける。「……あなたは?」

「本当にこの子の保護者なんです?」

 自身に向けられる疑いの視線に降参したとでも言わんばかりに、両手を肩まで上げてはあいも変わらず軽薄な口ぶりで答える。

「えーっと……しゃどー先生、だっけ? 大の大人がふたり揃ってずっと立ち話してるわけにはいかんでしょう?」



 応接間にて六道輪廻と名乗った彼は、先程彼に向かい躊躇いなく苦無を振りかぶった墓乃上を指差す。

「なにも難しい話じゃあないですよ。私は怪異を斬る霊媒師、こいつは怪異、だから遠路はるばるここまで斬りに来たっていう単純な話です」

「怪異だなんてそんな……墓乃上さんは人間ですよ? うちの生徒なんですから」

「はかのうえ?」

 斜堂の言葉に聞き返す六道を前に、彼女はひとつ舌打ちしては苦虫を潰したどころか飲み込んだかのような顔で答える。「私の名前ですヨ」

「人間として生きていくのに必要だから、ってみんなが考えてくれたんですヨ」

「みんなってあの墓場にいた連中か? というか怪異、お前いつの間にそんな喋り方になったんだ? まるであの墓場にいた南蛮人の幽霊の……えっと、なんだっけ」

「ガクシャさん」

「そう、学者だ! なんだよ怪異、あいつに教わったのか? あいつ日本人より日本語うまかったもんなぁ」

 六道の話に苛立ちながら答える墓乃上に、そんな様子も構いやしない六道――話を聞く限りでは、墓乃上が「墓場に住む幽霊たちのお嬢さま」だった時からの知り合いなのは間違いなさそうだが、しかし怪異だの斬るだの、到底保護者から出るとは思えない不穏な話に、気が気じゃなかった。「あのー……」

「すみません、そもそも『怪異』とは一体……」

「え、ああ、そういや言っていませんでしたね、失敬失敬。まぁ簡単に言うと、悪霊の上位互換……恐怖というある種の信仰を集め、人間を恨み、呪い、祟り、物理に干渉できるようになった存在……ですかねぇ」

「でしたら、墓乃上さんが怪異というのはなにかの間違いではないでしょうか?」

 ねぇ墓乃上さん、と隣にいる彼女へ訊くと、本来ならば強く否定すべき本人であるはずの彼女自身が、意外なことを答える。

「別に間違ってはないですヨ」

 ただし、それは昔の話です。その言葉とともに彼女は立ち上がると、六道の前に立っては落ち着いた声で彼を見下ろす。「――六道さん、」

「私は『墓乃上みつよ』という人間として、この学園で立派なくノ一になります。かつて怪異だった私は……墓場を置いて、この学園へ向かおうと歩き出したあの夜に死にました。もう放っておいてください」

「……なにがあったかは知らねぇけど、人間ごっこも大概にしとけよ。また痛い目見るのはお前だぞ? 人を傷つける悲しい悪霊になる前に成仏させてやる……これが霊媒師の鉄則なのはお前が一番分かってるよな?」

 だからお前を斬る、と続くであろう言葉を封じるように、今度は苦無ではなく、湯呑を持っては躊躇いなく六道の顔に茶を浴びせた彼女はひとつため息を吐くと、いつもと変わらない明るい笑顔に戻っては謝罪する。

「すみません、斜堂せんせー、こんな手荒なところお見せしちゃって……あとでお掃除、ちゃんとしますネ」

「おい怪異! なにしやがる!」

「やかましい! そっちこそ少しは頭冷やせ!  お前こそ保護者ごっこも大概にしろ! 今度私を斬りに来たら……お前のその刀でお前の首、貰い受けるからな!」

 覚悟しとけ、という脅迫の言葉とともに、彼女は部屋を立ち去った。
 それが六道に嫌気が差したのか、単純に彼へ浴びせた茶の始末をする掃除用具を取りに行ったのかは分からない――が、この六道という男の話を追求するに絶好のタイミングを逃すほど、斜堂も抜けているわけではない。

「……本当にあなたはあの子を斬るつもりなんです?」

 古びた手ぬぐいで頭から被ってしまった茶を拭く彼に問いかけると、ええ、まぁ、と肯定の返事が返ってくる。

「そういうことにしとかないと、あいつ、一目も会ってもくれんでしょう?」

「……どういう意味でしょうか?」

「あー……えっと、斜堂先生、だいぶ懐かれているようですが、あいつが育ってきた場所がどういうものか聞いてます?」

「ええ、本人から……寂れた墓場で幽霊に育てられた、と聞いています」

「……そんなあいつだってね、人間に馴染もうとしたことが何度もあるんですよ」

 自分ひとりの食い扶持ぐらい稼ぎたい、同じ年頃のガキと仲良くなりたい、そういって何度街に行ったって、どいつもこいつも気味悪がって近づきやしねぇ。
 近づかないだけならまだしも、大人から石やら塩やら投げられて泣かないガキはいないでしょう。
 そんな風に育つ内、幽霊を家族としたあいつは生きながらにして人間を内心呪う怪異になりかけていた。

 人間を呪う人間の怪異――それが墓場に住む幽霊たちのお嬢さま。

 六道が墓乃上へ言った、人間ごっこも大概にしとけよ、痛い目見るのはお前、という言葉を思い出す。
 あれは六道なりの忠告だったのか――「斜堂先生さんよ、」

「人間を嫌って呪っているやつを人間扱いすりゃ怒るのは当然でしょう」

「……あなたは霊媒師として彼女を人間ではなく怪異として扱い、斬る、という名目で彼女の様子を見てきた、ってことですか」

「あんま説明くさいのは野暮なもんだから言いたくはなかったんですけどね、ちゃんと言わなきゃ……先生、私のこと殺しちまうんじゃないかってぐらい怖い顔してたもんですから」

「……元からです」

「はは、たしかにそこらの幽霊より幽霊らしいですな……まぁそんな先生だから懐いたのかどうか私には分かりませんが、斜堂先生、あいつのこと……何卒よろしくお願いします」

 深々と下げられた頭を前に、彼は本当に保護者なのか、彼女を本気で斬るんじゃないかと勝手に内心殺気立っていた自分を斜堂は恥じた。
 それと同時に、彼女が六道へかつて怪異であった自分は死んだ、と宣言したその大きな意味と、自身へ寄せられた信頼を感じていた。「……もう人間ごっこ、ではありませんよ」

「あの子はこの学園で、立派に人間として生きています。楽しいことも、辛いことも、人間として色々体験して、色んな生徒たちや我々教師と関わって育っています」

「はぁ~……ガキってのはちょっと見ねぇ内に立派になりやがる……正門でのケンカ、見たでしょう? あれって反抗期ってやつですかねぇ」

「いや、お前が嫌いなだけだ」

 気がつけばしみじみと思い耽る六道の真後ろに、掃除用の雑巾を持った墓乃上が立ち、彼を見下ろしていた。
 急に降ってきた声に驚き、六道は思わず立ち上がっては彼女に振り向く。

「うわ、怪……いや、えっと……みつよだ、みつよちゃん、いきなり後ろに立つなよ、びっくりするだろ」

「お前にみつよって呼ばれたくない! さっさと帰れ! これ以上斜堂せんせーと一緒にいるな!」

 苦無の次はお茶、お茶の次は雑巾を六道に投げつけ、そのまま華麗に顔へ裏拳、足払い蹴りを容赦なく叩き込んでは体格差では圧倒的に不利なのも構わず、六道を床に落とした彼女に、斜堂は思わず教師として感心していた。「おお、」

「墓乃上さん、凄いですよ……! 毎日の訓練がちゃんと身についてますね……!」

「えっ、あっ、斜堂せんせーにそんな褒めて頂けるなんて恥ずかしいですネ……!」

 まさに恋する乙女、といった甘い声で照れるも、そのまま六道へ再度視線を向けては冷たい声で問いかける。

「六道さん、生きてます?」

「いってぇな……ったく、お前なぁ、霊媒師仲間としてちょっとは優しくしてくれてもいいんじゃねぇの? あんま冷たくされると六道さん泣いちまうよ」

「なにが霊媒師仲間だ。刀がないと浮遊霊すらロクに見えんくせに」

「みつ……ああ、いや……怪異さぁ、先生の前なんだからもうちっと猫被っとけよ、惚れてんならさぁ」

 図星中の図星、そしてそれを昔からの(奇っ怪な)馴染みである六道に、しかも意中の教師の目の前で指摘されたことにまだまだ不器用な人間、墓乃上みつよは恥ずかしさのあまり、その小柄な体格からは想像できない力で六道を応接間から廊下へ蹴り飛ばした。

「あ~もう!! 二度と来るな!! 関わるな!! 霊媒師の恥晒し!!」



「――墓乃上さんって、怒ったりすると男の子みたいな口調になるんですね」

 あれから後日、お騒がせしたお詫びも兼ねて、この前街に行った時の土産です、と職員室に菓子を持ってきてくれた彼女へなんとなく訊くと、色白の顔が一瞬で赤く染まる。

「あ、いや、その……敬語を教わる前はあんな感じで話してたのでつい……お恥ずかしい限りです……」

「いえ、ちょっと意外な面が見れて先生は嬉しかったですよ」

「そ、それならいいんですが……でも斜堂せんせーって作法委員会の顧問じゃないですか? そもそも斜堂せんせーご自身がとても紳士的で素敵ですし……そんなせんせーにふさわしいよう、私も常にどんな時でも敬語で話せるようになりたいんですヨ」

 真っ赤な顔を手で押さえながら恥ずかしがる彼女の様子に、安藤は「いやぁ斜堂先生、今日もモテモテですなぁ」と相変わらず茶化す台詞を口にし、土井は「まーた墓乃上が斜堂先生に絡んでる」と苦笑いをするだけ。
 もうとうに慣れたその状況を壊したのは、職員室の戸を開けた男――六道輪廻がそこにいた。

「よう斜堂先生さんよ、お邪魔するぜ」

 見知らぬ男の登場に固まる土井と安藤、先日追い出したはずの馴染みが再度やって来たことに固まる墓乃上が、やっと口を開く。――「ろ、六道さん……?」

「どうしてここに? もう来るなって言ったのに……」

「ああ、正門のところにいた若い兄ちゃんがよ、入門表っていうのにサインしないと入れられないっていうからサイン書いてきたんだよ」

「そうじゃなくて!!」

「あ、斜堂先生さんよ、この前の詫びに街で評判の団子買ってきたんですよ、よかったらこれどうぞ」

「え? あ、はい……どうも……」

「あ、もしかしてまたこいつに絡まれてました? いやぁ、怪異も恋するなんて驚きましたよ。けっこう乙女なんですかねぇ」

「話聞けオッサン!!」

 さながら敵意に溢れた野良猫の如く。
 飛びかかるように六道を無理やり職員室から追い出し、そのまま廊下で胸ぐらを掴む、蹴る、怒鳴るという激しいケンカが勃発する。

「なんだよ怪異! ちょっと詫びに来ただけじゃねぇか!」

「うるさい! お前が斜堂せんせーに関わるのが嫌なんだよ! 余計なこと言うな!」

「怪異のくせに一丁前に束縛かぁ? 重い女は嫌われるぜ?」

「はぁ!? いい歳こいて独り身のお前に言われたくない!」

「ちげぇよバカ! オレはあえての独身っていうか……あっ、おい! 刀盗るな!」

「お前みたいな霊感皆無が持ってても意味ねぇだろうがよ!」

 少なくとも彼らを止めるべきであろう教師三人の内ふたりは、そもそもなぜ部外者とくノ一教室の生徒が取っ組み合いのケンカをしているのか分からない、と目を丸くしては固まり、ふたりの関係を知る唯一の教師、斜堂は目の前の喧騒に頭を抱えていた。
 
 正直、墓乃上みつよという生徒から日々向けられる(やや的の外れた)愛情表現を受けるだけでも苦労することがあるのに、それに加えて六道という男が墓乃上と組むと、事態はどんどん喧しい方向へ転んでいく。

 あまりにも派手すぎるケンカを生徒たちが放っておくわけがない。
 みるみる内になんだなんだと集まる生徒に対し、なんと説明すれば事態が収まるのか、そもそもこの霊媒師同士(?)のケンカを自分が止められるのか、と精一杯考えても生まれるのは頭痛だけだった。

 先程まで「私も常にどんな時でも敬語で話せるようになりたいんですヨ」と初々しく口にしていた彼女が、今は四十路の浪人に対して掴みかかっては売り言葉に買い言葉、と荒い台詞を吐いている。「斜堂先生、」

「えっと……な、なんで墓乃上先輩が知らないおじさんとケンカしてるんですか?」

 そうシンプルに訊いてきたのは、先日も彼らの騒ぎを少し見ていた一年ろ組の良い子たち。
 本来ならば先日のように幼い彼らが安心するように声を掛けてやるのが教師の努めなのだろうが、頭痛に鈍る思考ではそんな余裕、あるわけもなく――「さぁ……」

「……これ、私が止めないといけないんですかね……」

 普通に嫌なんですけど……と、教師としての責任を斜堂が放棄する前に、墓乃上がくノ一教室で教わったのであろう首への絞め技に移ろうとし、さすがにそれはまずいと土井、安藤が慌てて仲裁に入るまでの僅かな時間。
 なぜか霊能力者に縁がある斜堂は、幽霊より生きている人間のほうが怖い、という現実を前に深い溜め息を吐くことしかできなかった。
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