29(初代)
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(恋人同士)
「…派手だなぁ。」
名無は鏡に写る今の自分に困惑していた。
真っ赤なドレスに身を包み、左右に体をよじればひらひらと優雅に揺れる。
胸元の薔薇のブローチも照明の光に反射して輝いている。
因みに、このドレスコードは恋人であるバッファローマン直々に選んだもの。
『超人の集会とやらにコレを着てきてくれよ、俺の恋人として招待するからな』
と、言われて受け取ってしまったのが名無にとって運の尽きだろう。
断る隙もなく、仕方なく家に持ち帰り開けてみれば肩から背中辺りの露出面積が広いドレスで名無は頭を抱えた。
かなり、背中の肌色が多い。
「あのスケベ牛超人め…」
しかし連絡したとてバッファローマンは出る気配も無く、返品出来ずのまま集会当日になってしまった。
招待を受けている以上、名無はこの真っ赤なドレスを着て行くしかないのだ。
サイズがピッタリでいつの間に測ったのか、どこで知ったのか、値段のことやら知りたい事だらけ。
名無は、覚悟を決めて集会場へと向かった。
集会場はキン肉王族が貸し切ったホテルのホール会場であった。
周りには多くの超人の他にも、他の惑星から来た者、地球上で高い地位にいる人間…ほぼ一般人である名無にとって場違いな気がするほど。
「は、入りにくい…!せめて誰かと一緒に来れば良かった…!」
会場の入口前でボディーガードに怪しまれる目線を感じながらウロウロと入れずにいる名無に、一人の女性が駆け寄ってくる。
「あら?貴女は…名無?」
「え、えっとぉ…何処かでお会いしました?」
「いいえ、会ったのは今日初めてね。私はアリサ・マッキントッシュ、ロビンマスクの妻なの。」
「ロビンマスクさんの!?は、初めまして私は…」
「うふふ、知ってるわ。夫からバッファローマンの恋人だって」
バッファローマンの恋人。
名が知られている正義超人の妻にまで知られていることに名無は照れて頬を掻く。
「正義超人たちはあそこに集まっているから案内するわ。」
「いや私は遠くから見るだけで…」
「ダメよ、バッファローマンが貴女のことを待ちわびているのに!」
アリサに手を引かれ、周りからの視線に俯いて歩いていくと明るい声が聞こえた。
「名無!」
「あっナツコちゃん!テリーマンさん!」
声がする方に手を振り返す、ナツコとテリーマンのカップルが見事なドレスコード姿で名無にとって眩しく見えた。
「やあ名無、そのドレスとても似合っているよ」
「胸のブローチも素敵!」
「ありがとう…派手かなと思ったけど、ちょっと自身が付いてきたよ」
「なら俺のセンスは間違って無かったわけだな」
背後から、自分より何倍も大きい影が名無を包み大きな手が名無の肩を抱き寄せる。
「バッファローマン!」
「ロビンマスクの妻から呼ばれてみれば、俺が選んだドレスを見せびらかしてるのが見えたからな。随分と気に入ったみたいだな?」
「見せびらかしてなんか…じゃなくて、何でサイズピッタリなのか聞きたいんだけど」
「…この大勢の前で?」
「…えっ?」
「バッファローマン、もう酔いが回ったのか?まだ昼だと言うのに…」
テリーマンのため息が聞こえ、名無は理解した。同時にバッファローマンは酒癖が悪く下品になると思い出し顔に熱が集まるのを感じる。
「なっ…なっ…!」
「飲んでねぇよ、飲むのはこの集会が終わってからだ。」
「名無、顔が真っ赤よ大丈夫?」
ナツコが名無の心配をするも言葉が入ってこない。
その様子にバッファローマンは満足げにニヤリと笑う。
「大丈夫じゃなさそうだな」
「誰のせいだと…!!」
「良いじゃねぇか、好きな女が真っ赤な顔で睨んでも誘ってるようにしか見えねぇぞ」
「さ、誘ってない!」
二人が言い合う中、舞台に上がったハラボテ委員長の声がマイク越しに響いて目線がホール会場の中心に集まる。
誰もがハラボテ委員長の言葉に耳を傾ける中で、バッファローマンは名無の腰を抱き寄せる。
「ば、バッファ」
「本当はお前が入口前でウロウロしていたのは見えてた。」
「えっ」
「面白くて見てたけどな、迎えに行く前にロビンの奥さんに先越されちまったあげく、周りの野郎共にドレス姿の名無を自慢する前に見せびらかすわテリーマンに褒められ照れる恋人見て俺が平気でいたと思うか?」
「だ…だって」
「今夜は覚悟しとけよ」
一層低い声に、名無の喉がヒュッと締り今夜の予定に頭が沸騰していた。
集会後、恋人を横抱きにして真っ先に会場を後にするバッファローマンの姿をテリーマンは見ていた。
(牛は赤に反応している訳じゃない)
(ひらりひらりと、動くものに惹かれるらしい)
________
【後書き】
深夜のテンションで短編の初投稿です。
言われたい台詞を詰め込みました((
「…派手だなぁ。」
名無は鏡に写る今の自分に困惑していた。
真っ赤なドレスに身を包み、左右に体をよじればひらひらと優雅に揺れる。
胸元の薔薇のブローチも照明の光に反射して輝いている。
因みに、このドレスコードは恋人であるバッファローマン直々に選んだもの。
『超人の集会とやらにコレを着てきてくれよ、俺の恋人として招待するからな』
と、言われて受け取ってしまったのが名無にとって運の尽きだろう。
断る隙もなく、仕方なく家に持ち帰り開けてみれば肩から背中辺りの露出面積が広いドレスで名無は頭を抱えた。
かなり、背中の肌色が多い。
「あのスケベ牛超人め…」
しかし連絡したとてバッファローマンは出る気配も無く、返品出来ずのまま集会当日になってしまった。
招待を受けている以上、名無はこの真っ赤なドレスを着て行くしかないのだ。
サイズがピッタリでいつの間に測ったのか、どこで知ったのか、値段のことやら知りたい事だらけ。
名無は、覚悟を決めて集会場へと向かった。
集会場はキン肉王族が貸し切ったホテルのホール会場であった。
周りには多くの超人の他にも、他の惑星から来た者、地球上で高い地位にいる人間…ほぼ一般人である名無にとって場違いな気がするほど。
「は、入りにくい…!せめて誰かと一緒に来れば良かった…!」
会場の入口前でボディーガードに怪しまれる目線を感じながらウロウロと入れずにいる名無に、一人の女性が駆け寄ってくる。
「あら?貴女は…名無?」
「え、えっとぉ…何処かでお会いしました?」
「いいえ、会ったのは今日初めてね。私はアリサ・マッキントッシュ、ロビンマスクの妻なの。」
「ロビンマスクさんの!?は、初めまして私は…」
「うふふ、知ってるわ。夫からバッファローマンの恋人だって」
バッファローマンの恋人。
名が知られている正義超人の妻にまで知られていることに名無は照れて頬を掻く。
「正義超人たちはあそこに集まっているから案内するわ。」
「いや私は遠くから見るだけで…」
「ダメよ、バッファローマンが貴女のことを待ちわびているのに!」
アリサに手を引かれ、周りからの視線に俯いて歩いていくと明るい声が聞こえた。
「名無!」
「あっナツコちゃん!テリーマンさん!」
声がする方に手を振り返す、ナツコとテリーマンのカップルが見事なドレスコード姿で名無にとって眩しく見えた。
「やあ名無、そのドレスとても似合っているよ」
「胸のブローチも素敵!」
「ありがとう…派手かなと思ったけど、ちょっと自身が付いてきたよ」
「なら俺のセンスは間違って無かったわけだな」
背後から、自分より何倍も大きい影が名無を包み大きな手が名無の肩を抱き寄せる。
「バッファローマン!」
「ロビンマスクの妻から呼ばれてみれば、俺が選んだドレスを見せびらかしてるのが見えたからな。随分と気に入ったみたいだな?」
「見せびらかしてなんか…じゃなくて、何でサイズピッタリなのか聞きたいんだけど」
「…この大勢の前で?」
「…えっ?」
「バッファローマン、もう酔いが回ったのか?まだ昼だと言うのに…」
テリーマンのため息が聞こえ、名無は理解した。同時にバッファローマンは酒癖が悪く下品になると思い出し顔に熱が集まるのを感じる。
「なっ…なっ…!」
「飲んでねぇよ、飲むのはこの集会が終わってからだ。」
「名無、顔が真っ赤よ大丈夫?」
ナツコが名無の心配をするも言葉が入ってこない。
その様子にバッファローマンは満足げにニヤリと笑う。
「大丈夫じゃなさそうだな」
「誰のせいだと…!!」
「良いじゃねぇか、好きな女が真っ赤な顔で睨んでも誘ってるようにしか見えねぇぞ」
「さ、誘ってない!」
二人が言い合う中、舞台に上がったハラボテ委員長の声がマイク越しに響いて目線がホール会場の中心に集まる。
誰もがハラボテ委員長の言葉に耳を傾ける中で、バッファローマンは名無の腰を抱き寄せる。
「ば、バッファ」
「本当はお前が入口前でウロウロしていたのは見えてた。」
「えっ」
「面白くて見てたけどな、迎えに行く前にロビンの奥さんに先越されちまったあげく、周りの野郎共にドレス姿の名無を自慢する前に見せびらかすわテリーマンに褒められ照れる恋人見て俺が平気でいたと思うか?」
「だ…だって」
「今夜は覚悟しとけよ」
一層低い声に、名無の喉がヒュッと締り今夜の予定に頭が沸騰していた。
集会後、恋人を横抱きにして真っ先に会場を後にするバッファローマンの姿をテリーマンは見ていた。
(牛は赤に反応している訳じゃない)
(ひらりひらりと、動くものに惹かれるらしい)
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【後書き】
深夜のテンションで短編の初投稿です。
言われたい台詞を詰め込みました((
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