ナランチャ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※学パロ
私は今、素行不良と成績拙悪で有名なナランチャ・ギルガに勉強を教えようとしている。
何故こんな事になったのか…それは、ほんの数分前の事。
友達と校門の前で別れ帰路にそって帰ろうとしていた時、何者かに腕をぐい、と引っ張られ私は歩みを止められた。
顔をあげてみると、そこには目尻を下げて酷く困った顔をしたあのナランチャがいた。
「なあ…なまえ~勉強教えてくれ!マジにヤバイんだよォオ…」
「は…?」
「良いよなッ?俺となまえの仲だもんなッ?よし、そうと決まれば教室に戻ろうぜ~!」
あの子犬の様な可愛さから、生意気で図々しい子供に成り果ててしまったナランチャは私の腕を掴んだまま教室へと足を進めていった。
「ちょっ…私良いなんて一言も言ってないわ!もう、離しなさいよっ」
…と、そんなこんなで私の抵抗も虚しく、全く聞く耳持たずに連れてこられたもんだから素直に腹を括り、さっさと教えてやろうとお互い向かい合わせに座った。
「それで、どこがわからないの?」
「んーと、とりあえず数学教えてもらいたいんだよな~っつーことで、これ全部教えて!」
渡されたのは、数学の教科担任から直々に貰ったのであろう今まで習った範囲を丁寧に纏めているプリントだった。
「これ…全部?」
「そ、全部!」
嘘でしょ…と私は肩を落とす。
こんな量のプリント、一日経ったってナランチャの頭じゃあ絶対無理に決まってる。私だって教える技量はそこまで無いし…。
そう考えたところで、私はナランチャに提案をする。
「全部じゃあなくて、範囲を決めない?こんなの絶対無理よ…例えば、とりあえずはこれだけやっとくとか。」
比較的簡単そうなプリントを選んでそれを渡すと、ナランチャは満足げに頷いた。
「じゃあ俺、とりあえずそれ頑張るよ!」
渡されたプリントとにらめっこした後、ナランチャは問題を解くのに取り掛かった。
多分どこかしら間違ってるだろうけど、それは答え合わせの時に言ってあげよう、今は考えさせることにしておこう、と自分なりに考え、まずは放っておく事にした。
…そうすることにしたのだが、どうしても時間は手持無沙汰になってしまう。
私は特にすることが無くて、何の気なしに自分の髪を編み始めた。
すると、それなりに時間が経ったのか問題を解き終わったらしいナランチャが顔をあげた。
「出来たぜ!なまえ!…ってえええ!?髪型が変わってるぞ!すっげー!」
「別に凄くなんか無いわよ。誰だってできるわ。」
ナランチャの素直な感想に嬉しいながらも新鮮で笑ってしまう。
普通に雑談をしていたいけれど、勉強という目標が一応はあるのでナランチャの解き終わった問題を答え合わせしようとして紙に手を伸ばす。
「本当に?本当に誰でも出来るのか?俺でも?」
伸ばした手がピタッと止まり、何となく察する。
…どうやら私は、ナランチャの刺激されやすい探求心を擽ってしまったらしい。
「さ、さあ…多分…でも今はそんなことより勉強…」
「なまえ!俺にみつあみのやり方教えてくれよ!」
…ああ、こうなるのね。
ナランチャはもう勉強そっちのけで、みつあみに無我夢中になってしまった。
これではいけない、となんとか勉強にフォーカスを戻そうとする。
「わかった、後で教えるから今は勉強しましょう?ナランチャ。」
「いいや、みつあみが先だ。じゃないと俺、気になって勉強に集中できねえもん」
「えぇ…」
こうなるとナランチャは誰にも止められない。それは付き合いの長い私がよく知っている。
けれど、みつあみのやり方なんてどう教えればいいのだろうか。
ナランチャは言葉で説明するよりも実践する方が覚えが良い、だから、みつあみを説明しながら実践させれば良いのだけど…
それって、ナランチャに髪を触られる事にならない…?
「やっぱ駄目よ、他の人に教えてもらって。…髪の長い男子とか。」
「はァー?なんでだよーなんで俺がいきなりその髪の長い男子にみつあみのやり方教えてくれなんて言わないと駄目なんだよー」
ブーイングを言われたって、私の気持ちは揺るがない。
いや別に、この気恥ずかしい感情の原因はナランチャの事を意識している訳じゃあなくて。
そう、私は別にナランチャを意識してる訳じゃあないのよ…
「俺、なまえに教わりてぇよー…すっげー綺麗だし。」
そう言って私の髪に触れるナランチャ。
ナランチャの癖に、褒める技術はピカイチだ。
"綺麗"なんて言われて、照れない女子が何処にいるのだろうか。顔に熱さが集中するのを感じる。熱い。
私はその情けない顔を見られたくなくて、顔をそらして髪に触れる手をやんわりと退ける。
「…さっきも言ったけど、この程度のものなら誰だってできるの。大して綺麗じゃあないわ。」
「そうかァ?…でもな、なまえ、俺が綺麗って言ったのは沢山の意味があっての綺麗なんだぜェ?」
…何よそれ。
私は、これ以上の事を聞くと心臓がとんでもないことになってしまいそうな事を予想してしまい、悪態すら声に出ずナランチャに疑問の視線を送る。
「んー髪とかも勿論綺麗だけどよォ…顔とか、声とか。なんか最近、なまえの事が綺麗に見えて仕方無いんだよなァ」
照れたように笑いながら爆弾発言を投下してくる。
やめてやめて、そんなこと言われたら自分の気持ちに気付いちゃうじゃない。
「なんでなんだろうなァ…なあ、なまえ、なんでだと思う?…あれ、顔真っ赤だぞ、大丈夫か?」
頬杖をついて私に純情で純粋な質問をしてくるが、私がこんな状態なので答えられる訳がない。
顔は熱いし心臓は煩いしでもう勉強どころじゃあないわ。
というか私はこの質問、なんて答えれば正解なの?
盛大な溜息が口から溢れる。
…神様、私の気持ちを再確認させられる出来事をどうもありがとう。
そして神様、ナランチャをこんな純粋のまま成長させてくれた事は嬉しいけれど、少し恨むわ。
2/2ページ