リゾット
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「お願い!」
「駄目だ。」
「一生のお願い!」
「それは前にも聞き入れただろう。駄目だ。」
アジトの一室、リーダーであるリゾットの部屋にはその部屋の主であるリゾットと、メンバーの一人であるなまえがいた。
この二人は比較的仲が良くいつも柔らかい雰囲気なのだが、今回は少し違う。
どす黒い、張り詰めた空気を出している。…主にリゾットが。
「良いじゃない別に!こんなに可愛い犬よ!こんなに小さな犬よ!?それを飼ったって良いじゃないのよ!」
「その可愛くて小さい犬も、近いうちに大きくなって俺達に牙を向くことになるかもしれんだろう。」
「残念でした~!これ小型犬ですー!そんなに大きくなりませーん!」
「今の大きさよりも大きくなるって話だ…」
ついに爆発した両者の言い争いはヒートアップをしかけるが、それでは本格的に犬を飼えないと判断したなまえは黙る。
少しの沈黙の後、なまえは腕の中にいる子犬の様に上目遣いでリゾットを見詰め、出来る限り瞳を潤ませた。
「…だめ?」
「……」
表情にこそ出さないが、リゾットは動揺してしまった。
しかし心を鬼にすることを決めれば首を横に振り「何を言われたって駄目だ」とそれを拒否した。
「リゾットのケチー!」
「拒否をするのは当たり前だろう。お前は忙しい身なのに誰が世話をするんだ。皆面倒臭がってやらんぞ。」
最もらしい事を言われたなまえは若干怖じ気付く。
世話を面倒臭がりそうな様々なメンバーの顔を思い浮かべる。
「ホ、ホルマジオ…」
「あいつは猫派だ。」
完全になまえは崩れ落ちる。
そして考える。此処まで持ち帰ってきて希望を抱かせてしまったのに、此処でやっぱり無理だった、とまたすぐ隣に危険がある外の世界に戻すのかと。
そんな酷な事したくは無いが、此処ではリーダーが絶対条件、逆らう事は出来ない。
けれど、納得することだって出来ない。
「…リゾットはどうしてそんなに犬を拒むの?」
リゾットは少しの沈黙の後、何故かバツが悪そうに視線をそらし、重い口を開いた。
「…ただでさえ、お互い忙しく今日だって久しぶりの再開なのに、その会話の中心にいるのは犬だ。」
リゾットは子犬を見やった。
彼女が持つ子犬にはには持ち合わせていない愛くるしさと庇護欲を擽る何かを持ち合わせている。
それがどうにも恨めしかった。
「もし飼ったとして、どうなる。前までは二人だけの時間だったのが二人と一匹の時間になるんだろう?寧ろ、一人と一匹の時間になる可能性だってある。」
「つ、つまり…?」
突然の恋人らしい発言になまえは戸惑いを隠せないでいた。
リゾットはなまえと大人しい子犬を交互に見た後、少し言いづらそうに口を開いた。
「犬を飼ってしまったら、お前が構ってくれなくなる。」
「リゾット…」
なまえの心は穏やかな物ではなくなった。勿論良い意味で。
見た目にそぐわない可愛らしい発言を聞いて、誰が悶えずにいることが出来るだろうか、そんな奴どこにもいるはずがないとなまえは惚気た自問自答しながら人差し指を立てる。
「わかったわ!この子も、リゾットも同じように可愛がる!勿論リゾットと二人でいれそうな時は二人の時間を大切にするわ!それで良いでしょう??ねっ?お願い!」
噛み合っているような、いまいち噛み合っていないような、そんな曖昧な提案にリゾットは溜め息を吐く。
「そのお願いもまた、一生のお願いか。」
呆れ混じりのリゾットの問いに、なまえは嘘偽りない明るい表情で答えた。
「そう!一生をかけて、幸せにさせて!」
――――天真爛漫なお転婆娘の何生もある一生のお願いをまた聞き入れてしまったリゾットが、子犬にドハマリしてしまうのはそう遠くない話。
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