澪→レイ
私のモノ(李牧)
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秦に着き、帯剣を許された私たちは中へ通される
中へ入るや否や、先の戦の王騎将軍の事があるからか殺気を隠さない者も決して少なくは無いがこちらも承知の上で出向いているので怯む訳には行かない
こういう場では李牧様の面目があるので私も堂々と振る舞う
そうこう考えてるうちに話し合い、否、交渉が始まる
さすがは私の師匠、李牧様。
呂不韋相手に見事な立ち居振る舞いで話を進めていく
そんな中、ふと一人の男に目が行く
李牧様に負けず劣らずと言いたいが、彼は、薄紫色の深衣を纏っており誰もが見蕩れるであろう容姿端麗に歳も李牧様より若く見え、私と同じくらいだろうか
なんて考えていると、残念ながら大事な城を一つ渡すことになってしまったが、無事交渉成立したようだ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
その日の夜、私たちは秦趙で宴をやるとの事で案内された場所へ行き座る
途中、飛信隊の信という若者が李牧様に噛み付いてきたが事なきを得て、緊張と移動の疲れがあった為か少し酔いが回ってしまったようだ
「李牧様、すみませんが、少し風に当たってきます」
付き添いましょうか?と聞かれたが李牧様が場を離れる訳にも行くまいと思い、丁重に断った
回廊へ向かうため席を立ち人の合間を縫って歩くと、会談の時に目が行った彼を見つけ、あの時よりも距離が近かったため、より彼の面の良さがわかる
その時、彼がこちらを一瞥し私も慌てて目を逸らす
何も悪いことしている訳では無いが、敵陣営の一人に見蕩れてしまっていた事に背徳感に苛まれた
「ふぅー⋯」
夜風は少しばかり肌寒いが、酔いが回っている今の自分にはかなり心地よく感じた
庭には月明かりに照らされた池の水面が静かに波打っていて敵国に居るのを忘れ心が穏やかになっていく
「おい!お前!」
そう誰かに呼ばれ振り向くと
「っ!?⋯飛信隊の、信君?」
「おう、そうだ。」
どうやら彼は酔っているらしい
「あの、何か用かな?」
「お前あの李牧ってやつの女なのか?」
何を言い出すかと思いきや、本当に突拍子も無いことを言い出した
「へ?」
「だーかーらー、お前は李牧の女なのかって聞いてんだよ」
「ちょ、何を言い出すのよ急に⋯」
「どっちなんだよ!」
私があたふたしてると信君は更に詰め寄る
「その辺にしていただけませんか?澪は、私の女です。それがどうかしましたか?飛信隊の信くん」
李牧様までおかしなことを言い出す始末
「李牧様、酔っておいでですか?」
「はは、私は酔っていませんよ」
「おい李牧!!」
信君が割って入り、李牧様に人差し指をさす
「お前、そいつのこと大事なら、次俺らと戦する時は王騎将軍の時みたく卑怯な真似はするんじゃねぇぞ!正々堂々と戦え!」
そう言い、すごい剣幕だが、酔っているせいか足元が覚束無いようで、ふらふらしてて今にも倒れそうなのを近くにいた女の子?が支えて、もう行くぞ、と彼を宴の席に引っ張っていく
その時信君が、あーだこーだ言ってたが、もう何言ってるかわからなかった
「若いっていいですね」
李牧様がおもむろに言う
「彼は若すぎますよ」
「それはそうと⋯」
李牧様は私の方に向き直す
「なんでしょう?」
「あなたも、若いのがいいんですか?」
そう言いある方を見るので、その視線の先を見ると薄紫の深衣を着た彼が目に入る
「な、なぜですか?私はあの方を存じ上げませんが⋯」
「そうですか。幾度か彼に見蕩れてたようですが、私の勘違いだったんですね」
見られてたんだ⋯
だけど決して李牧様へ向ける好意とは似て非なるもの
なのに罪悪感が私を襲う
李牧様は彼を知ってたからあの時私に、私だけを見ていろという言葉を投げたのだ
私が彼に惚れてしまうとでも思ったのだろうか
でもなぜ?敵国の男に惚れるのを防ぐため?だがそんな事有り得ぬ事ぐらい李牧様なら分かっているはずだろうに、だとするならば尚更なぜさようなことを⋯?
「すいません、少々揶揄い過ぎました。彼は昌平君と言い私と同じ軍師で、秦国の軍総司令を担っておられる方なのです。澪が好みそうな感じに思えたのでつい先程のような事を言ってしまいました。」
彼が秦国の頭脳と呼ばれてる昌平君なんだ⋯
あの若さで軍総司令ということは、並大抵では無いことは明白
素直に凄いと思った
「ですが⋯、李牧様には敵いませんよ⋯」
自然と言葉にしていた
「これはこれは嬉しいお言葉ですね」
柔らかく微笑み数歩近付く李牧様
「さ、そろそろ戻りましょう。風邪ひいてしまいますよ」
私の手を引き中へ促す
「李牧様っ、手を繋がなくとも一人で歩けますからっ⋯」
李牧様程の人が一人の娘に手厚い様を周りは驚きの目で見る
「ほら、彼も見ていますよ」
そう言われ、視線の先をまた追いかけると、また視線が合う
「こらこら、駄目ですよ。ちゃんと私だけを見てないと。」
「あっ⋯」
夜風にあたって酔いも、ましになったかと思えばまた体が熱くなる感覚を覚える
酔いのせいだけでは無いことはわかっているけど、そう思わないと顔が熱で茹でだこのようになってしまう
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