澪→レイ
秘密裏(王賁)彩華さんごめんなさいな話
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「王賁!!」
今日も朝練おつかれさま
私が言おうとした時だった
「……」
「あら?ごきげんよう。私は彩華です。」
なんと王賁の隣には可愛らしい女の人が居たのだ
しかもにこっと笑い愛想もいいと来たもんだ
私はなぜだか、負けた、って思ってしまった
「ご、ごきげんよう…」
私ってば、いつもの持ち前の明るさと人あたりの良さはどうしたのよ、って思いながらなるべく平静を装う努力をする
「賁様?こちらのお方は?」
そう彩華さんが王賁に聞いた時、私は自分の名前を言い忘れた事に気が付いた
「…食客の娘だ」
こちらを一瞥した後そう答える
なんだかその言葉が今の私にとってすごく胸が痛くなった
私は沢山居る食客の中の一人で、名前すら言ってくれないんだって。
「あの…、私はこれでっ」
と言うと、後ろから、あ!行ってしまわれたとか聞こえるけど、もうそんなの関係ない。
私はその場から逃げるように去る
胸が苦しい
そりゃそうだよね
だって王賁は元々王家を継ぐ嫡男なんだから、許嫁が居たって仕方ないこと
否、当たり前のことなのに
今まで私は幻想を見てたんだって痛い程思い知らされた
好きな人いるって聞いた時、一瞬でも私かもって思った自分が恥ずかしくて仕方ない
王賁とのあの空間は、王賁が居るだけで特別な時間、特別な場所、私は特別なんだって錯覚してたんだ
「ははっ…」
自嘲の笑みがこぼれると同時に口元にはしょっぱい水滴が落ちる
私って、こんなに王賁の事が好きだったんだな
まぁ早く気付いてたところで、私たちの身分は違いすぎて、端(はな)から叶いっ子なかったんだ
もうあそこに行くのも、槍の鍛錬も…そして王賁への気持ちもやめよう
これ以上自分が傷つかないために
―――――――――
あの日以降私は自室に閉じこもり、あの場所に行かなくなった
当たり前だが身分違いの私達はその日以降話すことは愚か、会うことすら無かった
どのくらい経ったのだろうか
回廊を忙しなく行き交う召使い達が気になり、何事かと自室の扉に片耳をつけ、耳を澄ますとすぐに後悔する
「…王賁、結婚するんだ、彩華さんと」
誰も居ない静かな自室に独り言がやけに響く
もう本当に、関わっては行けない人になってしまうんだな
あの場所に行くことすらやめて、槍の鍛錬もやめた…
なのに私の中にある王賁への気持ちだけはやめられなかった
辺りを見ればいつの間にか暗くなっており、私は何刻こうしていたのだろう
途中父や母に何か話しかけられたが、なんて返事したのか記憶にない
邸の雰囲気からして、皆が寝ててもおかしくない時刻なのだろう
私はふと思い立ち、父と母を起こさぬよう静かに部屋を出る
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