澪→レイ
余計な事(春申君)
name cchange
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「わぁ…このお花、すごく綺麗…」
邸の庭に咲いている木槿(むくげ)の花が堂々と咲き誇っており、これといって趣味などない私だけど花は好きなのだ
「木槿、ですか?」
「はい、花言葉は【信念】なんです。大好きなお花でして、このお花の花言葉にぴったりなお方がおられるのですよ、ふふ」
宰相様のように堂々としていて、花言葉の信念は、正に宰相様を思わせるに相応しい
あーあ、踏ん切りが着いたと思ったんだけどなぁ
そもそも長年抱いた気持ちを一日そこらで忘れるなんて無理難題だったんだ
「…っ」
「ど、どうなされたのですか?何か悲しいことでも…?」
私は相手のお方から言われて初めて自分の頬に伝うものに気付く
「あ、わたし…」
指の腹で涙を拭い、あまりにもお花が綺麗だったので…もう大丈夫ですなんて苦しい言い訳でやり過ごそうとして相手のお方が私の頬にある残りの涙を拭おうとしたその手は私には届かなかった
「貴様こいつに何した?」
「さ、宰相様!?」
今まさに私の頬に伝う理由の人物が、御仁の手首を掴み睨みつけていた
「な、なにかの誤解です、!」
「そ、そうですよ!宰相様!なにか勘違いなされておられますっ…!」
そう言い御仁の手首から宰相様の手を剥がす
「何が違う?何が勘違いなんだ?ならばなぜお前は泣いてるんだ?」
鋭い視線が私を捉える
「そ、その…」
「お前がこいつに娶られに行くことに間違いはないだろ?」
「それはっ…」
間違いでは無い…と何も言えなくなる
「涙の訳はなんだ」
「涙の訳は、木槿を見て――「お前には聞いてない黙ってろバカ」
あろうことか御仁に八つ当たりをする宰相様
「宰相様!そんな言い方はっ…」
相手に失礼です、と言いかけてやめる
「ふっ、そうか、バカとバカで仲良くやればいい」
俺は帰るぞといい踵を返して歩いていく
「ごめんなさい!!本当にごめんなさい…」
よっぽど温厚なのか、御仁は私と宰相様のやり取りを口を挟まずに居てくれた
それもあり、いたたまれなくて誠心誠意謝る
「ははっ、大丈夫ですよ。急に手首を掴まれた時は驚きましたがね。私が出る幕はなさそうですし、宰相様を追いかけて行かれた方がいいかと思います」
あなたの言っていた通り、信念のある方と言うのは何となく理解できますしね、とまた、ははっと笑う
なんて優しいのだろう、そしてなんて察しのいいお方なのでしょう
宰相様が居なかったら本当にこの人と結婚してたかも
なんて考えはすぐやめて、もう一度御仁にごめんなさいをし、踵を返してずかずかと帰ってった宰相様の背中を追いかける
.