澪→レイ
無意識の癖(昌平君)
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信じられない、だってここに来るまでは昌平君が私のとこに―正しくは家の呉服屋―忙しい彼だから頻繁とは言わなくても時間が出来次第顔を出してくれたり自分で深衣等の召し物や飾りを買っていってくれてた。
でも今思えば昌平君自らなぜ…?彼なら召使い達に遣いを頼む事だって出来るのに
「嘘?嘘を言ってどうするというのだ」
「…いつから?」
「お前と出会ってからすぐだ」
「出会ってから…?」
「お前と蒙武が俺を生かせてくれた。お前はあのような俺に分け隔てなく接してくれ、いつも笑顔と安息をくれていた。だが出世するに連れ、お前との距離はどんどん離れていくばかりだった故、店に顔を出せば良いと考え自ら出向いた。深衣だとかはもちろん気に入って買わせてもらったが、本来の目的の口実に過ぎぬ」
「本来の目的…?」
駄目だ、急な展開に頭がついていけなくて昌平君の言葉を掻い摘んで聞き返すことしかできない
「本来の目的は、澪、お前だ」
「…つまり昌平君は私に会うために足を運んでくれてたって事?」
「あぁ。そうだ。」
「お前が俺の邸に来ることになった経緯は決してよい事とは言えぬが、俺はこの機会を逃すまいと直ぐに介億に話を持ち出した。」
「…そうだったんだ」
ここまできてやっと理解が追いついてきた。
「…それで、だ」
「…うん?」
「お前の気持ちはどうなのか知りたいのだが」
「私の、きもち…」
部屋が静かすぎて、昌平君の生唾を飲む音が響く。
「私は…わたしは昌平君に対しての気持ちがわからない」
「…そうか」
「待って!わからなかったのは、…さっきまで」
昌平君は黙ったまま私の次の言葉を待つ
「ずっと自分の気持ちを、隠してた」
私はぽつりぽつりと他人の話のように思い出しながら少しずつ話す
「昌平君はどんどん出世してってどんどん遠い存在になって…」
昌平君は私が落ち着きながら話せるように、私の言葉を待ってくれる
「なかなか会えなくなって、気付けば昌平君の周りには蒙武でも、私でもない人が居て…」
話すうちにこんなにも昌平君のことが好きだった自分がいる事に気付かされて胸が苦しくなって自分の手をぎゅっと握る
「ゆっくりでよい、最後まで聞いてやる。」
私の手の上から昌平君の綺麗な指だけど、どこかゴツゴツとした武人の手にも思えるような大きくて暖かい手で包んでくれる
「…それで邸にお世話になることになって、邸には更に昌平君の周りには綺麗な人もたくさんいて胸がずきずきして痛かった」
きっとその時に私は自分が傷つくのが嫌で昌平君への気持ちを閉ざしたんだ
「邸で過ごせば過ごすほど、こんなにも昌平君との距離が遠いいんだって思いしらされていって自分なんか見えてないんだと、もう私は必要ないんだって思っちゃった」
「澪…お前は馬鹿だな」
そう言い私の手を包んで両手のうちの片方の手を頭へやり、優しく撫でてくれる
「馬鹿なんてひどいっ!」
「すまない。つい可愛くて、な」
その顔でそれは反則だよ
「まだお前の気持ち、はっきり聞けてないが?」
「……………察しの通りだ」
「…おい、お前ふざけてるのか?」
自分の額に片手を当て、呆れたように言う
「…ごめん、昌平君が呂不韋陣営から離反した時の言葉が噂になってて耳にしてあまりにもかっこよかったから…うぅ、ごめんなさい」
「お前と言うやつは…」
「昌平君…?」
「…なんだ」
「好き」
昌平君の首に腕を回し真っ直ぐ見つめて想いを初めて伝える
我ながらいきなり大胆すぎたかな
「っ!」
あれ?だめだったかな…失敗?
でもこの昌平君の顔初めて見る
照れてる顔なのかな…?
「伝わらなかったかな?昌平君が好き、もう誰にも遠慮しない、誰にも渡したくな―」
最後の言葉は昌平君の唇によって飲み込まれた
「んっ、ふっ、はぁ…」
「…お前、初めてか?」
「は、初めてじゃないよ!」
「…そうか、誰とだ」
「誰とって…」
「俺に言えぬ相手なのか?」
「言え無くはないけど…」
「言え。」
うぅ、すごい威圧感…
「も…」
「も?」
「蒙武…」
「蒙武…蒙武!?」
「…うん」
昌平君の色気のある切れ長の目が見たことないほど見開かれていて、口元ぱくぱくしてる
「………なぜそうなった、どうしてそうなった、どうすればそうなる?」
すごい質問攻めだしこんな動揺して取り乱してる昌平君は珍しい…
「まだ昌平君と出会う前の事なんだけど…晴れた日に二人で座って川を眺めて日向ぼっこしてて、そろそろ行くぞって蒙武が立ったから私も立ち上がろうとした時に転びそうになって蒙武の腕を掴んだら蒙武も倒れちゃって…それで、ちゅっと…」
「ちゅって…いやらしいにも程があるな」
「な!何を想像してるの!?」
「あいつも俺に黙ってたのか…」
「別に言うほどの事でも…」
そう言うと明らかに眉間の皺が深くなる
「で、でも!昌平君だって喬杏さんとしたでしょ!!」
「あれは事故だろ…」
「私のもだよ!?」
と、なんか可笑しくなってどちらからともなく笑う
「ふふ、私たち、随分遠回りしてきたんだね」
「その様だな」
「昌平君、好きだよ」
そう言ってまた昌平君の整った顔に手を伸ばす
「あぁ、俺は愛してる」
私の伸ばした手を取り引き寄せ顎をもう片方の手で掬われ、啄むように優しかったり深く甘く唇を奪われたりをどのくらいの時間が経ったか忘れるまで続けられた。
「殿」
「介億か」
「は、例の張英という男と喬杏様の件済みました。」
「ご苦労だった、よい、下がれ」
fin.
でも今思えば昌平君自らなぜ…?彼なら召使い達に遣いを頼む事だって出来るのに
「嘘?嘘を言ってどうするというのだ」
「…いつから?」
「お前と出会ってからすぐだ」
「出会ってから…?」
「お前と蒙武が俺を生かせてくれた。お前はあのような俺に分け隔てなく接してくれ、いつも笑顔と安息をくれていた。だが出世するに連れ、お前との距離はどんどん離れていくばかりだった故、店に顔を出せば良いと考え自ら出向いた。深衣だとかはもちろん気に入って買わせてもらったが、本来の目的の口実に過ぎぬ」
「本来の目的…?」
駄目だ、急な展開に頭がついていけなくて昌平君の言葉を掻い摘んで聞き返すことしかできない
「本来の目的は、澪、お前だ」
「…つまり昌平君は私に会うために足を運んでくれてたって事?」
「あぁ。そうだ。」
「お前が俺の邸に来ることになった経緯は決してよい事とは言えぬが、俺はこの機会を逃すまいと直ぐに介億に話を持ち出した。」
「…そうだったんだ」
ここまできてやっと理解が追いついてきた。
「…それで、だ」
「…うん?」
「お前の気持ちはどうなのか知りたいのだが」
「私の、きもち…」
部屋が静かすぎて、昌平君の生唾を飲む音が響く。
「私は…わたしは昌平君に対しての気持ちがわからない」
「…そうか」
「待って!わからなかったのは、…さっきまで」
昌平君は黙ったまま私の次の言葉を待つ
「ずっと自分の気持ちを、隠してた」
私はぽつりぽつりと他人の話のように思い出しながら少しずつ話す
「昌平君はどんどん出世してってどんどん遠い存在になって…」
昌平君は私が落ち着きながら話せるように、私の言葉を待ってくれる
「なかなか会えなくなって、気付けば昌平君の周りには蒙武でも、私でもない人が居て…」
話すうちにこんなにも昌平君のことが好きだった自分がいる事に気付かされて胸が苦しくなって自分の手をぎゅっと握る
「ゆっくりでよい、最後まで聞いてやる。」
私の手の上から昌平君の綺麗な指だけど、どこかゴツゴツとした武人の手にも思えるような大きくて暖かい手で包んでくれる
「…それで邸にお世話になることになって、邸には更に昌平君の周りには綺麗な人もたくさんいて胸がずきずきして痛かった」
きっとその時に私は自分が傷つくのが嫌で昌平君への気持ちを閉ざしたんだ
「邸で過ごせば過ごすほど、こんなにも昌平君との距離が遠いいんだって思いしらされていって自分なんか見えてないんだと、もう私は必要ないんだって思っちゃった」
「澪…お前は馬鹿だな」
そう言い私の手を包んで両手のうちの片方の手を頭へやり、優しく撫でてくれる
「馬鹿なんてひどいっ!」
「すまない。つい可愛くて、な」
その顔でそれは反則だよ
「まだお前の気持ち、はっきり聞けてないが?」
「……………察しの通りだ」
「…おい、お前ふざけてるのか?」
自分の額に片手を当て、呆れたように言う
「…ごめん、昌平君が呂不韋陣営から離反した時の言葉が噂になってて耳にしてあまりにもかっこよかったから…うぅ、ごめんなさい」
「お前と言うやつは…」
「昌平君…?」
「…なんだ」
「好き」
昌平君の首に腕を回し真っ直ぐ見つめて想いを初めて伝える
我ながらいきなり大胆すぎたかな
「っ!」
あれ?だめだったかな…失敗?
でもこの昌平君の顔初めて見る
照れてる顔なのかな…?
「伝わらなかったかな?昌平君が好き、もう誰にも遠慮しない、誰にも渡したくな―」
最後の言葉は昌平君の唇によって飲み込まれた
「んっ、ふっ、はぁ…」
「…お前、初めてか?」
「は、初めてじゃないよ!」
「…そうか、誰とだ」
「誰とって…」
「俺に言えぬ相手なのか?」
「言え無くはないけど…」
「言え。」
うぅ、すごい威圧感…
「も…」
「も?」
「蒙武…」
「蒙武…蒙武!?」
「…うん」
昌平君の色気のある切れ長の目が見たことないほど見開かれていて、口元ぱくぱくしてる
「………なぜそうなった、どうしてそうなった、どうすればそうなる?」
すごい質問攻めだしこんな動揺して取り乱してる昌平君は珍しい…
「まだ昌平君と出会う前の事なんだけど…晴れた日に二人で座って川を眺めて日向ぼっこしてて、そろそろ行くぞって蒙武が立ったから私も立ち上がろうとした時に転びそうになって蒙武の腕を掴んだら蒙武も倒れちゃって…それで、ちゅっと…」
「ちゅって…いやらしいにも程があるな」
「な!何を想像してるの!?」
「あいつも俺に黙ってたのか…」
「別に言うほどの事でも…」
そう言うと明らかに眉間の皺が深くなる
「で、でも!昌平君だって喬杏さんとしたでしょ!!」
「あれは事故だろ…」
「私のもだよ!?」
と、なんか可笑しくなってどちらからともなく笑う
「ふふ、私たち、随分遠回りしてきたんだね」
「その様だな」
「昌平君、好きだよ」
そう言ってまた昌平君の整った顔に手を伸ばす
「あぁ、俺は愛してる」
私の伸ばした手を取り引き寄せ顎をもう片方の手で掬われ、啄むように優しかったり深く甘く唇を奪われたりをどのくらいの時間が経ったか忘れるまで続けられた。
「殿」
「介億か」
「は、例の張英という男と喬杏様の件済みました。」
「ご苦労だった、よい、下がれ」
fin.
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