澪→レイ
無意識の癖(昌平君)
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「澪、今忙しいか?」
「あ、総司令様、もうすぐ終わりますゆえ、お待ちいただけますか?」
「わかった。私室で待っている。」
「はい!すぐ終わらせてまいります」
幼馴染とは言え、今は主と召使いの立場。
あまり待たせる訳には行かないと思いササッと終わらせ、昌平君の私室へ向かった。
「総司令様、澪です。」
「あぁ、入れ。」
「失礼します。」
そう言われ私は扉に手をかけ静かに開け、なるべく音を立てぬ様閉める。
「して、総司令様、どうなされましたか?」
「今は幼馴染としてでよい。」
「そっか、わかった!それで?どうしたの?」
「特にこれといった用事はないが、執務が一段落したので共に茶でもどうかと思ってな。」
「いいの?私怠けてると思われないかな?」
「俺が誘った事だ。誰も文句言うまい。」
「じゃあ、頂こうかな…」
そう言い、茶器に手を伸ばし昌平君と私の分を用意する。
月餅がある事に心が踊る。なんせこの時代では砂糖が貴重であり、言うまでもなく月餅など砂糖を使うお菓子はかなり贅沢で、右丞相、軍総司令、邸の主と言う立場の昌平君だからこそ与えられるものなのだ。
「なんだ?いいことでもあったのか?」
普段の軍総司令様からは想像も出来ぬ程柔らかい微笑で話す"昌平君"を私の他に引き出せるものはいないのであろうと言う優越感にも似た感情が押し寄せる
「あっ、その、月餅があるなぁって思って…」
月餅を見て嬉しい気持ちが顔に出てしまっていたらしく、卑しい女だと思われたのかと思い一気に恥ずかしくなった
「案ずるな、好きなだけ食べればいい」
フッとまた柔らかく微笑み、ほら、と私の前に月餅の乗せられたお皿ごと置いてくれる。
「こ、こんなに食べられないよっ。昌平君も一緒に食べよう、甘いもの好きでしょ?」
「お前にはかなわんな…そんな事まで知られているとはな」
「この間机の上を整理してたら引き出しの2段目に菓子がたくさんあったから、好きなんだなって思って」
「忙しくて朝餉も昼餉も取れない時に食べるのに丁度良くてな」
「んふふっ、なんか可愛いね」
「可愛い…のか?」
口元を抑えて、くくくくっと笑いが止まらない私に少し不機嫌そうに言う昌平君
「いやなんか、甘いもの好きって印象なかったから想像の範囲と驚きを超えて可愛いなって、ふふ」
「…疲れた時には甘い物がよいと耳にしてな。」
「へー!昌平君には持ってこいだね!」
なんていつも他愛もない話しながら過ごしてたっけなー
近頃、と言っても三月(みつき)程前から喬杏さんからの"おしつけ"が始まってなかなかこういう時間なかったもんなー、久々のこの時間。
「近頃はどうなのだ?喬杏ばかりが俺の身の回りの事をしてるようだが喬杏にお前の事を問うても、他の事で手一杯ゆえ忙しいと聞いたが、あまりにも顔を見せぬからこちらから茶を誘った次第だ。」
この人は人の心を読んでるのかなってくらい私の考えてることを話題にしてくる、軍総司令恐ろしや。
「んぇ?あぁ、邸のこととか意外と色々あるのよ」
いきなり聞かれたので月餅によって口の中の水分を奪われて慌てて飲み込んだから変な返事をしてしまった。
「…そうか、邸の主でも把握出来ていない部分があるというのは少々気がかりだが、お前が元気ならそれでよい、何かあれば必ず俺に言え。」
「…うん、ありがとう、昌平君!」
色々ってなんだとか深く聞かれるかと思ったけど、意外とあっさり納得してくれたことに安堵しつつ、そろそろ自分の仕事も再開しなくてはと思い、お互い飲食し終わったのを確認し茶器を盆に纏め昌平君にお礼を言って部屋を後にした。
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