澪→レイ
昌平君への挑戦
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「あの…」
書簡と睨めっこする主に話しかけてみる
「………」
うん、気づかないよね。一度目はいつもそう。成功。
そして二度目に挑戦する。
「あのぉ…」
「………」
よしよしよぉーし!!今日も二度目も成功!!
ん?私が何をしてるかって?
近頃平和すぎて私の仕事がこうして主のお傍で身の回りの整理をする事だけになってしまっていて、それはそれは暇を持て余してるというわけですよ。
いやね、平和なのはもちろんいいことなんだけど…
戦は当然無くていいのだけどそれ以外の事もあまりにも何も無さすぎて、書簡と睨めっこする主が私の問いかけに何度目で気づくか、否、気づかれたら試合終了という暇を持て余した女の戯れですよ。
でもね、ちゃんとそこには決め事がありまして(自分の中でね?)
ひそひそ話する時のようなあまりにも卑怯な声量は無し、日常会話程度のきちんとした声量で問いかける。
それが決め事。
大丈夫。主はそれでも気づきませんから。
さて、三回目は、と。
「おーい」
「………」
ぶふっ!!!成功。
というか、私が影薄いのかな…
私の声だけが届かないのだろうか…
いくら集中してたとて、こんなに気づかないことある?
ちょっと不安になってきたなぁ。
まぁ、まだ三度目。ここで折れては私の名が廃るってもんよ。
「おい、お、おーい」
これはさすがに気づくか!?
「……………はぁ」
ん!?試合終了か!?
あ、いや!違う!
目頭を押えてる?目が疲れたのかな?また書簡と睨めっこ始まったし。
てことは、四度目成功!?
今日は調子いいねぇ!いつも三度目で眉ぴくするのに
今回はそんな気配もなし…
ちょっとした爆弾発言入れてみようかなぁ
「おーい、がり勉」
なぬっ!?立ち上がっただと!?
今度こそ試合終了か…!?
「………」
おや?どうやら先程まで睨めっこしていた書簡とは勝負が着いたらしく、新しい書簡と睨めっこを始めた。
最高記録叩けるのでは!?
次成功すれば自己最高記録!!
やるしかない!!
というより、今日はなんか一生気づかれないんじゃないかというすごい自信がわいてきたでござる。
でもね?私ちょっと思うところがあって、主は気づかないんじゃなくて、敢えて無視してるのでは!?と…
だってね、介億殿の問いかけには一発で気づくのに、私だけ二、三度呼ばねば気づかないなんておかしいでしょう。
しかもあの主が。
え?だとしたらさ、ものすごく寂しくない?酷くない?
……よし、目標変更。
あっと驚くようなことでも言ってやろうじゃないの!!
…だけど、なにがいいかなぁ
まぁいいや、数うち当たってみるか
「布団が吹っ飛んだ」
「…」
だめか
「今日の夕餉は月餅がでる」
「…」
だめか
「あの猫足が5本ある!」
「…」
最早いじめではありませぬか!?
無視してたの確定ですな。
悲しや…
ん〜…
「西から昇ったお日様が東へ沈んだ!」
逆だ、のつっこみもなし
「右足前にだして左足も前に出すと歩ける!」
あまりまえ体操もだめか
もうねた切れ…
ん〜…
「好きな人が出来た」
「…」
だめか…ん!?
眉ぴくだ!!!!!
更に書簡の文字を目で追っていたのも止まってる!
これは気になってるな!?
しめしめ…
でもかといって好きな人なんて…居るけど、言えないでしょう、だって私の好きな人は主ですから。
ここはいっそのこと主の目が飛び出でるような人物にしよう。
うーん、うーん…
あっと驚くような人…あっと驚くような人…
あっ!
「李牧」
「…なに?」
うぉ!立ち上がって結った髪がばさっと揺れるほどの勢いで振り向いた!!
私の勝ちだ!!やった!!
「おい…お前、戯れがすぎるぞ?あの男のどこがいい?俺より齢も上であるのにあのような髪の色をして、ですます口調でいかにも野郎ではないか?」
すごい饒舌に早口で捲し立てる主に、私は李牧が天敵なことを思い出す。
咄嗟に口から出てしまったので、その後のことは何も考えておらず、蛇に睨まれた蛙状態。こ、怖い。
「あ、あの!ごめんなさい!嘘です嘘です!李牧なんてこれっぽちも好きではありませんのでお許しを!!」
「…嘘?俺の前で李牧という名を出すくらいだ。信じられぬな。」
「ま、真です!!李牧なんぞ好きでもなんでもございません!!私のお慕いしてる殿方は主なのですから!!」
あ
言ってしまった。試合終了どころか人生終了です。
「…ふっ、知っている」
「は、はい!?」
なぜ!?誰にも言ったことなんてないのに!!
「俺を誰だと思っている?」
「あ、いや、その、右丞相兼軍曹司令様ですが…でも先程信じておられなかったでは無いですか!それに酷いですよ!わざと無反応なんて!」
ほんとにひどい!!乙女を無視するなんて!どんな悪趣味よ!!
「あぁ、戯れだ」
「た、戯れ…?」
「暇を持て余してるお前と遊んでやったんだ」
なにぃぃぃぃぃ!?なんて男なのだ!!
全く!全くもう!!!
それに勢いで口から出てしまったとはいえ、こちとら
思いをつたえたんだぞ!? 右丞相様にお返事を聞こうなんざ烏滸がましいことは出来ません!でも、でも聞きたいじゃないの…!
当たって砕けろってもんよ!!
「と、とりあえず、主のお気持ち聞かせていただけませんかね!?」
どきどきどきどきどきどき
「ふっ、そう待たれると、犬のようだな。俺は暇を持て余してるお前と違って忙しい。執務に戻る。」
がーん…
犬のようだ、が脳内再生を繰り返す…
まぁわかってた結果だけどもね、だけども犬ないよ…
「落ち込んでないでお前も次の暇つぶしでも考えていろ」
「……いえ、しばらく大人しくしておきます…」
ぐすん…(ぐすん、は無いだろ)
「殿、小娘をあまりいじめてやらないでください。慰めるの誰だとお思いですか?」
「なんだ、介億。聞いていたのか?そういうお前も楽しそうではないか」
「はっはー!殿も素直じゃありませんな。そんなんではいつか本当に誰かの元へ…」
「いつか、の心配は要らぬ。あいつは誰にもやらぬ」
「そのように食い気味に答えんでも。そのいつか、を楽しみにしてますぞ」
「………」
いつか、俺が全ての権利を得てお前を…
fin.
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