澪→レイ
戯れ(main騰、sub録嗚未)
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「や、やだぁああぁ!!!と、のぉ!…お…き、さまぁ…っ」
「行くぞ、澪…!」
「うるさいっ、録嗚未…!!離してぇ!!」
馬陽の戦にて殿を失い皆が悲しむ中、一切の感情を隠さずじたばたする私を、みっともないと言わんばかりに録嗚未が殿から引き剥がす。殿への気持ちは純粋な忠誠心だ。恋心などではない。私の父のような存在だった。
「なによ…!なにすんのよ!触るなっ!!!…うっ!………」
「録嗚未」
「なんだよ…仕方ねぇじゃねぇかよ」
「あいつの気持ちも分かってやれ」
「だけどよー「録嗚未」
「…あぁ悪かったよ」
「っ…」
涙でぐちゃぐちゃなはずの顔が、誰かが拭いてくれたのか濡れてはいなかった。私の左肩側の寝台がまだ暖かい。さっきまで誰かがいてくれたのだろうか。
「いたたっ…」首の後ろがものすんごく痛い。私が取り乱してしまって録嗚未に止められて、それで…
「あいつめ…手刀しやがったな、録嗚未のばかあほまぬけ!」
「そんなに元気なら心配はなさそうだな」
この場に居ない録嗚未に悪態をついていたらいつの間にか騰様が入ってきていたことに気付かなかったらしい
「あ、と、騰様…」
一応私も女武将であるから当然此度の戦には出陣していたから傷があった。その手当も私が気を失ってる間に済んではいるが、傷口を締め付けないよう帯は締められていなかったので起き上がった拍子に夜着がはだけていたのを慌てて隠すように交互に重ねる。
「今更隠さなくてもいい。」
「今更…?…!?もしかして先程まで横にいて下さったのは騰様でしたか…?」
大きな目でこちらをじっと見るので、きっと、「そうだ」という事だろう。
「騰様にそのような事をさせてしまい申し訳ありません…」なんと申したら良いか…と顔が見れず俯く始末
「気にするな。それより腹ごしらえでもしろ。ずっと寝ていたから腹も減っているだろう」
「空いてません…要らないです」差し出された盆を押し返す
「いいから食え。子供じゃあるまいぞ」
「…子供?…そんな気分じゃないんです、騰様がお食べになってください」
「いつまでそうしてる気だ?」またお盆ごとこちらへ近づける
「何故ですか…?騰様は殿が亡くなられたのに、何故そのように何も無かったように過ごせるのですか!?」尚も表情を変えない騰様に苛立ちを覚えてしまう
「お願いです…!もう出てってください!」
「いい加減にしろ。いつまでそんなこと言ってるんだ?」
「そ、そんなことっ!?」
「あぁ、そんなことだ」
「騰様は何も分かってない!!一番わかってなきゃいけないのにわかってないです…!一番悲しまないといけないのは騰様じゃないんですか!?…っもう話したくありません!出てってください!」
その言葉を聞き終えて数秒程静寂が訪れた後、騰様は部屋の中央にある桌子に夕餉を置き扉へ向かっていき扉に手をかけた時
「私が悲しんでいないと、いつ言ったんだ?」
そう言い本当に部屋を出ていった
「っ…!」私は一人だけ悲劇の主人公になったつもりでいたのか。騰様の去り際の一言で漸く気付くなんて大馬鹿者もいいとこ。
騰様の言う通り、私は子供なんだ。殿を守れなかった自分自身が一番腹立たしいのに、騰様や録嗚未に当たり散らして馬鹿みたい。
ふと騰様が運んでくれた夕餉が目に入り、途端にお腹がなる。桌子へ向かい腰掛け、饅頭をひと口頬張ると堰を切ったようにまた涙が溢れ出てきた。料理の味が涙の味に変わっていく。
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