澪→レイ
特別(闇蒙恬)ちょっと乱暴蒙恬、歪愛
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一年程前の戦で父が死んで母は病に倒れそれから亡くなるまですぐだった
他に身寄りのない私はというと両親を失った喪失感から、ろくに食事も取らず街をふらふら歩いていた時に蒙家の嫡男である蒙恬様に拾ってもらい邸で働きながら生活をしていた
ある日蒙武様を訪ねて来た彼、軍総司令をこの目で見てからというもの、その何とも言い難い風貌に圧倒され憧れを抱き軍師を夢見て蒙武様に許可を頂き軍師学校に入ることが出来た
だが軍師学校に通うほどに、普段飄々としてる蒙恬様の意外と真面目な一面だったり、時々思い耽るような表情だったりを目にするうちに私はいつしか蒙恬様に惹かれていた
蒙恬様が特別軍師許可をもらい軍師学校を卒業してから半年程後に、私も早期認可をもらい軍師学校を卒業した
卒業してからも合間を見て、度々昌平君先生の手伝いをしに学校へ足を運んだ
今日もまた例に漏れずであるが、一つだけいつもと違うのは、学校の必要な物をいくつか買い足したいとの事で先生と街へ出向いている事
普通なら私や他の者が遣いに出るのだが先生はここ数日激務だったらしく、介億先生が気分転換に殿も街へ出向かれては如何かと提案をし、それならばと私はついでに茶屋にでも誘った次第である
意外にも先生はふたつ返事で誘いに乗ってくれた
類まれな状況に心躍らざるを得ない私はいつもより足取りが軽く感じたが、前方から近付いてくる人物にその気持ちは反転した
「やぁ、澪。と先生。」
そう私に意地の悪い笑顔で挨拶する飄々とした人物は
「蒙恬様…」
蒙恬様の隣にはいつも通り女の人が居る。彼は毎日違う女の人を連れて歩いているのだ
先生はと言うと、蒙恬様のいつも通りの光景に眉間の皺を寄せ、蒙恬か、と一言添える
「どうしたの?澪。そんなに悲しそうな顔しちゃって」
わかってるくせに…本当に意地の悪い人
「いえ…何もございません」
そう言い軽く会釈をし横を通り過ぎようとしたが、蒙恬様に腕を掴まれ、くんっと歩みが止まってしまう
風貌こそ華奢に見える彼だが、さすが武人の息子でもあり彼自身戦にも出向く一隊の長なだけあって、傍から見れば軽く腕を掴まれてるように見えるそれも、掴まれた当の本人の私は腕が軋む程の力に顔が歪む
「っ!」
「待ちなよ」
それは怒気を含んでいたが、他のふたりには聞こえるか聞こえないかくらいの声量だった
「な、何用で…?」
私がそう言うと先生が数歩先で振り返ってこちらを見る
「何?先生と逢瀬?」
更に腕の力が強くなる
「っ…!違います」
先生は不審に思っているのか、眉間に皺を寄せる
「だめだよ澪、浮気しちゃ」
「浮気…?私達は恋人でもなんでもありませんよ?」
この人は一体何を言ってるんだろう
いつだってそう、蒙恬様は気のあるような言動をしては、今日の様な勘違いをするなと言わんばかりの光景を見せつける
それでいて先みたく、私を縛るような事を言ってのけるのだ
「へぇ?俺のこと好きなくせに」
「なっ!?」
図星をつかれたのと、案の定知っててこんなことをしてるんだと思い知らされる
「…どうしたんだ、蒙恬、澪?」
異様な雰囲気に先生が問う
「先生?大人の色気で澪を誘惑したりしないでくださいねー?」
にぃっ、といつもみんなに向ける屈託のない笑顔で言う
「…何の話だ」
蒙恬様が生まれた時から知ってる先生だからか、蒙恬様の言葉の意味を汲んでいる様子で答えた
きっと蒙恬様の笑顔の奥にある黒い部分も先生は知ってる
「せ、先生。時間が無くなってしまいます故、参りましょう…」
そう言い先生の背中にそっと手を添え目的地の方へ促す
蒙恬様を一瞥すれば、じゃあねーと言いながら片手で女の人の方を抱きもう片方の手でひらひらと後ろ手で手を振りながら私達とは反対の方向へ消えていく
「…蒙恬は、お前にはいつもああなのか?」
私には…?
「いつからか、あのような扱いをされるようになりました」
そうか…と一言いい少し黙った後に口を開く
「あの様な蒙恬は特別な感情を持った相手にのみやる言動で、昔からそうだった。特に執着したものに対してだ、それは人にも物にもな」
「つまり…私は蒙恬様の特別なのでしょうか…?」
「あいつを幼少期から知る俺が言うんだ、間違いない」
特別…
その言葉は便利なもので、一見聞こえはいいかもだが裏を返せば真逆の意味をもなす万能なものだ
それがいい意味の特別であればと願うが、あのような態度では真逆の意味かもしれないという方が妥当で、気を揉んでしまいせっかくの先生とのお出掛けも何もかもが上の空になってしまった
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