主≠監。
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「ああ……こんばんは、名無しさん。今夜もお会いできて嬉しいですよ……」
「……こんばん…は…」
「―――…?……っと、フロイドはどうしたんですか?」
「?ッ……え…?!」
夜も遅く、それは日付の変わったあたりのこと。
覗いたスマホに無情にも届いた通知は、また名無しの未来を黒く塗り潰す。
気怠そうに自分を待つフロイドに合流して、名無しは顔を伏せながら彼の後ろについた。
とろくさく歩いているのが気に入らなかったのか、フロイドは彼女の華奢な腰を抱くと、あっという間に鏡舎を通ってオクタヴィネルの内部に誘導する。
そこまではよかったのだけれど、客も従業員も居なくなった静かなラウンジにいつものように通されたと同時、名無しは待っていたジェイドの、自分を見る表情に疑問を持った。
「……?!」
「はぁ……気が変わったんでしょうね…此処にはもう気配はありません。気が付かなかったんですか?」
「え…っと……そこの入口までは、確かに一緒に……」
「ふむ……まあいいですよ…。フロイドが居ないとなれば、此処は僕と貴方の二人きり……それだけです、ふふ」
「ッ……」
名無しは自分の顔に何かついているのかと慌てたけれど、その割には文字に倣うような動作は起こさず、ジェイドの疑問の種を解こうと一考していた。
まあこたえは簡単で、背後に居たフロイドが忽然と姿を消していたのが正解だ。
いつものように、二人に弄ばれる体で此処に来させられていたし、その分フロイドが居なくなっていたことは驚いたものの、彼の性格を思えば納得もいった。
納得できるほど回数を重ねてきた……ということは、あまり考えないようにしながら――。
「こちらにどうぞ?名無しさん」
「…っ……はい…」
「……疑問ですね、貴方はフロイドには普通に話すでしょう……何故僕には敬語を?」
「!え……そんなことは…ないです…、あ」
「っ…ふふ……そんなことあるじゃないですか。可愛いひとですね」
「…ッ……からかわないでください…」
「いけませんね……本音なのですが…。それよりほら、お茶でも飲みましょう」
「………」
悠長に茶を嗜んでもいられない。
此処でジェイドに出されるそれはいつも間違いなく美味しくて、他では味わえないものだということは、香りや、彼の茶を淹れる所作を見ていればよく分かった。
どんなにいいものを茶菓子とともにあてがわれようとも、素直には喜べない。
本当は味を含め、薫り高さのひとつにでも馬鹿みたく感動してみたい……。
そううっすらと思っても、このティータイムが終われば、優雅に見えるそれとは程遠いことがいつも待っていた。
「それにしても……残念ですね、フロイドが居なくなって」
「、……いえ…」
「……これも疑問だったんですが、貴方はどうしてフロイドを好きになったんですか?」
「!!え……っ、いえ、あの……」
「大丈夫ですよ、僕は途中で気が逸れたりなんてしません。最後まできちんと伺いますよ……まあ、フロイドから少し聞いてはいますが、むしろそっちの方が本当かどうか…ふふ」
「~……試合で……あのひとのプレイを…、――……見て…それだけです……」
名無しはその日、ラウンジのなかはバーカウンターに案内されていて、高いカウンターチェアに腰を下ろしていた。
男性ばかりが集う場所というのもあって、椅子の足置きまでは自身のそれが届かず、膝から下が少しぷらぷらと揺れている。
行儀としてはしたなく思われるのは嫌だった。
だからすぐに力を入れてきちんと両足を揃えていたのだけれど、隣に座したジェイドと比べると、彼の持て余しようは実に様になっている。
異性の違いはあれど、それでもだ。
カウンターに揃って並んでいたのは、紛れもなくジェイドの淹れた、茶の入ったティーカップだった。
なのに酒をも彷彿とさせるような妖艶な雰囲気が漂っているのは、彼の纏う寮服と、暗い照明のせいだろうか。
「……純粋ですよね、貴方は本当に…。人間のそういうところ……特に女性には敬意さえ覚えますよ」
「――……うそつき…」
「………」
店内の装飾や演出はもうすっかりと見慣れていた筈なのに、未だにラウンジの空気にはのまれそうになる。
フロイドに比べてまだまともな会話が出来るジェイドとは、それがいつもより弾む所為か、熱い紅茶は互い口に通すと、すぐにカップは軽くなっていた。
まあ、熱のある美味いうちに嗜み切るのは普通だろう。
それにジェイドだって、ただの茶会を開く為に名無しをいつも呼んでいたわけではないのだから。
「!!……ッ…あの……もうですか…?移動…」
「フロイドは最近どうです?貴方に優しいですか?それとも……相変わらず酷いですか?」
「ひ、……どいって…どういう……」
「ああ……酷さに慣れてしまって、それをそうとは思えなくなったということですかね」
「っ……まだ何も言って…、……」
「――時々……僕が居ないときは、僕を求めるようになったと聞きましたよ」
「!」
緊張で強張っていた身体が、紅茶を飲むことによって解れてゆく。
ありがたい話ではあるけれど、口腔に残る茶葉の清涼感がこれから淀み、掻き消されるのは惜しく感じた。
つねに口調の変わらない、それゆえに気性の変化も把握しにくい。
そんなジェイドの思惑を読むことなど名無しには絶対に不可能で、だからこそ、今耳にした言葉に詰まったことは、彼女には痛烈だった。
「…え……」
ふたつの空のカップに手を伸ばし、それをカウンターの一箇所にすっと集める。
自分たちの正面には食器も何もない、完全に無の状態をジェイドは自然と作っていた。
棘のある言葉は片肘を卓上につき、小首を傾げて微笑まれ、そして問われる。
足も組んだまま……顔を覗き込まれたときのジェイドの表情は、どう考えてもこちらの返答に期待を寄せ、楽しんでいるように名無しには見えた。
「そ……、れは…」
「だから貴方は……今みたいな状況を、本当はずっと待っていたんじゃないですか?……名無しさん?」
「ッ……変なこと言わないでください…そんなわけな……、!!」
「悪くないですよね……二人きりというのも。だから今夜はおもいきり楽しみませんか?……フロイドのことは忘れて、ね」
「や……!んッ」
茶器がカウンターの遠くへ置かれた時点で察しはついた。
到底、気付きたくもないことに……。
ジェイドは、カウンターチェアの座面を支えるポール部分をきしきしと撓らせ、上肢を乗り出して名無しの返答を待っていた。
当然、楽に応えられるわけもなかった名無しは口を噤み、彼の居ない方へと首を動かす。
するとジェイドは、そんな所作は許さないとでも言わんばかりに彼女の顔へと手を伸ばし、少し痩せた顎を掴んだ。
振り向かされ、頬骨に痛みが走れば、次に名無しが感じたのは痛覚ではなく、キスによる少しの快楽だった。
「んん……ッ」
「ちゅ……」
「、…ッは……ァ」
「ふふ。かわいいですよ、名無しさん……好きですよね?僕に愛されるのが」
「ッ……ちが…、」
「ん?」
「――、…っ……は、い…」
否定することは言葉ひとつでどうとでもなる。
が、胸に覚えるのは、嘘を重ねるという罪悪感だった。
図星を突くのが、どうして二人揃ってここまで上手いのだろう……。
名無しはジェイドに触れられた唇に浮かれた気持ちを抱き、一度の拒絶だけで、その後はすぐに首を縦に振ってしまっていた。
勿論、頬は赤く染めて……。
望んでしまった瞬間に、フロイドが居なくなっていたことへの寂しさ、そして嬉しさ、両方の思いを秘めながら、自らの椅子のポールを軋ませる。
重心がジェイドに寄ると、彼は名無しの身を軽々と抱き上げて、カウンターの上へと腰を下ろさせた。
それでもまだ高身長のジェイドを悠々見下ろすまではいかず、高さの似通った場所で視線を合わせる。
名無しは再び唇を重ねられ、ラウンジにはそのとき初めて、ぴちゃぴちゃと水音が響いていた。
――――。
「はぁ……ん…っ、あ…」
「嬉しいですね……こんなに早いうちから貴方の甘い声が聞けるなんて、ふふ」
「ッ……」
「我慢しなくていいですよ?カメラも切ってありますし……誰に遠慮するでもなく、僕にすべてを見せてください」
「、…カ……、…ッ!んぁ……」
「これが切れていなかったら大変でしょう?想像してみてください……たとえば、酷い剣幕のアズール、とか……ふふふ」
ジェイドのキスはとても優しくて、けれど時々激しくて、海に似ていると思った。
静かに波打っているかと思えば急に荒れ狂う……聞こえる卑猥な音も、その触れ方で大きく異なっていた。
名無しがジェイドに惹かれていたのは、フロイドにないその甘さゆえだろう。
女が悦ぶことをすべてしてくれる。
たとえ嫌だと言ってもしつこいほどに。
それが体質的に合っており、身体に齎されるものは本当に大きかった。
「あ……っ」
「ん、…ん……」
満たされる域に達した愛撫を絶えず続けられるということは、性癖を暴かれているような気がして当然恥ずかしさも沢山あった。
が、弱みを握られていれば、そんなことはどうでもよくなるのもまた当然なのかもしれない。
その弱みこそが既に、恥辱にまみれていたのだから。
あんな写真を他人に見られるくらいなら……そう思えば、彼ら二人との淫行も耐えられた。
たとえ耐えられないもう一人の自分が心の中で咽び泣いていても、選択肢がなければ、受け入れざるを得なかった。
「はぁ……は、…んぁ……!!え…」
「フ……その反応…初々しさも予想どおりですね。今日はこれを使いましょう」
「?!……待…っ、そんなの…んッ――」
「初めてですか?なら……新しい快感を知ってください。僕はそれを見ています」
「ッ……」
本当の恋人同士のように交わす口吸いは、ずっとずっと続けてもいいと思えた。
それだけ心地よくて、ジェイドの舌に口腔を撫で回されることが嬉しかった。
ふと、名無しがキスに酔い息を乱せば、名残惜しく唇が離れてゆく。
そんな折にジェイドが上着の物入れから出してきたのは、彼女にとって、直接目にするのは初めてのものだった。
名前も知っている。
用途も分かる。
いざ目の前にすると、募るのは不安と恐怖だ。
忘れられていた後者が名無しを瞬く間に支配し、その名を背負うかのようにジェイドは微笑を浮かべている。
背負うも何も、本来なら名無しにとっては、彼だって恐怖そのものなのだ。
それをセックスでごまかされてきたことを思い知る瞬間が、まさにいまだった。
「!!いや……ッ、それは…あ……」
「?……目の当たりにした後の反応は悪くないですね、まだ電源すら入れていないというのに。ふふ……では、どうです?」
「あ……!んぁ…あッ」
「貴方の嫌という言葉には、いつもじゅうぶんそそられているんですが……勝てないんですよね…、手のひらを反した瞬間には」
ジェイドが手に持ち出したのはローターだった。
手中におさまるようなサイズの楕円球の振動部分。
長い有線の先、リモコンにはスイッチが見える。
名無しはカウンターに座らされて、唇と、上から順に肌への愛撫を浴びていた分、一気に夢心地だった気分を削がれていた。
耳元で曲線を舐られていたとき、それをもっと続けて欲しいと思った矢先にローターが視界に入って、背中に漂う嫌な汗には生気さえ減少してゆくような感覚があった。
ジェイドは名無しのスカートの中をまさぐると、下着の上から指で陰部を一度撫で、そこに楕円の先を宛がった。
「……ッ…ひ…」
「嫌いじゃない筈ですよ……こういう類でご自分を慰める女性も少なくありませんから」
「っ……わたしは…、ひぁ……」
「ええ…僕も少し心配です……。興味があったので今こうして自分で使ってはみましたが、貴方が僕よりもこれを好いてしまわないか…」
「や……ぁ…ッ」
片膝を立てさせられ、露わにもさせられた下半身はその体勢から下着が食い込み、生地ごしに映る縦筋がとても卑猥だった。
その線の上にローターを押し当てるジェイドは、フロイドのように口角を持ち上げて黒々とした笑みを浮かべている。
紳士的な態度や口調に変わりがない分、悪逆たる微笑にはどこまでも背筋が凍った。
なのに、身体は既にジェイドを欲しがるかのように火照っている……。
名無しは彼の腕を掴んでローターを離すよう願ったけれど、そんなことは無駄に終わるのもまた目に見えていた。
「だめ…ッ、へん……へんな、の…」
「何がです?振動が足りないとか……?少し強くしてみましょうか」
「っ……へ、ぁ…」
ジェイドが手元で電源をオンにすると、無機質な機械音が二人の耳に入った。
そこに混ざるのは、名無しの力ない嬌声だ。
使用経験がなかった彼女にとっては、それに対しどう反応すべきか困惑していて、ジェイドの名無しを見る表情も実に新鮮だった。
ジェイドは、変化かなにかを求めていたのだろうか……思惑は分からなかったけれど、楽しんでいることだけは嫌でも伝わる。
内腿を震わせ、足はつま先がぴくぴく動く。
やがて下着ごしのゆるやかな振動は、段々とその強さを増し、名無しを慣れさせる。
その慣れから、一線を越えた瞬間が更にジェイドを上機嫌に、饒舌にするということを、彼女はまだ知らなかった。
「や……変…なんです、ほんとに……だから」
「……?」
「っ……足りない…、もっと……強くして…」
もしもジェイドに、ご自分が何を言っているか分かっていますか?と訊かれれば、潔く認めるつもりだった。
それほどの覚悟が一瞬で決まってしまうほど、もどかしさは名無しを容易く翻弄していた。
オッドアイの片目がきらきらと光っていて、綺麗に感じるジェイドのそれは、ハイライトの奥に淀みを漂わせている。
同時に彼の身体も熱を孕んでおり、興奮の原因は勿論、名無しの陥落にあった。
「――、……ふふ…、こうですか?」
「あ…!……ちょ…くせつ……あてて…焦れて…へん、だから……ッ」
「!……」
ジェイドの読みは正解に近かった。
近い、と添えたのは、思いのほかその陥落までが早かったからだった。
彼は名無しに大股を開かせ、片方は自らの膝で引っ掛け、自力で下肢を閉じられないようにしていた。
歯痒さ、くすぐったさ、もどかしさを経て、辛そうに身体をこちら側にもたれさせている。
その姿はどうにも可愛くて仕方がない。
他にして欲しいことが沢山あって、それらは順番に口にしていかなければ与えられないようなものだ……名無しはそれすら言えなくなるほど、初めてのローターに唇を震わせている。
段々と、機械のしていることがジェイドの舐陰に似ていると感じられれば、名無しはゆっくりと吐息を漏らし、おねだりを再開するだけだった。
この、ねだられる瞬間がまたたまらない――。
ジェイドは名無しの耳元に近付き、そこで甘く問いを紡いだ。
「強く、ね……それに直接だなんて……下着も?脱がせてもいいんですか……?」
「…ん……ッ、おねがい…します……はやく…」
「他には…?名無しがちゃんと全部言えたら、全部して差し上げますよ……特別です」
「ッ……あ、ぅ……、っ…」
「――言えないならコレは片付けて……今日は終わりにしましょうか」
「!!や……っ」
「フフ……」
名無しを自らの手のひらで転がすのは本当に愉快だった。
泳がす、と言ってもいいかもしれない……水の中でもたつく彼女をじわじわと追いつめ、自分にとって得手の詰まったその場所で、絶望と享楽を同時に見せる。
ジェイドは時折小刻みに息をふきかけ、名無しの反応を煽りつつ、彼女がきちんと思い通りの回答をするか試していた。
多少、いつもよりハードルを上げていたのは、自身にも恒例になりつつあったものにマンネリを覚えていたからだろう。
じっくり、ゆっくりと、より恥辱を味わわせてゆくために――。
赤面に唇を濡らす名無しの表情に、ジェイドも下着をじっとりと湿らせ、そこを禍々しく怒張させていた。
「ピンクの、それ……直接あててください…あてて、名無しの身体も、……いっぱい舐……」
「コレをどこにあてて、貴方の身体をどうしろと……?ちゃんと言えたら、ですよ…」
「ッ……や、ぁ…」
「や……じゃなくて。……おしまいにされたいですか?無理でしょう……欲しくて欲しくてこんなにぴくぴくさせて……四の五の言わずにほら、上手におねだりは?」
「!…、ひ……ん…、――…ローター……名無しにあててください…ぎゅッ…て……」
「……どこに?」
「っ…名無しの……ッ、ク……、っ……おねがいします…っも…」
「はぁ……惜しいですね……、もう少しで聞こえそうだというのに」
「……ジェイド…ッ」
耳元の震えが首筋に移ると、またじれったさが名無しを襲い、陰部はうずうずと熱ごもっている。
精一杯口にしたつもりでも認められず、無慈悲な言葉をジェイドが注ぐ。
いつも以上に意地悪で、名無しが今のジェイドをフロイドのように感じるのは、彼らが比翼だったからだろうか。
鈍い刺激が下半身を無にしてゆく……。
今、なにひとつにも感じられなくなることは、名無しには酷が過ぎた。
だから―――。
「ジェイド……」
「!」
「ッ…、脱がせて……クリにいっぱいあてて…、ジェイドの舌でもいっぱい…舐めて………」
「――……いい子ですね…。そうやってお願いされると、叶えないわけにはいかなくなるじゃないですか……んん」
「……ッ!!あ……ぁ…ッ…」
名無しが声を絞り出せたのは、ジェイドと一緒に好くなりたいという想いも強かったからだろう。
無情に犯されて、慈悲の浅さをいつも大いに感じ取ろうとも、名無しに注がれる彼の愛撫だけは本物だった。
結果的に露骨に淫語を言わされた名無しは、赤く火照った頬や耳に気怠ささえ覚え、まだ果ててもいないというのに意識が一瞬遠のいていた。
それはまるで、異性に強く恋慕している片恋の瞬間のような……甘酸っぱさに胸が締め付けられる、あの心地によく似ていた。
けれど、目が合うのは紛れもなくジェイドである。
本来思慕した、もうひとりではなく……。
「!あ……んん…ッ、ふ…」
「沢山好くして差し上げますよ……ん…ほら、少し咥えていてください…ちゃんとね」
「ッ……ん!ん…」
名無しが恥辱を味わうその瞬間を間近に、酔狂な想いと昂りが止まらない。
ジェイドはうわべだけは感化され、彼女の言う通り、約束を果たすため下着に手をかけた。
愛撫にはより熱を込めるべく、そして自身の両手も使うべく……。
リモコンを名無しに口含ませれば、その咥えた表情、膝を曲げ、カウンターのふちに両足をつけた光景はどこまでも淫猥だった。
ジェイドは僅かながら、滅多に見せない舌なめずりをして名無しの欲望を更に煽り、下着を脱がせて露わになった陰部へ直にローターをあてる。
そして、ずっと頭に近い部分をキスや舌で舐っていた分、今度は彼女の下半身からあらためて攻めた。
「!!ふ、ぁ……あ…ッ」
「気持ちいいんですね……そんな可愛い声で啼いて…ふふ。ちゃんと言えたら、いいことってありますよね…んっ……チュ、ん……はぁ」
「!ひぃ、ん…あ……」
「僕も、ちゃんと貴方の此処を捲って……ほら、クリトリスに直接あたってるでしょう?ピンク色の……いやらしいのが丸見えですよ」
「ッ……や、…」
「本当……よく見えます……。いつも此処をぐちゃぐちゃにされているんですよね……?僕とフロイドに」
「…ッ……」
「フ……、ああ…また濡れて……ヒクヒクして止まりませんね」
覚悟を決めて卑猥にねだったその果ては、名無しの思う以上に享楽にまみれていた。
名無しはふいにリモコンを咥えていろ、とジェイドに言われたけれど、それを落とすなとまでは聞かされていない。
が、耳にせずとも、今は落とせばきっと状況が変化してしまう……そういう局面であることを、悶々とした意識でもなんとなく分かっていた。
陰部の傍にしゃがみ込み、そこで話すジェイドを見ていると、まろやかな視線に混ざる闇がある意味目立って映っている。
もっとも、いまの名無しにももはや絶頂のことしか考えられず、彼に従うほか道がなかった。
カウンターに手を付いたり、その手をジェイドの髪に触れるために動かしたり……。
機械によって齎される愛撫に、赤々と充血した芽は、ジェイドの舌と今すぐの絶頂の両方を求めている。
そうやって時々腰を浮かして、欲張りながら着実に終着点を目指していた名無しは、いよいよ強要される前に自ら口にした言葉で、彼を驚かせた。
「ん……ッ、ジェイド…」
「!……どうしました?ちゃんと咥えてと言…」
「イキたい……も…挿れて……?ジェイドのでいきたい…っ」
「ッ……、!…ん」
「ジェイド……んん…」
自分のテリトリーの中で泳がせていた筈の名無しが、意思を持って強かな目でこちらを見下ろしている。
勿論、いやらしく潤んだ瞳の色に変わりはなかった。
色情に溺れて、届きそうで届かない地点にもがくはしたなさも右に同じだ。
ジェイドはほんの一瞬、陰部に意識を向けていたあいだに、乱れを増した名無しに虚を突かれていた。
同時に耐えていた下着の内側は、一刻も早くどうにかしたいという衝動に駆られ、彼の胸をトクンと高鳴らせる。
耳に触れられる非力さに抱くは、少しの情だ……それがどういう名のものかはジェイドには分からなかったし、詮索する気もなかった。
が、名無しの望みを聞いてやりたい、叶えてやりたいと思ったのは事実で、健気な懇願に彼は素直に立ち上がると、名無しに両手をそっと伸ばした。
「?!…あ…っ…」
「……ッ…」
伸ばした両腕は、カウンターに居た名無しを抱き留めるため。
彼女を横に抱いてジェイドが向かったのは、背後のソファ席だった。
名無しからローターを奪い、指に絡む弛んだ有線が、ジェイドの手をいやらしく演出している。
それは後でまた使うにしろ、彼がいま求めていたのは、自らもまた名無しに沈むことだった――。
「ッ……ジェ…、…!!」
衝動的になるなど、まったくらしくもない……。
分かっていても、だからこそ甘んじて受け入れるべきだと、ジェイドは淡く笑んだ。
自らが仕込んだ名無しの誘惑が本物ということなのだ……育てた愛玩の行く末が実を結んでいたことを、彼はなによりも嬉しく思っていた。
「あ……あッ…」
「……ッ…そんなに卑猥にせがまれたら、乗って差し上げなければね…んっ……あ…」
元々、今夜はカウンターしか使う気はなかった。
適当にその場で下ろして、適当に背後から突いて、ただの雌に成り下がった名無しをひたすら喘がせる……つもりだった。
テーブルにまで移って名無しを抱き伏せたいと思ったのは、絆されていたからじゃない。
自分の思う以上に仕上がっているいまの彼女は、適当なんて扱いでは到底片付かないと判断したのだ。
ジェイドは長らく耐えていた自らの下半身に触れると、猛々しく勃起したそれを名無しに即座に挿入し、ぐっと奥を突いた。
反動でテーブルの面にぶつかったローターがかたかたと音を鳴らし暴れていても、構わずに腰を打ち付け、激しく彼女を犯す。
濡れきった名無しの内部はそれはそれは心地よく、ジェイドは一切の律動をゆるめることなく、二人で快楽のかぎりを共有した。
「!!……や…、ァ……」
「……心配しなくていいですよ…貴方が好きなことは全部…んん……チュ…ちゅ……」
「ッ……ひ、…ああ……」
「フ…それが約束ですからね……ん、っ…ちゃんと言えたご褒美なんですから…、これも……もう一度使いましょうね」
「……ッ!だめ……それは…っ、ジェ…ッ……あ…ァ――ッ!」
「達ってください……名無し…っ、ハァ……可愛い可愛い、僕の名無し……ン―――ッ」
いつも錯覚を起こさせるために、ジェイドが口にする言葉があった。
どんなに二人の慰み者として凌辱的な扱いを受けていても、彼だけは悦楽の瞬間、仮初めの夢を見させてくれる。
まるでペットのように、自分たちのものだとばかりに頭を撫でられ、恍惚に染まった表情を見下ろす彼らの顔がどんなに蔑みを表していても、逃れられずに最後には手を取った。
烈のなかに混濁する、少しの濃密な甘み欲しさに……。
特にジェイドに囁かれる度、嘘でも幸せだと思ってしまうのは、術中に嵌っていたいい証拠だ。
「……っ…あ…ジェイ……ド…」
「ハァ……ふふ…、すごいですね…まだこんなにも蠢いて……僕のを締め付けて離さないなんて……本当に人間の女性の身体は興味深い」
「っ…や、……っも、……いって…もういったか…ら……!ア…ッ」
「ほら、遠慮しなくていいんですよ……もう一度達って、そのカオを僕に見せてください……名無し――」
「…ッ…だめ、……イ、ッく……ジェイド、…―――ッ」
名無しが漸く味わった一度目のそれは、ジェイドの欲望を膣に、そして、ローターを正常位によって剥き出しになっていた陰核にあてた状態で齎されていた。
テーブルに名無し一人を寝かせて、ジェイド自身は立ったまま与える……。
片手でローターを持ち直して強く触れさせれば、陰部の二点を責められた名無しはひとたまりもなく、卑猥に嬌声を散らし悶えた。
もどかしかった筈の鈍い快楽が一気に強かになり、彼女のキャパを越え大波となって押し寄せる。
反動で窮屈に引き締まる膣がジェイドをも巻き込めば、射精の誘発もまた自然なことだった。
二点どころか、ジェイドが上肢を倒せば、名無しが好きなキスも交わしながら……。
互いの頭が真っ白になってもジェイドは陽物を抜かず、ローターも赤すぐりにあて続けていた。
「はぁ……はぁ…!ん……」
「………」
それは膣中へ精液を吐いたとき、彼が思わず口漏らした言葉に、名無しが気付かないようにするためでもあった――。
――――。
「僕の、ね……ふふ。……僕たちの名無し、でしたね……ねえ?フロイド…。これでは僕が、あなたを差し置いて抜け駆けしたことになってしまいます。フッ……――」
度重なった、連続で与え続けられたものに身体も心もついていけない。
嬌声がただの甘いそれから、喉に負担のかかるようなものへと変わって初めて、ジェイドはローターを名無しから離していた。
はぁはぁと辛そうに息をする名無しの、汗の絡んだ艶やかな髪を撫でる……。
ジェイドは冷静に、それでもまだなんとなく、彼女の内部でその感触を堪能していた。
男は事後に淡白になる方ではあるけれど、ふと、まだ少しだけ余韻に浸っていたいと思った――。
「……名無し?……!ああ…流石に疲れ果ててしまいましたか……本当に可愛いひとです……」
やがてジェイドがゆっくりと名無しから離れると、名無しは腰を震わせ、一度彼と視線を合わせながら静かに目を閉じた。
もう開けてもいられない……そう思わせるような、ぴくぴくと震えたまぶたがゆっくりと閉ざされる。
ほどなく彼女の意識がすっと消え伏せれば、ジェイドは汚れた名無しの内腿に目を向け、浅ましく微笑んだ。
清廉な肌色に乗る白濁。
そのなかに更に赤黒く混ざるのは、先刻カウンターで残していた、自らの噛み痕を黙って見つめていた―――。
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20200412UP.
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