主≠監。
dreaming island
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「――ッ……、え……」
ジェイドが居なくなってからは、ずっとずっと静寂が続いていた。
だから彼が去り際に響かせて、やがて遠のいていった靴音の、今度は近付くそれが聞こえて名無しは驚愕していた。
連絡できずじまいのスマホは握り締めるだけのまま。
着実に大きくなる足音に不安を覚え、咄嗟にその場にしゃがみ込む。
その音が何処まで近付き、何処で止まるかなんて想像したくなかった。
身支度を終えている今、見られてまずい光景はなかったけれど、関係者以外の人間が此処に居ることを咎められるのはおそらく必至だ。
「……ッ……」
が、名無しは直感でぴんときていた。
足音は絶対にこの部屋の前で止まることを。
その足音が誰のものだったかを――。
「、……ッ……あ………」
「!……ハァ……、よかった……。今度はちゃんと居てくれて……」
「っ……」
しゃがみ込んだ身体は上肢の傾倒を防ぐため、作業台のふちに手を掛ける。
ああ、扉が開かれるのだな……そう思った瞬間、出入り口は名無しの予想どおり開閉された。
胸の痛みは、改めて抱く罪悪感。
それでも並行して舞い降りる安堵感。
どのみち、どうしたって驚きは隠せなかった。
名無しは、今度こそ確実に自分の元へと来てくれたトレイ本人に瞳を潤ませた。
「ト……」
「――……さっき校舎の廊下ですれ違ったよ。……ジェイドから、お前のシャンプーの香りがした」
けれど自然と溢れそうになった涙は、雫として形成される前にすっと引いていた。