主≠監。
Be blessedⅢ
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――寝かされた机上がまた揺らめく。
ベッドさながらに軋みをみせる四方の脚は、何度も床に対し、小刻みな摩擦を孕ませる。
名無しの艶めかしい身体の動きは、迎えたらしい絶頂あってのことだ……。
その身を押さえつけるジェイドも、崩れかけたバランスを保とうと強く靴音を鳴らして耐えていた。
「チュ……んん。……ふふ」
「っ…――……ッ…、ィ……ド…っも、……」
夥しい水音のなかで響いた名無しの嬌声は、結果としてジェイドを満たす域には入っていたらしかった。
それを物語るかのように舌を伸ばし、上唇を舐める仕草を見せる。
口周りに絡みついた彼女の蜜を改めて堪能し、当然の如く自らの昂りも、ジェイドは下半身を静かに一瞥することで再確認していた。
「はぁ……」
一方、陰核によって頻度短く果てたばかりの名無しにとって、ジェイドから解放されると思い込むには今はまだ早い段階だった。
そしてその不安が一瞬で自らに降りかかったことにまた絶望感を抱き、絶えず脳裏で願い抱くのは再び解放と、トレイに対する罪悪感に近い感情だ。
「ん……、…フッ……ああ……本当にとろとろですね……先程は僕が来ると思ってか、どうも足に力を込めていらしたようですが…今ではこんな……」
「…はぁ……っは…ッ!んん……」
「ちゅ……ン。――……声、沢山出てましたね……とってもえっちでしたよ?ふふふ」
「ッ……ゆ、る……」
「本当に……痛感させられます。僕のクンニで感じて、いやらしく悶えて達く貴方を…僕は……」
身体に循環する血の巡りが速まっているのが分かる。
多幸感に押し潰されて、指先の一本も動かす気力さえ起こらない。
そういう絶頂を味わわされて、短い呼吸で酸素を求める名無しの唇を、ジェイドは容赦なく塞いでいた。
再度その場から立ち上がり、乱れた彼女に覆い被さる大きな体躯。
下半身への刺激はジェイドの言いつけに従ったおかげか、幸い続行されるような気配はその場では感じられなかった。
――けれど、やはり名無しの淡い期待は叶わないのが現実だ……。
「ッ……!や……だ、なか…も、…もう挿れな…で……!!ッ……んぁ…」
「おやおや……抜いたらきもちいいのがなくなりますよ?クチュクチュくちゅくちゅ…ふふ、ほうら……えっちな音……胸もこんなに鳥肌を立てて」
「ちがう……きもちよくない…から……、……!!ひ…ッ……」
「いけませんね……素直でいてください?たった今、また僕のを一瞬で飲み込んで離さないのは、名無しのココじゃないですか。ふふ」
「ッ――!あ……ぁ…っ、ッ――」
一度の中達き。
二度の外達き。
それを経てまだ続く地獄。
ジェイドは間髪入れずに名無しにそれを宛がうと、再びその濡れた内側へと欲望を潜めた。
最奥まで突けば膣がきゅんと窄まり、ジェイドの眉を絶妙に顰めさせる。
腰を退けず、逃げられない上からの圧に快感が駆け抜けて、認めたくない心地好さに名無しの喉元からは嬌声まじりの悲鳴が上がった。
「ジェイド……や…らめ……ほんとに…もう抜い……」
「……。正直……先程トレイさんが電話越し、貴方に謝っている姿をお見かけしたときには驚きました」
「!…ッ……」
絶頂後まもなくの陰核は、いまだ充血したままだった。
そこが律動に紛れてジェイドの肌に触れれば、名無しに歯痒さを背負わせる。
擦れるその感覚には目がチカチカとして、焦点が定まらないような快楽に落とされそうになって、名無しは正気でいることに必死だった。
再び繋がった関係を断つために、懸命に彼の胸元を押し返す様子は相変わらず健気そのものだろう。
そんな折、奇しくも律動が穏やかになると、快楽以外のまともな思考を名無しが持てるまでにジェイドはペースを落としていた。
もっとも、話す為に仕方なく緩やかな動きにしていたことは明白だったけれど……。
名無しはジェイドの饒舌さに驚きながらも、聞き入れるしかない状況に止むを得ず耳を傾けた。
「彼なら今すぐ名無しに会いに行くだろうと思ったんですが……まさかご自身の仕事を優先させるとは……ふふ、意外でした」
「…っ……意外……?ちがうよジェイド……だって、…それがトレイの役目……だもん……。私はべつに気にし……、ッ……だからジェイ、ド……」
「……ええ。僕はちょうどフリーでしたからね……」
「っ……」
「ですからあんなことがあった後、トレイさんにすぐ会えない事が確定した名無しが抱く寂しさが計り知れないものだと思うことは、僕にとってはあまりにも容易でした」
「ジェ……」
「寂しい思いをさせるわけにはいかないでしょう……身体が空いていた、それなら僕が……と。ね?ふふふ……まあ、なんとなくトレイさんの様子を窺ってみたのは正解でしたね」
「!ひ……ぃ…あ……」
これまでのことを楽しげに口にするジェイドの微笑は変わらず妖艶だった。
企みに満ちた顔……そう見えて存外、思慮深くもなさげな読めない表情。
ただなだらかな腰の動きに甘美な快楽が鈍く伝う……名無しは身体の奥に抜けるそれに感じまいと、ひとり唇を噛み締めていた。
「改めて言わせていただくと……薬も単純に試してみたかったですし……いい機会でしたよ、本当に」
「あ……んっ…」
彼の言葉に真意を見出し、トレイに扮した経緯までを漸く知った。
今この状況に陥ったことはまるで必然かのようにジェイドは話すけれど、名無しはそれを決して認めようとしなかった。
名無しにはトレイが来てくれなかったことを恨む理由もないし、彼自身にあてがわれた、副寮長としての務めを優先してくれたことのほうがむしろ誇らしかった。
そんな心持ちでいる姿勢は、きっとジェイドにとっては面白くない筈だ……。
だから名無しは意地を張り、たとえ騙され、貶められたままの状態でも、自らの持つトレイへの慕情を今一度ジェイドに示してみせたのだ。
「さて……今日の今までの出来事はすべてお話しましたよ……だって、貴方があまりにも疑問に思う表情をしていたものですから……。スッキリしましたか?」
「な……ッ……あ…ァ……」
「これで集中できますね。僕とのセックスに……ね、名無し?」
「や……いや、…あ……ッ」
むきになってジェイドを煽るような……自尊心を傷つけるようなことを多少なりともして、結果抱かれ続けている今のこの状況は否定できないし変えられそうにもない。
それでもトレイを想う気持ちに嘘はつきたくなかったから我を通し、名無しは本心を貫いた。
どうせ最後まで逃れられなくとも、身体は感じていようとも。
せめて爪跡を……できることのすべてを残すことで、肉体的にも精神的にもはやく解放されたかった。
名無しが頼った、甘えたかった、縋っていたかったジェイドはもう、すべて過去のことだから……。
「名無し」
ジェイドは名無しの返答と、そこに垣間見せた芯の強さにほんの少し驚いていた。
けれど結局のところ、名無しにとっていま彼女が相手をしていたはジェイドなのだ。
幾度となく窮地から自分を救った彼より優位になれるなんて思っていない。
昔とは違う……ただ抗う態度があるかないか、その気持ちが重要だと思った。
「名無し」
――どんなに智略的になろうとも、ジェイドはその上を必ず行く男である。
そして今もまた当然、例外ではなかった。