主≠監。
Be blessedⅢ
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目まぐるしく起きる状況変化に心が追い付かない。
噛んだ指はすぐジェイドに解かれて、体位を継続することを強要させられる。
名無しは打ち付けられる度に身体に走る快感に耐えながら、ジェイドがゆっくりと自身を偽っていた、そのからくりを聞いていた。
確かに、彼の寮に馴染みのある逸話のなかに、そのような魔法薬はあったように思う。
身体だけの関係、ごく稀に互いのことを話してきたうちの、捻り出さなければ失念し続けているであろう程度の会話はしたかもしれない。
矛盾点は、声までは偽れない海の魔女はそれを奪って、貝殻の中に備えていたらしいことだ。
ジェイドがどのようにしてトレイの声音を模倣したかは分からなかったけれど、わざわざ言及できる余裕など、今の名無しには勿論なかった。
「!っ…あ……んぁ…、あん…ぁ……ッ」
「フフッ……ね?では……畳み掛けるようなことを敢えて言いましょうか。……貴方はやはり、僕を心から拒んでいない。名無し……ナカ、きゅんって締まりましたよ?」
「ッ……ちが、……う、……らって……トレイ、に……ずっと、トレ……ひぁ……」
悩ましく、ときに激しく陰部を刺激されて、名無しはそんな状態でうっすらと考える。
ジェイドがここまでする理由を、その意味を……。
そして一生出せない回答に苦悶し、読めない彼の想いに翻弄させられる。
「あ……ァ…ッ」
「トレイさんに……?耳も、首筋も……乳首も。敏感な部分を隈なく舐め回されて……焦らされた上でココをひくつかせて……気持ちよさそうによがっていましたよね、ふふ」
「ッ……あ…」
「まあ……蓋を開けてみれば、先程までのそれは僕の愛撫だったということになりますが……真っ赤になったクリトリスを僕に刺激されて感じてる姿、とっても可愛かったですよ。とっても」
「ちが…ッ……いや…っ!んあっ……ジェイド……や、ら……ああ……ッ」
こうなってしまったことの過程の殆どを知っても、まだまだ理解には及ばないものがあった。
甘い誘惑から逃れたさに意識を違うことに向けようとも、儚く戻されて身体には電撃のように快楽が巡らされてゆく。
ジェイドはどこまでも容赦なかった。
過去に重ねた肌の数、その大半と同等の趣旨を今も向けられて、知り尽くされた自分の性癖のど真ん中を強かに突かれる。
耳元で響く声色はもうトレイのそれではないのに、どうしても感じてしまっては膣を窄め、ぴんと勃った乳首がジェイドの服に擦れ、ゆるやかな快感に小刻みに震える。
卑猥な囁きに負けたくない。
負けたくないけれど、甘ったるい声に混ざって聞こえるのは、馬鹿のように溢れる自身の甘露がぬたつく音だ……。
「ねえ名無し……このまま、いっそ何も考えられないくらい、もっともっときもちよくなりたいですよね……?分かりますよ。貴方が僕を嫌いになれないことくらい」
「ぃ……っ!や……んんッ…」
「折角忘れかけていたのに。心も身体も、ずっとトレイさんに満たされて、愛されて……お話されたんでしょう?僕とのこと。いちばん大好きな人には、理解されたいですものね」
「ひ、ぃ……んぁ…ッ、ア…あ……」
「彼はとても優しい方ですから……名無しの話にも真摯に耳を傾けられたのでは?貴方も……打ち明けたことで、きっとあの雨の日の悪夢だって霞んでいた筈なのに……」
「ッ……いや…ジェイド、もう……っ」
「それでも貴方は」
「!…め、……やめて……言…、ひゃ……んぁ…、ジェイド…あ……ッだめ……」
「結局、忘れられないんですよ……。だって、貴方に降りかかった本当の醜い悪夢から救い出したのは……ン…――」
「!!ジェイド…ッ……あ…アッ……だめ!やだやだイ……ッ…もう突か……んん……あァ――ッ!!」
――お互いに求め合っていたとき以上に激しく詰められる。
身体も、心も……。
甘さや少しの嗜虐性、すべてにおいて、いつも以上のジェイドの意思を名無しは感じた。
重なる視線は字の如し重く、たとえ間近で合っても、絶対に彼の左目が光ることはなかった。
それでも名無しが怖かったのは、本来本心の分からないジェイドの言葉に、それが垣間見えることが増え続けている一方だったからだ。
こんなただの、ただ難のあった交際相手とその周囲の男たちから、偶然自分を救っただけ。
そこから無感情で続けてきただけの、決して清らかでない他人に打ち明けられない裏の関係。
こんな自分に本音など、それを知る術なんて永遠に、お互いにないと思っていた筈なのに――。
「ぁ……は、ぁ…んぐ、ンン……!ん…、いや……ジェイ…ろ……」
「――……貴方はトレイさんが好きだ。けれどどうしたって……ん」
「……ん!ちゅ……んぐ…ぅ……ン……」
「チュ……ん。……初めて自分を抱いた僕のことも、どうしたって好きなのでしょう?」
紙一重で痛みさえ走りそうなほど抱き締められて、なおも続く座位のまま、机の四脚が激しく揺らめく。
耐えきれず漏らした名無しの声音が彼女の絶頂を表していたのは云うまでもなく、そんなときに織り交ぜられた、ジェイドの言葉に耳を疑って得た快感たるや。
自然と窄まる膣が彼を締め付けているのか、ジェイドの小さな吐息も何処となく聞こえていた。
中達きの後の余韻に聞く言葉すら名無しには理解し難かったけれど、たとえばもし、名無しがそれを認めてしまったら、未来にはどんな変化が起きるだろうか…――。
首は縦には振れない、振らない。
それは意地からくるものじゃない……そう思いたい。
たとえキスを浴びせられ、それがどんなに心地好くとも……――。
狙って真っ向から囁かれた、聞きたくなかったジェイドの言葉に動揺しても、名無しは彼を拒むことに一心だった。