主≠監。
Be blessedⅢ
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「どうして……ジェイド……、ど…し……」
「――……、ああ……なるほど。アレに反射して映ってしまいましたか……ふふっ。あんなに小さな瓶に足元をすくわれるなんて……ふふふ」
「!ジェ…イ……ッ…」
乱されたワンピース。
片足の腿に絡みついたままの濡れた下着。
片方脱げた靴。
今の名無しの表情に相まって非常に痛々しく見える様は、例えば誰かが見ていたら、その痛ましさを否定することは難しかっただろう。
大好きな人の上で跨って、腰を揺らしていた少し前。
或いは行為が終わるまで、終わってからも気が付けないままでいれば……などという思考だって過ぎる。
が、いま見ているのは現実だ。
少し見下げるだけ程度の、同等の高さで視線の合うジェイドを前に名無しが出来ること……。
自分には抵抗することしかできないのだということを、この瞬間はっきりと自覚していた。
まあ、それは律動が止んでいた短いあいだだけの話だけれど……。
「名無し……貴方は相変わらず楽しんでいらっしゃったんですね……トレイさんとのセックス。こんなに濡らして……僕の零したいやらしい言葉にも、敏感に反応して」
「っ…な……、……!あ……ん」
「初めて三人で寝たあのときよりも。先日の大雨の日よりも。……初めて、貴方が僕に抱かれたときよりも……僕には、今の貴方がいちばん淫乱に見えていますよ。名無し」
「……!ジェイド……、あ…ッあ……――ッ」
素性が知れた瞬間だけは、ジェイドには珍しく、その端正な顔に驚きを描いたような表情を零していた。
何故名無しが正体を理解していたのか、原因が分からなかったからだ。
もっともすぐに視線を左右に散らすことで理由ははっきりとしたけれど、知ってはいつつも、鏡の類に映る姿だけはやはり偽ることはできないというデメリットに苦笑いを漏らす。
完璧にトレイを演じていたジェイドにとっては、現状のシナリオは少し狂っていた。
が、同時に狂ってこそと思うことで高揚感を得られる……そんな自分の危なさにも納得し、更なる興奮も覚えていた。
「言ったでしょう?動くって……激しくね。ッ……ん…」
「っ…んあ…ァ……っふ…ッ…ん、……あ…いや……」
「大丈夫ですよ……此処で僕と、こうやって淫靡なセックスに溺れ合っていても、貴方はトレイさんを裏切ってなんていませんよ……ふふ」
「!ひ……んぁ…あ……ア…ッ……いや…抜……、離…ッ……」
「だって……今もトレイさんを好きなのと同じくらい僕のことを……僕とする…きもちいいこと……。ふふふ、名無しは大好きじゃないですか……ほら…こうやって……ん…」
「あ……ジェイ、ド……ッ…いや!やめ……や…、ト……なんで……どうやって……」
ジェイドは決して名無しを離そうとしなかった。
それは手に入れたいと願うものを手中におさめ、普通は手放す者はまずいないのと同義のようなものだろうか。
抱き締めた華奢な腰に回す腕は強かに、臀部に力を込めて下から抽送する行為は絶え間なく。
肉体的にも精神的にも、名無しの弱い部分にこんな状況でさえ容赦なくつけ込む狡猾さは、目元の微笑と僅かに覗く鋭い歯列で窺い知れた。
「――……ああ……僕のでも、勿論誰かのユニーク魔法でもありませんよ……。これは……魔法薬の方が近いでしょうか。この類のものを服用するのは初めてだったんですが」
「……っ…?あ………」
「僕は元々、この姿でいるために常用している薬がありますから……上手く化けられるか不安でしたが、結果は上々でしたね。おかげでほら……貴方をこうして……ん」
「!ひ……ぁ…」
「もっとも、適量を調整できる余裕はなかったので、そのあたりはかなり失敗してしまいましたが……ガラスに反射する僕を見られた瞬間、焦りが出て効果が解けたのも実にリアルだ」
律動によって宙に舞い、乱れた名無しの髪に触れる。
束を丁寧に撫でるジェイドの手つきはとても優しかったけれど、それは今の名無しには酷というものだ。
行為も、愛のある囁きも、それらは全てトレイにされたいことばかりなのだから……。
意図せず自ら足を開き、まだまだジェイドからは逃れられない今、やはり名無しは感じないことに意識を傾けた。
たとえどうしようもなく感じている自分を、それは生理的な理由ゆえと、こじつけのような否定をすることしかできなくとも。
選択を見誤る、いつもの二の舞になってしまっても。
自らの中指を跡が残るほど強く噛み、名無しはジェイドに抗いを示した。
「くす…り……なんて…、そんな、ジェ……イ…んぅ……」
「上出来だったでしょう?トレイさんの演技。彼の話し方はそう難しくもなくて……砕けた口調で貴方を攻めるのは実に新鮮でした、ふふふ。ほら……こうして囁くだけでまた濡れて」
「!!ぃ……あ…ッ」
「まあ、出来心と言いますか……遊び心もね。単純に薬も試してみたくなったんです……絵に描いたように騙されている名無しを見ているのは少し心苦しかったですが」
「っ……そんな理由…で……」
「ふふ……そんな理由です。あとはそうですね……今の貴方は彼にどんな顔を見せて……どんな声を出して感じるのか。僕自身が見てみたくなったので……」
「…ジェイド……」
「だって……わざわざトレイさんにならずとも、その気になればいつだって僕は貴方を抱きますし、貴方も僕にいつだって抱かれるでしょう?こうやって……」
「!!ッ……」
「おや……いけませんね……そんなに噛み締めて。先程まで、ここは僕の首に回していたでしょう?ふふ……ほーら、すけべな声……また聞かせてください?名無し……――」