主≠監。
Be blessedⅢ
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「おっ……と…、なんだフロイドか……どうしたんだ?」
トレードマークの眼鏡が少しずれる。
加えてフロイドの声色に、トレイが目を見開いたのは当然のことだった。
自分と同等の背丈である彼が突如として現れて、振り向けば想像よりも近くに立っていたのが驚愕の遠因だ。
トレイは小さく息を吐くと、純粋にフロイドへ疑問符を送り付けた。
それもそうだろう。
今は一分一秒でも早く、名無しに連絡を取りたかったのだから……。
「んあー?ウミガメくんめっちゃカオ疲れてるじゃん……金魚ちゃん案件ー?」
「、いや……まあ…トラブルは毎年あるからな……。もう済んだことだし、今は元気だよ、多分」
「…ふーん……?ところであのさージェイド知んねえ?オレずーーーっと探してんのに見つからないんだよねー」
「ん?……ジェイド?ジェイドなら自分のクラスの教室で展示物を出してる筈だろう?山を愛する会のだから、間違ってない筈だぞ」
いよいよ胃がきりきりとしている気がした。
勿論、気のせいであってくれと願うばかりの現状である……。
疲労の表情が余程滲んでいたのだろうか、トレイは顔を合わせたばかりのフロイドに自身のコンディションを見抜かれ、話をすることも少し億劫に感じていた。
一応申し訳ないな、とは思いつつ……。
とにかく今は、フロイドを構うゆとりをトレイがあまり持てていなかった。
「え~~……」
彼なりに適当に、適宜返答する当たり障りのない会話。
その上で更にフロイドの口から人探しの手がかりを求められれば、小さかったため息が露骨に大きくなりかける。
無論、よりにもよってジェイドの居場所など……。
今日一日多忙だった自分が知る筈もないのだから、勘弁してくれと思ったのは当然だ。
「そうなんだけどさー……でも電話も繋がんねーし……あ、話かわるけどさ、今日ココでウミガメくんのカノジョ見たよオレ」
「?ああ……そうなのか…というか覚えてたのか?!記憶力いいなフロイド……。ちなみに、それってさっきのことか?」
「ううん結構前。なんかね、多分オレがカニちゃんと話してた内容聞こえてたっぽくてさーそしたら血相変えて出てっちゃったんだよね……なんだったんだろうねあれ」
「話してたこと?エースと?」
フロイドは気まぐれだ。
当然、彼を知る者の殆どがそれを熟知しているであろう。
トレイとてそれは例外にはあてはまらず、相手をする数秒単位で溜まる些細な疲労感に苛まれてゆく。
まあ、多少苛立っても、だからといって進行形で愛想笑いの出来ないほど、自分は子供ではないという自負もある。
突如として感じた胸のつっかえるような……原因不明の感覚はその身体の内側に生じたものの、冷静さもキープできていた。
――ただひとつの驚きは、フロイドが名無しを覚えていたということ。
話の転換内容として急に彼女の名が上がれば、それが胸中にかかる靄の理由であれば、それだけならば……必要以上不安になることもないだろう。
その話に、続きさえなければ……――。
「うんー……なんとジェイドに実は好きな女が居るっつー話!」
「、ッ……」