主≠監。
Be blessed II
Please input the ur name.
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――。
――。
ハーツラビュルの自室で過ごすときの寮服姿も気品があって好きだったけれど、制服姿のトレイもカジュアルさが強く出ていて、とても好きだった。
何より学生らしさが滲んでおり、そんな立場で居ながら、貪欲に性に溺れ合うことへの背徳感たるや。
悪いことなんてしていない。
ただ欲望のままに貪り合っているだけだ。
それでも身形が淫猥に思えるのは、元の自分たちがそれを望んでいる所為もあるのだろう。
「――……ん……ッ…はぁ……ト…、此処……」
「ああ、魔法薬学室」
「それって……」
「ん……、サイエンス部……ウチの部でもよく出入りしてるところだ……。今年は催しでわざわざ、この建物もその周辺も使われなかった。……だから誰も来ない……ン」
「!んん……っ…でも……んっ」
名無しがトレイに連れられていたのは、彼の口にしたままのそこだった。
開放日ゆえに堂々と外を歩き、周囲の目も気にする必要なく辿り着ける場所だったから……という理由だけでは、きっと此処には来ていない。
自分の普段使っていた部室のような場所を名無しに見せたかったのか、はたまた深い意味などないのか。
いずれにせよ、寮部屋を期待していた名無しは少々驚きつつ、その初めて来る場所に身体を押し入れられていた。
扉を施錠したと同時、直後強引にキスをされる。
それから鼻についたのは数多の植物や薬品の匂いだ。
もっとも気にするほどでもなかったし、それよりもガラス張りの面積の多い壁面内に居ることの方が戸惑った。
外からは見えない死角とも云うべきところまで連れ込まれても、男女がこれからすることを思えば、名無しが恥じらうのは至極自然なことだったのだ。
待ち焦がれた接近、接触、行為。
抱き締められて初手から激しく口吸われれば、名無しは腰を震わせて全身を脱力させていた。
「ん……?」
「トレイ……、トレイの…部屋……は」
「言っただろう?待てないって………もう此処でお前を抱きたい」
「あ……ッ、ん…っ!ちゅ……んンッ…」
トレイは建物の奥に進む前に、施錠した扉付近で名無しに一頻り濃密に口付けていた。
死角へ移ったのはそのあとのことだ。
真に二人きりになった瞬間、彼がよくするそれではあったけれど、ロケーションひとつでまるで変わる雰囲気に名無しは息を切らす。
どきどきと、嬉しい気持ちや逸る思いが入り混じるような……。
トレイの激しさゆえ、呼吸はすぐに苦しくなった。
それでも名無しもキスがしたいと心から思っていた。
だからひたすらに舌を絡ませ合い、その度に弾ける唾液の音色に身を捩らせた。
「……名無し…、名無し……ああ……」
「っ……トレイ…、…だ、め……声出…」
「フッ……大丈夫……此処から外には漏れないよ……心配しなくていい。ん……チュ…」
「ッ……でも、……ッんう…、ん……っ」
「ン……もっとだ……もっと、もっと……いっぱいキスしたい……な、舌伸ばして?名無し……」
「、は……ァ……――ッ」
本当は、朝に少しだけ顔を合わせたときからその唇に触れたいと思った。
けれどそれが本音だとしても、声に出せば呆れられると思った。
また今更……それでも名無しが持っていたかったのは相変わらずの微かな純情だ。
もっとも、その単語とは随分とかけ離れた激しい口吸いが続いている今、叶っている今、名無しが考えるのは目の前で起きていることだけである。
否定的な小さな声音を挙げつつ、それでも決して心からは拒まない。
トレイを、もっともっとと引き寄せたい……。
「…あ……今日……んんっ」
「ん……?今日、なに……?」
「……ッ…いつもより……でも、なんかいつもと……!ひゃっ…」
「フフッ……ああ、環境が違い過ぎて色々変わってるのかもな?キスも……、名無しの耳にこうやって触れる舌遣いも……んん」
「!!ひ、ぁん……、……ッ…」
名無しがトレイを誘おうとも、結局彼の手のひらで踊らされるのはいつものことだった。
犯された口腔から移るのは頬のライン、首筋、うなじ、そして耳元。
トレイの舌の心地好さに大きな声が上がり、思わず口元を抑える名無しの仕草には含羞があった。
いまこの瞬間、二人きりになれた場所で夢中になって、求め合ったまずは唇から……。
一方でトレイの巧みな言動に嬌声を出したことに、名無しは我ながら本当に単純な女だと思っていた。
「ん、チュ……フフ。ねっとり舐められて……耳、そんなに気持ちいいのか?いつもよりビクビクしてるぞ。もう息も荒い」
「ッ……だって…、トレイが……!ッんぅ……!」
「…ん……どうした?ああ……俺の所為ってことか、フッ……赤くなって…耳たぶ。かわいい」
「っ……やん…ト……」
「相変わらず自覚はあるよ……。俺も、お前に負けず劣らずのヘンタイだしな……ほら、こうやって舌押し込んで……ん、ぅ……チュ」
この日、これまでの出来事に一喜一憂して、脳が好きな人からの快感を覚えれば簡単に声を漏らす。
身体を火照らせていたことが愛情表現からくるただの生理現象だとしても、その度に思い知らされる。
自分は本当に、性に正直すぎる。
本当にだらしない女だと……。
「っ……!や、…トレ……ッんぁ……あ……感じ、ちゃ……ッ」
「…ン……ちゅ。――……なあ……いやらしいこと、もっとされたい?じっくり、たっぷり。お前も部屋までもう待てないよな?」
「トレ……」
「名無し……ほら教えて……いい子だから」
「!……ッ…、っと……」
「んー……?ほーら。ちゃんと聞きたい」
「、……ットレイ…、もっと……全…部……いっぱい……――」
元々、緩んだ締め方をしていたトレイのネクタイが更に弛んだのはキスのさなかのこと……。
彼がそこに指を掛けていたからだった。
ブラウスの第一ボタンをいつも留めずにいる格好も大好きだ。
名無しがそんなトレイの隣に居て、彼の首元にすり寄ったり、口付けたいと思ったことは一度や二度ではなかった。
トレイはネクタイを今よりも緩め、内側のブラウスのボタンもひとつ外すと、のちに名無しを簡単に抱き上げてみせた。
扉の傍から近くの死角へ、そしてまた漸く奥へと移動、といったところか……。
とはいえ彼が立ち止まり、名無しを寝かせたのはありがちな机上の置かれたところだった。
ただ、教室や寮部屋と違ったのは、寝かせるにはじゅうぶんすぎるサイズのそれがあったことだ。
魔法薬学室というだけあって、規模は違えど、通常の学園で言えばそこは云わば理科室と同等の場所と捉えて相違ないだろう。
名無しがトレイに下ろされていたのは、当然広々とした、実験台の名を併せ持つ机である。
そして上から覆い被さられれば、名無しは足を広げ、彼を迎えるほかなかった。
「…ッ………」
「はは……そういうおねだりはいつもと同じか……じゃあ俺もいつもと同じように聞こうかな。――……もっと全部、……全身、俺にいっぱい舐めて欲しいのか?」
「ッ……ん…トレ……」
「ほら……聞かせて……?名無し……ン……ちゅ……」
「!んっ……トレイに…いっぱい……て、ほし……」
「名無し」
「…ッ……、いっぱいトレイに舐めてほしい……ぜんぶ……全身…大好きなところ……名無しが感じる、場所ぜんぶ……おねがい……」
「……ハハ…今日も素直でかわいいよ……チュ。それじゃあ順番に……一緒に気持ちよくなろうな……――」