主≠監。
Be blessed II
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――――。
――。
「――……、名無し…」
薄い唇をなぞる手は、指先に熱を感じる。
名無しに触れていた部位のあたたかさに、感じたことのない想いが脳裏に駆け巡る。
「今のキスで諦めがつけばと思ったのですが……ふふ、……つくわけがありませんよね……。ああ……僕は本当に……」
多少惜しみながらも名無しから離れたジェイドは、自らの持ち場に戻るべく歩みを進めていた。
一度たりとも振り向くことはしなかった。
どうせ、そしてきっと……偶然は何度だって起こしてみせる、そんな自信が彼にはあったから。
「トレイさんに紹介して正解でした……なんて、ふふ。言った過去の自分が、今では考えられませんね……まったく恥ずかしい限りです」
思い出すのは、初めて彼女を助けたあの雨の日のこと。
下手に汚されていた身体を自分なりに綺麗にして、好奇心と面白さから関係を続けた。
面倒な感情を抜きにして肌を重ねることが自分には合っていたから、もっともっとと、そして過激な行為も求めてある日誘ったのがトレイだった。
名無しも、自分も、トレイを加えたことでこれから更に愉悦を味わえるだろう……。
そう思ったけれど、未来絵図を広げた矢先に起きた変化もそこにはあった。
決して退屈するようなそれではなかった……とはいえ、生じたのは予想を上回る誤算だった。
それは相手にとっての誤算ではなく、対象者が自分だったばかりに初めて覚える感情。
思うようにいかないシナリオに苛立つことはなかったけれど、筋書きから逸れゆくひずみは、ますますジェイドを本気にさせていた。
「……僕の求める予想外の出来事は、おそらく貴方を傷つけない……どころか…」
張り巡らせる糸は何重にも、幾数に。
「…………」
手に入れたいと強く思った者の願いが叶うのはどの瞬間だろうか。
それも純粋に知りたかった。
校舎に向かうジェイドは尚も唇に触れ、いつまでも名無しの感触に浸りながら静かに笑う。
上がる口角、笑みに混ざり割れたそこから見える鋭い歯が、ただの微笑ではないことを容易に演出していたのは言うまでもなかった。
――。
「――……、名無し…」
薄い唇をなぞる手は、指先に熱を感じる。
名無しに触れていた部位のあたたかさに、感じたことのない想いが脳裏に駆け巡る。
「今のキスで諦めがつけばと思ったのですが……ふふ、……つくわけがありませんよね……。ああ……僕は本当に……」
多少惜しみながらも名無しから離れたジェイドは、自らの持ち場に戻るべく歩みを進めていた。
一度たりとも振り向くことはしなかった。
どうせ、そしてきっと……偶然は何度だって起こしてみせる、そんな自信が彼にはあったから。
「トレイさんに紹介して正解でした……なんて、ふふ。言った過去の自分が、今では考えられませんね……まったく恥ずかしい限りです」
思い出すのは、初めて彼女を助けたあの雨の日のこと。
下手に汚されていた身体を自分なりに綺麗にして、好奇心と面白さから関係を続けた。
面倒な感情を抜きにして肌を重ねることが自分には合っていたから、もっともっとと、そして過激な行為も求めてある日誘ったのがトレイだった。
名無しも、自分も、トレイを加えたことでこれから更に愉悦を味わえるだろう……。
そう思ったけれど、未来絵図を広げた矢先に起きた変化もそこにはあった。
決して退屈するようなそれではなかった……とはいえ、生じたのは予想を上回る誤算だった。
それは相手にとっての誤算ではなく、対象者が自分だったばかりに初めて覚える感情。
思うようにいかないシナリオに苛立つことはなかったけれど、筋書きから逸れゆくひずみは、ますますジェイドを本気にさせていた。
「……僕の求める予想外の出来事は、おそらく貴方を傷つけない……どころか…」
張り巡らせる糸は何重にも、幾数に。
「…………」
手に入れたいと強く思った者の願いが叶うのはどの瞬間だろうか。
それも純粋に知りたかった。
校舎に向かうジェイドは尚も唇に触れ、いつまでも名無しの感触に浸りながら静かに笑う。
上がる口角、笑みに混ざり割れたそこから見える鋭い歯が、ただの微笑ではないことを容易に演出していたのは言うまでもなかった。