主≠監。
Be blessed
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「トレイ…だめだよ……聞…っ……わたし、トレイに知って欲しいから…」
「……もう何も知らなくていい。仮に……不意に何処かで知ることになったって、俺はもう動じないよ……だって、お前を手に入れてる以上のことなんてないんだ。……違うか?」
「ッ……トレイ……」
「…こんな俺でごめん……けど、本心だ。お前にどんな過去があったって、俺はこの先もお前が好きで、ずっと……愛していきたい」
「――……やっぱり…ずるいよトレイは……もう…ッ…――」
言葉のまま逃げたわけじゃない。
それは危機回避と同じだ。
必死になって言い聞かせるまでにならなかったあたりは、きっと自分は正常だとトレイは思った。
名無しの過去より、自分と築くこれから先のことを考える方がどんなに良いかももうよくわかっている。
不服そうな彼女に少しの申し訳なさは抱きつつ、それでもトレイは意志を曲げはしなかった。
そして名無しも、そんなトレイを見て少しばかり安心していた。
話さなければいけないと思いつつ、けれどそうでもないのかもしれない、という柔和な感情を持てるほどには、その場には落ち着きが戻っていた。
「なぁ……名無し。無理ならいいんだけどな……その。都合がつきそうなら……このまま時間……」
「ッ……聞かない……でよ…、分かってるくせに……っ。それに、……ここに来て最初に朝までって言ったの、トレイ…だよ……ッ」
「!ハッ……そうか…っ、フフッ……。そうだったな……だって…いくら時間があってもお前を抱き足りない……こんな贅沢な悩み。…ああ……本当に幸せ者だよ、俺は…――」
話せないまま、それが今後二人にどう左右するかなんて分からない。
けれどいまを想い合う二人にとっては、過去よりも未来なのだ。
ふいに思い出すことがあっても、名無しは過去を胸にしまい、トレイの腕の中にその身を委ねた。
それでいいと言い聞かせる身体はいつまでも淡く火照り、肌に咲く花は、また無数に赤く色付いていた。