主≠監。
betray the tongueⅣ
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『ら、め……もういきそ……きもちいいトレイ……!ああイ、……――?!ッ……は…ァ……』
『………んっ……はは。――……どうした……きた?』
『あ……ッ…はぁ、ハァ……』
『分かるよ……クリきもちよくて。ほんとにすぐイキそうになってたな、お前。……まあその様子じゃあ…ぎりぎり無理だったのか。俺の所為で』
『ッ、トレイ……っ、……』
名無しは罰を受けたがっていた。
そう解釈して、そんな彼女には、トレイは度を超す域でそれを与えてきた。
散々の焦れ。
制限してから徐々に降らした、名ばかりの愛撫。
好いた行為すべてを通り越して貫き、一気に絶頂まで駆け上がらせることで、大事な気持ちを置き去りにもした。
だから今はもう、トレイの意地悪は時間にすればほんの少しに過ぎなかった。
懇願する彼女を見たいと思ったのは事実だ。
けれど、一度舌を離しただけで焦燥が滲む名無しの顔を見下ろすことができれば、それでトレイは満たされていた。
『悪いな、舌離して……。――……まあ、わざとだけどな』
『……ッ…』
きっと内側から込み上げていたものがあっただろう。
甘い声を漏らして身悶えていればそう思うのは想像に容易かったし、それだけトレイにされる愛撫を名無しは好きなのだと感じていた。
たとえ一瞬でも見放されることの、彼女にとってそれがどれだけ辛いことか……。
分かっていて唇を離すトレイは己の腹黒さを省みることはなかった。
が、果てる機を逃した名無しの、歪で、それでいて淫猥な表情は、どこまでも彼の下半身をいきらせた。
ぎらつく猛りに、名無しの蜜のように澄んだ粘着液が先走る――。
『……ほんと、クリきもちいいんだな。顔めちゃくちゃとろけてる……すごくかわいい』
『あ……ぁ…』
『ここに来てから、めいっぱい焦らしまくった所為もあるんだろうけど……フフ』
『……ト…』
『ん?』
トレイはやはり満足していた。
一度抜き、舐陰し、それさえも止めて段階を幾度も重ねた焦らしに、大きな手応えを感じたからだ。
じゅうぶんだと言い切るにも文字通りじゅうぶんで、焦燥、絶望、享楽、他にも様々な種たる名無しの表情を覗いて、胸の奥底に居た悋気を自尊心が打ち負かす。
もっとも、きっとそれは気休め程度に過ぎず、また新しい嫉妬の感情が生まれる未来もなんとなく予測できた。
それでもトレイは、名無しと向き合って前に進むため、今の選択を自らとっていた。
『名無し?』
『ッ……――』
トレイは再び名無しを組み伏せるため、彼女の身体に馬乗った。
満たされていたゆえ、すぐに唇と舌を使って下半身を攻め直す体勢にも入ろうと思ったけれど、名無しの何か言いたげな態度に気付き、身体を重ねたのだ。
あとは懇願させるだけ……が、その前に名無しが口開いたのは、そればかりはトレイの予想できないものだった。
『…ッ……トレイが…すきだから……なにされてもきもちいいんだもん……すき。トレイが好き……すき…っ……だから……』
『ッ……な…』
『ああ……でも、じらされるのは…もう…やだ……、やら…』
『、…――……』
眼鏡を外すと、人相が悪くなるとはよく言われてきたし、自分でもそう思うことは多々あった。
そんな自らの表情がその形容に遠ざかるように今はなっていることを、トレイは鏡を見ずして理解していた。
ずっとずっと攻め抜いて……少し乱暴に、密やかな嗜虐心を時折見せつける、悪い表情とは真逆の驚嘆の顔。
こんなに辱めても、犯すように愛しても、名無しがこの場で嬌声以外に紡いだのは、愛を謳う言葉と何ら変わらないそれだった。