主≠監。
betray the tongueⅢ
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「トレイ……」
「へえ……素直で悪くない返事だな。良いと思うぞ……けど…」
「?!……ッ」
「言っただろう?虐めてやりたい。まじめなお前は嘘をついた罰として、相応に虐められたそうだなって……。俺はお前の本音が聞きたかっただけだよ。だからもう暫く待ってろ」
「っ……そん……?!や……」
「下着も脱ぐか……ほら、ブラもずらして……。それから今よりもっと……な、足広げさせて。フフッ……あー…いやらしいな…内腿がぴくぴくしてるぞ」
理想は抱き上げられて、ベッドに寝かされることだった。
今の恥辱に満ちた格好から解き放たれるのなら、自分のシャワーがまだのまま抱かれても構わないとさえ思った。
けれどトレイは名無しの理想をとことん突き崩し、ただ耳元でいやらしく囁くだけだ。
罰ならじゅうぶん受けたと自分で言えないあたりの悔しさも感じつつ、下着姿だった自らのそのラインを指先でなぞられ、名無しは唇を噛み締める。
胸中に抱く慟哭のような感情。
それが、自らのこれまでの見誤った選択と言動を思い出させる。
ただ、ただ、トレイにはやく抱いて欲しかった……それだけなのに――。
「トレ…イ……ッ」
「――……」
「トレイ……!」
「、……ハハ、しょうがないな。じゃあ……キスだけな?今は」
「!ンン……」
――焦らされておかしくなればいい。
壊れて自分だけにしか焦点が合わない女に落ちればいい。
一方的に身体を少しなぞるだけ。
そんな愛撫とも呼べない感触を浴びせ、なおも黒い感情が渦巻く折り、トレイの名前を呼ぶ名無しの声音の非力さ、か弱さに、漸くブレた気持ちが彼の中に生まれていた。
そうなるのも、やりとりに絡む生々しさゆえだろうか。
淫靡な行為を望む本心を読めるのなら、絶望にも等しいような名無しの今の気持ちを読めるのもまたトレイだけだ。
まあ、それでもトレイは少しやりすぎたかな、くらいにしか思わなかったのだけれど、度が過ぎたのは事実だろうと、潔く自らの言動は内心認めていた。
そしてこれ以上はもう耐えられないと訴える名無しを憐れむように、トレイが付け足した行為は無情にもただのキスに過ぎなかった。
唇に触れた矢先、我慢できないと懇願しておきながらそこを自ら割ろうとしない彼女の諦め具合に、トレイは一瞬疑問符を募らせる。
「………」
もっとも、杞憂には終わる程度にはその直後激しく口腔を貪り合ったのだけれど……。
自分から舌を出すことも億劫になるほど、名無しは抱かれない現状を嘆いていたのだろう。
トレイの方から少し舌先を伸ばせば、濃密なキスはすぐに交わされた。
粘膜が触れ合った瞬間がトリガーとなり、名無しは夢中でトレイと口吸いあった。
――彼が頃合だ、と直感で思い、ローブの腰紐を人知れず静かに緩めたのも、同じタイミングのことだった。