主≠監。
betray the tongueⅡ
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「トレイ……?」
「だから……、今はそうやって俺に申し訳なさを感じて……謝るだけじゃ、お前の気が済まないんだろうな」
「……?!」
「ちゃんと真面目に罰を受けたそうにしてる……お前を見てると……実際そうしてやりたくなるのもまた事実かな。名無し」
その瞬間、トレイのあまりにも色気付いた声音と視線にドキッとして、名無しの身体は強張っていた。
まるで金縛りにでもあったかのような、両手両足の四肢が思うように動かなかった。
胸がざわついたのは、心を読まれた気もしたからだろう。
贖罪の意ももちろんある。
が、罰を受けたいのだろうなどと、そんな直接的に囁かれれば驚きだってする……。
そしてそういう意味じゃないという気持ちと、そのとおりだという気持ち、無自覚だった後者の本音を直球で突かれて、名無しの動揺は更に激しくなっていた。
「、……あ、の……?!……」
「こっちに座れ。そう……足広げて……ん……」
名無しはトレイに抱き起こされると、その身をベッドからソファへと移された。
嫌な予感はする……むしろ多分、これから起こることは当たっている。
そう思ったのは、トレイの口調がねっとりとしながらも冷静さを孕んでいたからだった。
名無しにとって好い展開が待っているわけではないと悟り、下ろされた瞬間にソファから立ち上がろうとする彼女を留めさせるトレイの手が、やけに力強い……。
「脱げ」
名無しはあっという間に服を剥がれ、下着姿になることをゆるしていた。
その後トレイによってソファの上で両足を開脚させられて、両腕はといえば、部屋にあったカーテンタッセルを用い、軽く後ろ手に拘束されていた。
「ト……?!や……、なに……ッ?」
「フッ……よし、これでいいか。……それじゃあ俺はシャワー浴びてくるよ。お前はここで反省してろ……いいな?両手の結び目は緩めにしてあるが……勝手に解いたら駄目だぞ」
「?!」
甘いキスもした。
離れたくなくなるような抱擁も交わした。
どろどろとした本音を曝け出し、互いにまた深く分かり合えたと思った矢先に突き付けられた事実に、名無しが胸のざわつきを隠せなかったのは当然だ。
身体は既に疼いており、どんなに都合がよくとも、むしがよくともそのまま抱いて欲しいと感じて、それを望んだ瞬間にトレイに見放される始末である。
名無しは彼の名を呼び続け、ソファにひとり置き去りにされそうになっていることに、その不安感から肩を震わせていた。
「トレイ……!待っ……一緒に、………?!」
その震えがぴたりと止んだのは、浴室に向かおうとしたトレイが手にした、リモコンの電源ボタンが容赦なく押されたからだった。
「ああ。俺が居ないあいだ暇にならないように……と。……な?いい子にして見てろ。どうせこの動画も、最後のチャプターはお前の好きな複数プレイだよ。じゃあな……チュ」
「ん!……っ、ト……!」
こんな状況、受け入れられない。
けれどただの事実でしかなかった。
あっという間に部屋に漂った淫靡な空気が全身に纏わりついて、それをトレイから与えられない屈辱感に、名無しは嫌な汗を掻きながらもどかしげに腰を動かした。
浅く尻を着くそこでの開脚はそのまま。
腕も解くなという指示が出たまま。
無情にもソファからはテレビモニタがよく見えて、意図的に視線を外さなければ、画面はしっかりと名無しの目に映っていた。
「ッ……!!……見たくない……トレイが、いいのに…――、……ッ――」
自分のついた嘘のひとつを償うため……。
だからといって突如、トレイの選んだ罰がこれであることはなかなかどうしてすぐには受け入れがたい。
名無しが欲しいのは彼自身であり、性的興奮を誘発するための映像なんかじゃなかった。
その後、本当に単独で浴室へと向かったトレイは名無しの前から一旦居なくなり、取り残された部屋には水音と、男女の生々しく喘ぐ声がモニタから流れていた。
ソファの上では、嫌でも悶々としたきもちが芽生えるばかりだ……。
「トレイ……ッ…もどって、きて………て欲…し……」
少しのあいだでもトレイが居なくなることは、名無しにとってはそれだけでじゅうぶん罰にも等しいことだろう。
けれどこの先、まだまだ彼女の望む未来は訪れなかった。
それは純粋に名無しに愛情を浴びせ、「与えたい」と思う意志に介入するトレイのどす黒い気持ちが、彼の思う以上にその周囲に渦巻いていたのが紛れもない原因だった。
betray the tongueⅡ
20220111UP.
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