主≠監。
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――――。
――。
構造が違っても、男女に絶頂後の区切りがあるかどうかは個人差も大きいと思う。
身体の話だ。
ジェイドが一度射精しても、そこでやっと終わってくれた、という考えに至れないのは、名無し自身がそれを経験していたからだ。
続きがあるかないか……それを望んでいるか否か。
自らの気持ちさえ上手く量れない程、彼女の頭と体はもう、酷くとろとろになっていた。
「チュ……。――……名無し……」
「!ジェイド……、……!んん……ッ!んぐ…ちゅ……」
「……好きですよ……僕の名無し。僕は、貴方のことが本当に……――」
「ッ……――」
身体の中にジェイドが流れてきて、改めてトレイを裏切ったのだなという罪悪感に名無しは苛まれた。
今は別次元の話。
偶然が重なった結果、こうなった話……。
幾度と言い聞かせても、とはいえ最後には現実が訪れる。
割り切っていようと何だろうと、繰り返す葛藤の末に戻り至るのは、その事実だけだ。
「っ……」
セックスそのものは、どうやらジェイドも攻めの姿勢から引いていたようではある。
けれど膣の中でそれはまだ膨張し、出るのを惜しむように潤滑の中に居続けていた。
浅い呼吸を数回……そののちやがて目が合って、名無しはそこで事後、初めてのキスを浴びせられた。
名無しは脳裏で漸く麻痺していた交通機関のことを思い出していたけれど、それも束の間、また驚く光景を目にしていた。
「名無し」
「どうして……っ……そんなふうに…言わないで……。わたし、は………、ジェイド……?」
嘘か本当か……ジェイドの言葉なんて信じない。
抱かれ慣れたその身を押し退けられずにまごついていると、名無しはそこで下半身が解放された感触が走り、彼の方から繋がりを解いたことを身体で感じていた。
そして明らかにいつもの事後とは違う彼を目前にすれば、このあと起き上がり、早急にこの部屋から出て行かなければならないという答えをも見失っていた。
「――……フフ。……ええ、流石に僕も……ン…――……今、は…――」
「!……」
おそらくは、今こそやはり起き上がるべきだったのだろう。
逃げるなら今がそのとき……身も心も縛られた数時間から解放されて、待ち焦がれた自由がそこにあった気がした。
が、頭で分かっていても名無しがベッドから背を離せなかったのは、非力になったジェイドを前にした驚愕と、自身に移った情から、彼を見捨てられなかった所為だった。
頻繁に魔法を使う人間……人魚が、その力が底を尽いたとき、助けがなければ苦しいであろうことくらい想像に容易かった。
皮肉にも、名無しがそれを知っていたのは、学んでいたからだ。
学校で、自習で。
そして……似た状況に陥ったトレイを、すぐ傍で見ていたゆえに。
「…ジェイド……」
「――ん………」
――外は交通機関が元に戻っているかもしれない。
「………おやすみ、なんて言えない……。言えるわけない…の、に……――」
――雨が止んでいるかなんてまだわからない。
やがてその後、力を使い果たし、襲われた眠気に抗うことなく目を閉じたジェイドの無防備な姿を真横に、名無しもまた微睡みに誘われていた。
体勢が変わり、自身の頭を支えるのは彼の腕だ……逞しいながらも華奢に窺えるそこを枕に、寄り添う肌に感じるぬくもりは、どうしても彼女に起き上がる選択肢を与えなかった。
「ん……」
「ジェイド……私は…、……それでもわたしは…――」
「……――」
「ッ………――」
次に目が覚めたとき、今日体験したことがすべて夢であれば……。
そう願いながら意識を預けると、名無しはジェイドの隣でゆっくりと目を閉じた――。
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20210822UP.
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