主≠監。
mistake eraseⅣ
Please input the ur name.
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――。
――。
期限の近い重要書類は提出していたし、粗方作業は進んでいた。
元々休憩を挟んで副寮長の仕事に戻るつもりではいたけれど、別に後半のそれは、次週の放課後等にまわしても差し支えはなかった。
「………」
というよりは、トレイはキッチンに来るまでの前半で、それなりに工程を終えていてよかったと強く感じていた。
「ハ…ァ……」
紅茶を飲み、喉も潤した。
親しい友人の思わぬ来訪、そこでの会話を経て気持ちも落ち着いた。
虚無はあれど、後押しもあった。
だからきっと大丈夫だ……そう思ってはいたけれど、やはり抑え切れない淀んだ感情は、彼の胸中に残滓として色濃く彷徨っていた。
「名無し……――」
――トレイはその後、キッチンを出てからは自室に戻ることを選んでいた。
この日の自分の動向を気にかける生徒は、先刻まで居たケイト以外には、あとはせいぜいリドルだけだ。
だから彼には少し時間を貰う旨を連絡して、部屋に戻ったあいだ、邪魔が入らないようにうまく流れを作った。
「ッ……、ん…――」
リラックスする為に飲んだ筈の紅茶の後味が、心なしか芳しくなく感じる。
早速ベッドに身を預けると、トレイはスマホを取り出し、保存していた動画ファイルの中から、複数あるデータのうちのひとつを表示させていた。
誰にも見せられない、自分以外のただ一人は、名無しを除いて……。
抑えられなくなった彼女への想いが、トレイにその行為へと走らせる……――。
『ト…レ……、……!?や…ッ……、また撮……っ』
『はは……やっと気付いたのか?可愛いよ、可愛い……。ああ……撮られてるって分かった途端、キュン……ってなったぞ?お前のえっちなココ』
『!や……、んぁ……ッ』
スマホの画面を凝視している今の自分の顔は、きっと余程と貪欲なことだろう。
考えるまでもなく分かったのは、ほんの少し、画面にその表情が反射しているからだ。
けれど自身と目が合っても、別に情けないだとか、大して虚ろにはならなかった。
そう思う前にトレイがいま一番に望んでいたのは、利き手を使って快楽を得ること……ただそれだけだった。
「――……ッ…名無し……」
キッチンでは、自分を心配してくれていたケイトの顔を立てるつもりで、前向きな気持ちも保とうと決めていた。
が、その決意が簡単に鈍り崩れてしまうほど、彼に渦巻くのは淫靡な欲望だった。
望みはどろどろと、トレイの脳裏を汚してゆく。
名無しとの行為を記録した動画を再生させて数分、トレイは眉間に皺を寄せると、はぁはぁと不規則に息を乱していた。
『あん……っ、ア……ぃ…、トレイ……きもち……ッ』
『ン……俺も……好いよ、すごくきもちいい……もうイっていいか?ああ……けどその前にいつものな、……ちゅ、んん』
『!ッ……ひぃ、ッ……んぅ…っ……』
グローブを外し、寮服をずらす。
下着の中でみるみるうちに膨張していた陽物を早速握ると、トレイはただひたすらにそれを扱いた。
横を向きながら、はたまた仰向けにもなって耽る姿は、ある意味名無しにも見せられないようなふしだらさがあった。
勿論、その現場を見られても構わないとは思っている。
けれど自涜へと走る原因をもしも突かれれば、その後ろめたさがトレイに背徳感を覚えさせた。
「ん……っ……」
名無しを信じているし、信じたい。
たとえ一瞬でも疑いたくなどない……そういういう負の想いを完全に忘れるため、貪欲に自らを慰める。
やわらかな薄紅の舌が、自身の先端に絡んでいるのを思い描きながら擦る陽物は、名無しの下半身は特に肉の壁を恋しそうに、ねっとりと粘液を漏らしていた。
「ん…ぁ……ッ…、名無し……名無し――ッ」
脱帽をし、外した眼鏡を枕元に放置して、顔のぎりぎりにまでスマホを近付ける。
肌色が殆どを占める卑猥な画面に釘付けになる自身の姿を、果たして名無しが見たらどう思うだろうか……。
それでも会いたい気持ち、今すぐ抱きたい気持ち、どちらもこの場では叶わない以上、トレイは自分の手で吐き出さずにはいられなかった。
出さなければあと一週間、きっと耐えられる自信だって…――。
1/10ページ