主≠監。
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――――。
――。
合意の上で重ねる肌の、全身に感じるそれはまるで夢心地だった。
人のぬくもりが伝わる体温に、皮膚が触れることに抱く快楽。
なまあたたかくて少しざらつきのある、異性の舌が身体を滑る感触が、とにかく大好きなのだと思った。
「――……ふ…んぁ……、いや……ッ…」
露わになっていた肌という肌、どこを這われても気持ちがよかった。
人ひとりに対し一枚しかないそれが、たとえば人数が増せば、同じ数だけ舌も増えるのは当然である。
「あッ……――」
好奇心なんて持つんじゃなかった。
そんな経験、するんじゃなかった。
一度覚えてしまえば味を占め、それを貪欲に求めてしまうことが怖かったのは、もう昔のことだ。
考えないようにしていても、膨らみきった欲望に逆らえないように、抗えないように、きっと身体は出来ていた。
「名無し」
「っ……」
確かに自分を呼ぶ声が、名無しの左右の耳傍で響く。
その声音がトレイでないことは明白だ。
名無しは自身を組み敷く……ジェイドと、彼のフェイクの身体を自ら押し退けることは既に放棄していた。
勿論、たとえ気持ちの上ではまだ、押し返したいという意思をもっていようとも……。
「――ひ……ぁ…」
名無しが絶念と不屈を混同させ、投げ槍になるのは当然かもしれない。
それもそうだろう。
折れた傍から自ら唇を重ね、行為を目的として、最初に彼をベッドの上で押し倒してしまっていれば……――。
「は…ん……ぅ…ッ……」
「ちゅ……んん、……チュ…――…、名無し?」
「ッ…あ……んむ…、……んぅ…ちゅ……、や、ら……ジェイ…」
「フフ……ッ。……嫌?すっかり目をとろんとさせて……どの口がそれを言うんです?」
「っ……ッ…、……」
「!フッ……可愛い……。ちゃんと伝わっていますよ……?葛藤されているんですよね、貴方も。……だからこそ、……ん」
頭の中に居たトレイの面影が薄らいでゆく。
たとえ名残があっても、それはきっと保とうとする意識の濃淡の問題だ。
名無しは確かに彼を想っている。
が、その気持ちが事実でも、どうにもならない状況というものに遭遇すれば、或いはすべてが覆ることもあった。
それが今この瞬間だったことに目を背けたくて、されど脳裏で燈る欲望と逃避のせめぎ合いは、延々と続いていた。
「!んぅ……あ……!!あ……」
「久しぶりですね……僕もこのときを本当に楽しみにしていました。さあ……たっぷり舐めて差し上げます。二人同時に……ね、まずは名無しの大好きな……ン」
「!!や……」
ジェイドの誘惑は、名無しの理性の糸を容赦なく引きちぎっていた。
芽生えさせていたトレイとの絆。
その悉くを切り裂いて、自分では反故にできなかった約束を無に帰させるため、甘い言葉で彼女から動くようにじりじりと仕向けた。
唇が触れた瞬間、名無しはどうしようもなく男の身体を求めていて、それが強かに伝わってきたことが、なかなかどうしてジェイドには愉快でたまらなかった。
あの海で肌を重ねてからずっとずっと焦がれていた。
今はもう殆ど他人のものになってしまっていたこの身体を、誰にも邪魔されないこの場所で、再び組み敷けることに抱く幸福。
無論、あくまで冷静に……それでも思わず、早々に自身へと魔法をかけてフェイクを出してしまうほどには、ジェイドも相当に高揚感を擽られていた。
「ん…ぃ、や……、ぁ…!!あ……んぅ…ッ……ジェイド…だめ……離し…」
「ちゅ……んん…――」
「ッ……ひぃ、あ……んぁっ…!あっ…ア……ッ…」
ずっとしていたい…――。
そう思えるキスを一旦止めれば、ジェイドは名無しの身をフェイクとともに軽く拘束し、まずは彼女の心を読み解いていた。
囁きを投げれば耳元が可愛らしくじんわりと赤らみ、ひくひくと震える身体には早速手ごたえを感じる。
名無しがどこをどうされたいか、なんて……知り尽くしていれば、彼らがすることはひとつしかない。
「あ……っ…」
段階を踏まえるペッティングに、部屋にはしっとりと小さなリップ音が響く。
自分から負け落ちてキスを許し、それでも半端に抵抗する。
そんな矛盾に溢れた仕草さえ愛らしくてたまらない。
ジェイドは名無しが陥落するまで、少しの問答が繰り返されるであろうことも想定内に入れつつ、同時に深い誘惑を絶え間なく行った。