主≠監。
plz forgive me.
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――身体の火照りがさめないまま、新たにまた熱を欲しいと望む気持ちが、頭のなかで渦巻いた。
それがジェイドの所為であることをひた隠しながら、名無しは震える指先でスマホを操作していた。
「あ……その。……本当に会いたいとかじゃなくて、…それくらい弁えてるよ……来週まで待つつもり…だもん……。ただ……」
『名無し……』
「っ……変だね…おかしいのかな、私……こんなこと言ったら、トレイが困るって分かってるのに……ッ…』
『、……ああ…、そういう……。フッ……お前はまったく……』
落ち着かせたと思っていた身体はあまりにも正直で、本当はまだまだ、いつまでも欲しがっていた。
名無しにとって、その相手はトレイで間違いなかった。
なのにその為のいわばトリガーとなっていたのがジェイドだったことが、彼女のなかで認めがたい事実となって押し寄せていた。
「ッ……」
一歩道を踏み外せば、ジェイドを求めていたかもしれない。
そう考えるだけで恐ろしくて、仕向けているのであろう彼の策にも嵌らないでいるのに精一杯だった。
こんな気持ちのまま、トレイに連絡をして顔を凛と上げられるのだろうか。
ただ、紛れもなく熱を持った身体をどうにかしなくては前に進めずいた名無しは、結局そのジェイドに翻弄された状態でスマホに触れ、耳元でトレイの声音を聞いていた。
自分が、どんなに淫猥めいた声で彼の名を呼んでいたかも知れずに――。
「…トレイ……あの…」
それはただの帰宅報告の為に繋げた電話だった。
けれどその目的を、ジェイドに誘惑されておかしくなった身体を慰めてもらう為という、卑しい理由にすり替えてしまった自分をどうかゆるしてほしい。
絶対に言葉に出来ないその事実を胸中にしまい込み、名無しはトレイの返答を求めながら、上がれずにいた自身のベッドにうつ伏せた――。
――――。
――。
声を聞けばすぐに分かった。
たとえどんなにごまかされても、今は遠く離れた互いの部屋に居ても。
無機質な機器を通していても、分からない筈がなかった。
自然と伝うのは、名無しが欲望に負ける音だ。
熟れゆく実を愛でられたそうに喉を鳴らす、自分を呼ぶその声音がどんなにトレイの理性を崩させているかを、彼女は理解しているのだろうか……。
「名無し……お前、服は?もう脱いでるのか……?」
『!え……、あ……っ』
電話ごし、シーツの擦れた生地の音を聞き、トレイは名無しがベッドに移動したことに気付いていた。
もたれ込んだそこでは、きっと気だるげに横になったのだろう。
ならば自分にできること、次にすべきことももう決まっていたし、分かっていた。
改めて問うて、それでも真面目に引かれれば、自分たちはそれまでの関係だと思う。
けれどそうならない自信があったのは、名無しが自ずとトレイを誘っているからだった。
『なんで……』
「分かるさ。お前のその……もの欲しそうに俺を呼ぶ、かわいい声を聞いていればな」
『っ……』
「思い出したのか?さっきまで……、俺のベッドでめちゃくちゃにされまくったこと。上から下まで舐め回されて、全部暴かれて……フフ」
『ッ…トレイ……あ…』
「いいよ……まだ着てるならほら……脱いでごらん。ブラジャーは俺が外してやるから……ちゅ」
結局、トレイは名無しに直球で吹っ掛けた。
後にも引けない、もとより引く気もない。
嗾けた以上は最後まで……そのつもりで一度立ち上がると、彼は自室の扉の施錠をしてベッドへと戻った。
腰を下ろして、今はまだ冷静に足を組む。
あくまで余裕を持っているのだと自らにかける暗示は、まるで悪あがきだ。
それは当然可笑しくもあったし、どうせすぐに理性の糸だって、ぷつりと切れることも目に見えている。
何て小細工をしたものかと思ったけれど、最初くらいゆとりがあることを名無しに悟らせたいのは、きっと自分が男だからだろう。
加えて低音で甘く囁けば、名無しがどんなに安心するのかも、その耳が、身体が知っていたことだった。
『!ッ……は、ぁ…』
「乳首、勃ってるな……フッ。飽きるほど攻め抜いてやったのに、またそんなにぷっくりさせて……ひょっとしてぺろぺろされたい?ん……?」
『ト……、ん……トレイ…』
「ん?聞こえないぞ……ほら、正直に話してみろ」
『――ッ……して……?』
「フッ……りょうかい」
名無しの感触も、本当のぬくもりも味わっているのに、茶番に興じて忘れたい事実から遠ざかる。
それは互いに孕ませていたものだ……。
その理由はそれぞれに違っていたし、この先も言葉にすることはないと思う。
けれど一人の男という原因は共通していたのだから、巡り合わせというのは何ともよくできている。
暫く会えない寂しさに、恋しいと思う気持ちが募らない為に無理をして、ブロットの限界まで満たし合った。
それでも我慢できずに身体が相手の熱を求めて、名無しはトレイの言う通り、自らの服を一枚ずつ、下着も含め脱いでいた。
指示により脱がされることを恥じらいながら、そして自身の手で剥いでゆく恥辱も覚えながら、名無しの小さな手が次に伸び、触れたのは胸元だった。