主≠監。
split card【fake】
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――――。
――ときどき、トレイがスマホを片手に、冗談で見せて来る動画があった。
日によって画面に映し出されるのは、自分たちの行為を彼が撮ったものもあったのだけれど、名無しが決まって顔を赤らめる動画というのも少なからず存在した。
『なァ、……お前こういうのは好きじゃないのか?』
『~……ッ…トレイはさ……、その……ケイトくん?とか、後輩くんと勘違いしてない?今一緒に居て話してる相手のこと……』
『するわけないだろ?お前だから見せてるんだよ……この子、グラビアでそこそこ人気あったと思うんだが……結局脱いだんだよな』
『……人並み、男の子だよね……トレイも…』
『意外か?ハハ……ッ時々見るよ……。まあ……オナニーする為じゃなくて、大半は好奇心なんだけどな。ああ……イヤなら言ってくれよ?もう見ないようにする』
『……別に嫌じゃないけど……べつにこの女の子が可愛いからって別に妬くとかもないし……べつに…』
『!……可愛いな、お前はホントに……チュ』
『ッ……うう…』
そういう動画を見るのは、年頃の男子なら当然だと思っている。
たまに毛嫌いする人もいたけれど、トレイはそういう括りではないらしいし、見ない方が不自然だという考えを名無しは持っていた。
実際自分たちの動画も彼のスマホには入っているのだし、同じベッドの中で見ることもあれば、それはもう半ば慣れにも等しかった。
『ああ……俺が言いたいのは、この子……あんまり演技くさくないだろう?』
『っ……よく見てるね…、それがどうかしたの……?』
『ホントに気持ちよさそうだよなと思ってな……お前にも味わわせてやりたいよ……――なんてな。フフ』
『…ッもう……そりゃあ…、こんなに沢山の人に、その……同時にされれば…きっとイイとは、おもう……けど…』
『!フッ………』
――。
――――。
「ッ……は、ぁ…」
「思い出したか……?名無し」
「ト……、…!!ひ、ぃん…んぅ……」
「お前は自覚ないんだろうけど……けっこう羨望的に見てたぞ?あのときの乱交動画」
「っ……ちが…!っは……ァ…」
「違うならそんなエロい声出すなよ……んむ」
「ト…ッ……ああ…あっ……トレイ…!」
横になった状態で視界に入った、数枚の舌が蠢く様子を見て名無しは驚愕していた。
見抜かれていた、認めがたい自分の求めるそれは、境界線の向こう側にある理想――。
そこに都合よく重なる過去の記憶が名無しを辱めながら、身体を這う手と舌が彼女の口にし難い夢を叶えてゆく。
今、名無しがトレイにされていることは、すべて互いに自ずと望んでいたことだった。
「あ……ッ…」
セックスにおいてたった一人増えただけで塗り替えられる快楽の度合いに膝は震え、唇は自身の唾液で濡れ、ひたすら艶めいてゆく。
おざなりに、上半身に気を取られればトレイは表皮をめいっぱい捲り、舌先を尖らせた。
けれどそのきゅんと疼く陰核への刺激に耐えるために下半身を意識すれば、フェイクが不規則に名無しの胸を愛で続ける。
二人の舌が同時にぐるぐると滑る……そうかと思えば急に吸われたり、歯を立てられたり。
実に手の込んだその愛撫、その気持ちよさは、彼女が一度体験したその部位での絶頂を思い出させるほどだった。
だから加えてトレイが、いま同時に芽も嬲っているという行為がどれほどのものだったかは、いちいち形容するまでもないことだろう。
「っら……トレイ…それだめ……いい…、好いの……!すぐきちゃうよ…舌やら……ッ…」
「ん……だめ?イイ……?来る?ああー……なら来ない方がいいか……舌離すぞ」
「!!いや……―――…っと、……もっと…」
「――聞こえないな……もっと大きな声で言うんだ…名無し……ほら、いやらしく」
「ッ……――」
嬌声が響き渡っても、そのとき三枚の舌が休むことはなかった。
すべてがすべて、意思を持つ淫猥な蟲のように肌に纏わりつき、この部屋で抱かれるときはいつものこと、名無しのあさってや天窓を見る頻度が増えてゆく。
好きな相手を見つめることすら恥ずかしくなって、視線を重ねたいと願っても叶わないほど高揚を煽られる。
それは全身が快感でおかしくなり、一度頂点に辿り着くことが近付いている証でもあった。
「名無し……ほら、クリも俺にやめないでって言って……あー……泣いてるぞ?フフ」
「ッッ……って、な…!!ぎ、…ひ、ぃあ……」
「ン……ちゅる…んく……ンッ……ハァ、……こんなぴくぴくさせて…イキたいんだろう?んー……?」
「……っは、……!ァ……」
「あんまり俺たちを焦らすなよ……まあイキたくないなら、それもアリか……」
絶頂が近付く。
もうすぐ果てられる。
そんな矢先、天窓に伝いベッドの面積の範囲内で広がっていた、名無しの嬌声に哀愁が混ざる。
すると彼女の赤らんだ表情にも少し変化が起きていた。
直接的にはトレイたちの意地悪が原因だ……。
声色の低くなった、目はハイライトの薄らんだように見える悪逆な笑み。
陰核そばで話す彼の言葉に、いつもの懇願以上に動揺を見せる名無しは、下半身に満ちた快楽が途切れてもどかしげに腰をくねらせた。
胸は変わらずフェイクに犯されている。
両腕をばんざいさせられれば、二の腕や腋にも舌が伸び、余計に絶頂欲しさで全身が震える。
名無しは天窓より自身の陰部に居たトレイに目を合わせると、自分が言わない限り達けないことを悟った。
「ッ……」
何度も言ってきたことだった。
今更口に出来ないほど、この身も心ももう純情ではなくなっていた。
ただ、出くわしたことのないシチュエーションに胸が躍って恥じらいの気持ちが生まれれば、その最初に恥じらったときのことが過ぎって、今は言いあぐねてしまうのだ。
懇願して訪れる未知の快楽に、そのとき自分が正気でいられるか。
これから先、元のトレイだけとのセックスで満たされる自分でいられるか。
どんどん淫らにおちてゆくことが怖いのは当然であり、それをただ彼に分かってもらいたい……それだけなのだけれど……――。