主≠監。
split card【fake】
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――この学園のことは、トレイはもとより、あとはジェイドとしか繋がりを持っていない名無しにとって、詳しいことなど知る由もなかった。
それは彼女が追求していないことが理由の大半を占めていたけれど、少しはもっと知ってゆくべきなのだろうと、痛感した瞬間が今だった。
扱う魔法に個性が出て、たとえば自分にもそれがあり得た事案であっても、知らなくたって、今までずっと支障は出ずに済んでいた……。
「待って……でも、個人のそれならなんで……、ッ……」
「まあ……色々あってな。そこは気にするな……ああ、今のお前には、そんなことを気にかける余裕なんてもうないか。ん……」
「!!ひゃ……」
抱き締められてキスをしていた矢先、起き上がったトレイを見上げる形でいた名無しは、彼がベッドの上で何かを軽く詠唱したような唇の動きを読んでいた。
詠唱なんてそんな、それもまた大げさなものじゃないかもしれない。
が、見慣れない仕草に疑問符が散り、直後には驚くばかりの光景が目の前に広がっていた。
「フフ……俺には二人までが限界かな。もとよりこれ以上は増やせそうにもないが……本家を超えたらまずいしな?ケイトの立場がなくなっちまう……ハハッ」
名無しはそのとき、海でジェイドと会った時の別れ際、彼が話していた内容を思い出していた。
当初は何を言うかと思えば……と半ば流していたそれを、今この場で、どれだけその話が重要だったかと再認識させられる。
トレイは名無しの目の前で魔法を使ってみせていた。
彼の有する”落書き”のそれではなく、友人であるケイトの持つ個性をだ。
何故トレイがケイトの個性を再現できているか、なんて理由は、きっと探るだけ無駄だと思ったし、思わされた。
不可思議も必然、サプライズだって星の数だけ起こりうるのが、恐らくはこの学園のそれこそ不可思議なところなのだろう。
トレイの言うように、今の名無しにそんな余裕はなかったのだから……。
「トレイ……待って…いや……、……!!あ……」
「さぁ……本体の俺を入れて、三人とも、全部がお前の大好きな俺だぞ……?名無し――」
「……あ…!あ…ッ……トレ……!!ひぃ、んぁ……」
トレイと、その分身の二体を目の前にした名無しは、驚愕に自らの身を起こし、後退しようと下肢も動かした。
が、踵に力を入れようにも二人のトレイに先回りされ、ヘッドボード側から再び押し倒されると、両肩を抑えつけられていた。
逃げ道を塞がれた挙句、本体であるトレイの方を見るや否や、間髪入れずに彼が垣間見せる黒い笑みには思わず胸が高鳴る。
それは自身の態度とは裏腹な感情だ。
ふいに何かを期待してしまった高揚感に脈を速めていた名無しは、これから三人の男に攻められるという事実に、下着をじんわりと濡らしていた。