主≠監。
split card【fake】
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目に見えて変化の著しいなとは思った。
内容がどうあれ、上がっていた気持ちを下げさせられれば、誰だってしょんぼりとするものだ。
名無しはトレイがそれに該当していることがほんの少しだけ面白かったのだけれど、瞬時に想いを改めたのは、身から出た錆に足元を掬われるのを恐れていたからでもあった。
彼をしょんぼりとさせたままでいさせるわけにはいかないし、いさせたくない。
続ける言葉には、トレイのテンションに谷を作るため熱を込める……。
そして勘の働くトレイは、名無しの意図にもすぐに気付いたようだった。
「……名無し?」
「ッ……」
「、……!脱がせるぞ、名無し……。ん……」
「あ……ト……ッ、…トレイ……待っ…」
「…ッ……な…――」
正直、トレイと次に会うまでに自分に出来ることは、これくらいしか思いつかなかった。
それが彼女の潜めていた本音だ。
とても安直で、単純な思考だと言われればそれまでだろう。
が、名無しにはトレイを喜ばせる為の手段が他には考えられなかったし、これでいいと思えたのもある意味では潔かった。
どう捉えられるかは、その場で反応を窺わなければわからない。
それでもトレイなら喜ばない筈はない……そう思わせるほど、既にイメージは紐付けされていた。
「…っ……ハッ……なるほどな…。かわりにその……水着じゃないけどこれを……って?」
申し訳なさげに話した名無しの言動を察し、意味を汲み取り、トレイは名無しをベッドへと押し倒す。
急いた手付きで解くのは衣服のボタンだったり、ファスナーだったり、いつもの所作だった。
服を剥いだ矢先、彼の目に映っていたのは残念ながら水着ではなかった。
けれど読みは当たっており、突如として咥内に滲んだ自らの生唾を嚥下するため、トレイは喉仏を一度上下に動かした。
ずれた眼鏡を指先で掛け直し、にじり上がった口角で見せる笑みには、少なからず満悦も含まれている。
名無しはこの日の為、水着のかわりにおろしたての下着を纏い、トレイに見せていた。
「うう……ッ…、見……そんなに…」
「ハハ……俺に見せるために。――……水着が無理だったから?わざわざ選んで……着けてきてくれたんだろう?俺だけのために……、ん……?」
「……ッ…」
「ハ……ッ…どうした。可愛いよ……恥ずかしくなかったのか?こんな……めちゃくちゃえっちな下着……名無し」
最初、水着は用意できなかったという事実を頭が認識したときはどうしたものかと、まるで失望感にさえ見舞われた。
まあ、それだけ本当に楽しみにしていたということだろう……そう思うと、つくづく自らの変質っぷりも省みさせられる。
何もかも今更だ。
こんな癖の強い性癖を持って、赴くまま、惚れてしまった女をどうにかしたいのだと痛感していることも、よもやその本人にだって知られているのだから。
「ん……トレイ、怒……ってない…?だって、折角水着だと思ったら……って…」
「!はは……怒る理由なんてどこにあるんだよ。嬉しいよ……ああ、すごいな……面積少なくて、薄く透けてて……お前の胸も見え、……?!」
トレイは半端に脱がせていた名無しの服を全て剥ぐと、ベッドの端にその服を寄せ、皺が出来るのを防いでいた。
視線を変えれば下着姿の恥じらう彼女がそこにいる……興奮しない理由などなかったし、沈んでいた気持ちも、一気に上がってゆくのが実感できた。
目に映るのは、両手両足をもじもじとさせる、トレイには可愛いでしかない恰好をした名無しだ。
準備できなかった水着のかわりが下着という単純さもまた愛おしかったし、自分を気遣ってくれているその想いやりの深さに、抱くのは謝意ばかりだった。
「あ……っ」
その嬉々を伝える為の感想が卑猥になるのは仕方のないことだろう。
トレイは上から隈なく名無しの身体を眼鏡ごし、目で追い、なぞり、やがて下肢を捉えた矢先に、その表情を豹変させていた。