主≠監。
split card【fake】
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――――。
――。
「ハァ……はぁ………名無し…――」
死ぬほど疲れる――。
そう口漏らすケイトの言葉を実際この瞬間に体感して、フェイクが消える兆しを自ずと悟る……。
限界はそこまで来ていた。
だからせめて、彼らの絶頂まで彼らを顕現出来そうになかったぶん、トレイは最後まで彼らがしたいと感じたことを続けさせていた。
二枚の舌を這わせることが、概ねそれに該当していたのだろう。
時間が迫ったゆえに、分身体の果てを叶えてやれないのを悟ると同時、かわりに連続で名無しに夢を見させていた。
「ッ……は、ぁ……、んっ……」
芽吹いた実が齎す快楽に突き落とされ、名無しの全身には汗がしっとりと滲む。
そのとき、軋みを訴えるベッドに確かに漂っていた二人分の圧が、突如として薄らいでいた。
「楽しかったよ、名無し……ごちそうさま」
「っ……?!ん……ッ」
「……フフ。――……また…たくさん可愛がってやるからな、名無し」
「!……は…ぁ……、え……?あ…ッ……」
トレイの腹上で名無しの身体がひくつき、連続した彼女の絶頂を見届けたフェイクたちは、柔肌から潔く唇を離すとそっと微笑んだ。
連ねるようにして囁かれたのは、二人の最後の言葉だ。
その瞬間、いよいよトレイからの魔力供給が途切れると、彼らは再び笑みを零し、名無しの前でふわりと消えた。
その表情が満足げに見えたのは、隈なく名無しの身を愛でられたからだろうか。
はたまた不満げに見えたのは、トレイと同じように自分たちは振る舞えず、射精を逃してしまった所為だろうか。
それでも確かだと思ったのは、名無しに触れる彼らの所作には、どこまでも愛情がこめられていたことだった。
「――……ト…レイ……?」
「はぁ、はぁ……っんん……ッ…ハァ……。――…なるほどな……、こんな疲労感は初めてだ……ん…」
名無しはトレイの魔法が解け、二体が呆気なく居なくなった瞬間を虚ろな目で見ていた。
快感と驚愕の果て、流れる自身の汗に加え、背には彼のそれも酷く混ざっている。
それを知れたのは、もたれていた部分に宿る熱もあってのことだ。
「はぁ……ン……」
射精直後の、息切れに似た呼吸を漏らすトレイのことを案じる。
が、それも束の間、抱かれていた身を反転させると、名無しは彼に騎乗する形でゆっくりと跨り直していた。
淫らな下着はそのまま、散々喘いで、感じて、悶えても、たとえ受け身だったからといって自分ひとりがぐったりとし続けるわけにもいかなかったのだ。
いまはまだ、乱れに乱れた交わりが終わった、事後と形容できる状況下だった。
「!ん……トレイ…、とれい……?……っあ…」
「ン……もう少しこのままで……ああ、そうだ……ジャケット……名無し、腕伸ばせるか?ペンが……入って…」
乱れきっていた証は、確実に身体に帯同している。
名無しの全身もそれなりに限界がきていたけれど、トレイに跨れるほどの僅かな余裕があったことは、彼女にも意外なことだと思わせていた。
正直、魔法が解けたことでフェイクが消えた事実を、どう捉えるべきが正しいのかは分からない。
喜んでしまえば、まるで自分が解放されることを望んでいるように捉えられるかもしれないし、それは名無しにとっては不本意なことだった。
かといって悲しめば、改めて自分が底無しに性に飢えていることを認めているようなものだろう。
「ペン……ペン…んー、……!」
もっとも、どちらにも傾けずにいたからこそ、名無しはまずトレイの身を気遣い、それが最善であるとも思っていた。
「、ッ……はい……、トレイ……。身体…、どこも変じゃない……?ブロットは……」
その後名無しは、身体のなかで渦巻くトレイの熱を感じながら、言われたとおり彼のジャケットを手にとるため、ベッドの下に腕を伸ばした。
幸い跨ったままでも袖あたりを掴めたゆえ、そのまま寮服の内ポケットをまさぐり、マジカルペンを手渡す。
心なしか、握った瞬間は少し熱を帯びているような気がした。
トレイが魔法を使っていた証拠でもあったのだろう。
そしていちばん気がかりだった、魔法石の部分から漂う目には見えない淀みを感じ取ったことで、名無しは不安げに眉を顰めた。
同時に、そわそわとした姿を見るや否や、肩で息をしていたトレイは名無しからペンを受け取ると、彼女の頭を優しく撫でた。
「――……フッ……そんな顔して……大丈夫だ。あー……石の色が少し濁ってるだけだな……暫くすれば元に戻るさ……俺もな」
「本当……?」
「ああ……、ただ少し……いや。その……かなり眠くて、な……ん…」
「っ……あ…っと……時間は、ん……まだ少しあるから…っ。私なら平気だから……トレイ……ッ」
「フ……平気ねえ……本当かな?あんなに感じてたのに……?ひょっとしてまだ濡れてるんじゃないか?……お前のココは」
「…な……!……もう…っ……」
この学園での、魔法を扱う上での仕組みたるものはトレイから聞いていた。
要求されたペンがどれだけ大切なものかも、赤を装った石の色が変化することの重大さも含めてだ。
名無しはトレイが魔法石の目視をすることによって、今の彼がどのような状況であるかを理解しようと、少々前のめりになっていた。
跨ったままでそのような姿勢をとるということは、共に肌色をさらけ出していたトレイには、熱や肉感、そのすべてが伝わっているということだ。
それはつまり、濡れた状態、またいつ彼に火が点き、性的興奮から行為への発展に繋がったことか……。
が、疲弊した状況下、流石に陽物に変化が表れることはなかった。
「ハハ……!……なあ、きもちよかったか……?名無し……」
「ッ……も、訊かないでよ…いま……ッ……」
「フッ……俺も。最高だったぞ……?めちゃくちゃ幸せだ……お前が傍にいて…俺の腕のなかに……。ん……なあ、キス……」
「、…っ……うん…、………!ン……ちゅ…」
「チュ……。――フフッ……、っと……悪い。お前のナカ、すぐにでも掻き出してやりたいのに……ん…、ちょっと本気で寝落……ん…」
「!トレイ……?」
赤い石が僅かに淀みがかっていることを確認したトレイは、自己のそれでない魔法を使うことのリスクをその場で学んでいた。
使えない、こともない……きっと経験を積んだ玄人ならば、駆使することも不可能ではないのだろう。
学生の身であったトレイは、自らがそうなるにはまだ何もかもが未熟であることを自覚し、苦笑いの上に強襲する眠気と脳裏で争っていた。
名無しから見ても一目瞭然だった、重そうな目蓋はすぐにでも閉じかけている。
けれどトレイはぎりぎりまで冗談を零し、名無しの不安感を最後まできっちりと払拭させていた。
そこまでされれば……――。
「ん……はは。……安心したか?なら……んん…――」
「、…トレイ……ッ」
そこまでされれば、彼がどんなに自分を想っているかも、嫌でも分からされた。
友人のユニーク魔法を使ってまで性的に、そして色気のないところまで、最後まで気遣ってくれる……。
「すぅ……ン…」
「……ありがと、トレイ……。いっぱい無理してくれたんだね…私のために……」
恋い慕われることのあまりにもな尊さを知れば、名無しの心情だって、動かさずにはいられないであろう。
つまりは、切るべきなのだ……確実に…――。
「――……ちょっとだけ、おやすみなさいだね……トレイ。……チュ。――……私も、少し…ん……」
たとえば射精後の掃除を思わせる口淫や、事後だって、好きに弄びたいとまで彼は豪語していた。
それを受け入れる覚悟も名無しにはあった。
けれどそのトレイが限界を迎え、疲労を理由にとうとう目を閉じ、彼は暫くのあいだベッドに意識を預けることとなった。
無防備になってくれているのは、信頼されている証だ……。
たとえ迫っていても時間はまだあったし、名無しはトレイからゆっくりとおりると、隣にそっと寄り添った。
なんとなく考えたのは、自分も少しは眠るけれど、トレイが目を覚ますまでには起きて身嗜みを整え、彼の負担にならない状況を作っていたいと思ったこと。
身体のなかで白濁は踊っていた。
けれどすべてはひと眠りを経てからだ……。
それに、トレイの熱を内側から浴びたまま今は居続けたいのだとも、名無しは自然と強く感じていた。
そして数分後、ペンを握り締めて先に寝落ちた彼の腕を枕に、名無しもゆっくりと目を閉じた―――。
split card【fake】
20201113UP.
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