主≠監。
ipoipo
Please input the ur name.
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――――。
――。
数時間後―――。
「んー……なんかまだ身体がフワフワしてる感じ~……けど怠さがないんだよね……やばくねえ?すげえじゃんこのセックス」
「ッ……フロイド…声おっき……、…あ……!」
「ほらー……お前もよろめいてるじゃんー……ひょっとしてまだイッてる?きもちよかったもんねえ~さっきはホントにさぁ……っ」
「…っ……もう!」
オクタヴィネルのシャワールームに来ていた名無しとフロイドは、掻いた汗を流すため、そこを訪れていた。
同時に何人もの生徒が使用できるような、広面積のそこがホリデー期間中とはいえ貸し切り状態にあったのは、フロイド……ではなく、彼がジェイドに頼んだことで可能としていた。
名無しはフロイドにシャワーの湯をかけられながら、何をどう言えば自分がこのような場所に……と、以下いつものように一考する。
が、察してすぐに思考することをやめていたのもまた、察しの通りだろう。
「さっきジェイドに聞いたらさー、外もう暗いらしいよ……フフ。腹も減るわけだよねー……あとでラウンジ行こうね。ジェイドになんか作ってもらお?」
「ッ……うん、……って、暗いのに、此処も貸し切り……」
「あーそういうのは気にしなくていいからさ……ほら髪~」
――事後、フロイドの部屋からシャワールームに行くまでのあいだに、名無しは自身のスマホに漸く触れていた。
入れた電源で現在の時刻というのを自分でも把握していたのだけれど、驚き半分、こんなものかと思ったのも半分というのが、彼女の正直な感想だった。
正直、ベッドに入ってからは本当に長かった。
ゆうに五時間は経っていた筈なのだが、あまりの夢中っぷりに、やはり経過した合計の時間など、二人にはどうでもいいと思えたものだったのだ。
繋がってからは、静に重きを置いて互い行為にやみつきになった。
無我夢中で絡み合って、少し身体を動かすだけで、喉から漏れ出る嬌声に感じ合った。
終わりのない口付けには唇がとろけて、このひとを本当に離したくないのだとそれぞれが痛感した。
熱をもった膣のなかで狼狽えひとつ見せなかったフロイドは、変わらず猛々しい形状のまま名無しに留まり、彼もまた分離を拒み、不動を続けていた。
「……ねー、お前さ……ごはん食べたあと今日帰れんの?その身体で」
「え……?」
「マジでフラフラしてるからさ……顔色はサイコーにいいんだけど。――……泊まってけばいいじゃん?今夜くらい」
「!!っ……で、も…」
最中、名無しを組み敷いていたフロイドは、キスをしていた頭の角度を変えるため、ふとした瞬間に身体を動かしていた。
そのとき彼の動きに反応した名無しの膣も、同じようにフロイドに合わせ、中で蠕動を起こしていた。
複雑な壁の不規則な蠢きは、男にとって浴びる快楽、その破壊力は凄まじいものがあるのは概ね共通、周知の事実だろう。
不動を保っていたフロイドが突如誘惑に負け、全身に広がった悦をより高めたいと感じたのは、二人の挿入からおおよそ一時間が過ぎた頃だった。
本来ならまだまだゆるやかに、淑やかに絡み合うのがそのセックスの理想や正解に近いのかもしれない。
けれど若さゆえか、初体験ゆえかの反動がフロイドの全身に突き刺さり、頭の中で囁かれた影の脅威に彼は屈していた。
改めて体勢を整え、ぐっと奥へと押し込める……。
急なフロイドの見せる本気に驚き、けれど同時に、淫猥な空想を膨らませながら、名無しは激しさと更なる欲を望み、目を潤ませていた。
ベッドがひどく揺れ、過激な律動に二人が悶絶して、何度も何度も腰を打ち付けられる……。
そして一緒に……――という交わしていた約束が果たされれば、それがひとまずは漸く、長い長い五日間が終わった瞬間でもあった――。
「……っ…」
「……オレのとなりで寝るの、イヤ……?」
「!な……まさか…っ、ただ……その…――ッ」
「名無しー……?……!」
「ッ……――」
工程のすべてが終わった瞬間、何をするでもなく続けていたのは相変わらずキスばかりだった。
それ以外は抱擁くらいだ……身体の熱と、弾けた想いと、解き放たれて極まった快感が心に満ち、また時間が経つという自然の摂理に従う。
結局起き上がってシャワーへ向かったのが、終わってから何分後だったか、なんて正確にわかるわけがない。
ただスマホの時計と、フロイドがジェイドに聞いていた外の景色で理解した、とんでもなく長い時間愛し合った事実だけが、二人に刻まれていた。
「名無し」
「…っ……うん…?」
身体のなかにフロイドが流れ込んできたとき、名無しは幸せだと思う以外の感情が見つけられなかった。
フロイドも同じように思ってくれていればいいなと願いつつ……。
もっとも見つめ合った先、確かな彼の熱い眼差しがあれば、その願いは叶っていたも同然なのだが。
今まで感じたことのない絶頂に名無しは蕩け、一瞬で終わる射精には、フロイドは快感が永劫続くような錯覚にも陥り悶えていた。
陰部から怒張していたそれを抜くことに、惜しさは勿論抱いた。
が、不満のひとつもなければ、ある意味では行為の終わりを潔く迎える準備だって、絶頂のあとならば尚更出来ていた。
「――……へぇー……?」
ピロートークすら不要なほどに満ちた。
恐らくここで特筆するならば、それを思い出そうものなら、その瞬間が名無しは怖かったのだろう。
シャワールームを訪れ、互いに汗と体液を流した。
男性専用ではあるけれど移動したパウダールームでドライヤーを掛け合い、身嗜みも完璧に整えた。
ラウンジで腹を満たそうかと言われれば、それが終われば、あとは帰るだけしかなかった……――。
「っ……またしたくなったらどうしよう……ってカオじゃねえ?それ」
「!!フ、ロ……」
潔く帰れればそれでよかった。
けれど五日という長い時間をかけてやっとひとつに繋がって、満たされて、離れるのが寂しいと思ってしまった心の声を、名無しはフロイドに透かさず言及されていた。
付け入る隙を見せていたわけでもないけれど、彼の目にはそう映っていたのだろう。
離れたくない、引きとめて欲しい。
言うに言えない新たに芽生えた欲深い気持ちを見抜いたフロイドは、得意げに名無しの髪を両手で包み込み、指先で彼女のうなじをそっと撫でた。
「あははっ……いいじゃんしようよ~……嬉しいな~お泊り!やっとある意味ホリデーらしいことできるんじゃね?」
「フ……うぅ…っ…」
「ね、また一日目から始める?それともいつものえっち?ねーねーっ!今夜も楽しみだねー……じゃあ早くラウンジ行ってごはん済ませようよっ!名無しは何食べたい?!」
「…ッ……もう~…っ」
胸の内を暴かれるのが今更恥ずかしかった。
恥ずかしかったけれど、勝るとも劣らぬ沸き起こる感情は、ただの嬉々ひとつだ。
名無しはいつだって、フロイドが機嫌よくニコニコしているだけで喜ばしく感じていたけれど、自分の為に気付きや言動に移ってくれる……相手の為になにかを考えてくれる。
そんなフロイドが尊いと思えたし、ものすごく愛おしかった。
共に夜を明かすことを、性的な物事に捉えている自分を諌めるどころか、一緒に乗ってくれる。
それもまた、らしさの大いにあるフロイドが目の前に居る。
時々、本当に空腹らしく、きゅるると鳴る腹部をこどものように擦るフロイドの姿を鏡ごしに見つめると、名無しは目元を緩め、やがて口を開いた。
それは羞恥心などではなくもっと別の、より大切な感情をおもてに出すためだった。
「名無し……オレはどっちでもいいよ……お前のしたい方でさ。ふふっ」
「っ……、…じゃあ……―――」
毛先にまで浸透しているかのような心地のよい感覚が、改めて身体を駆けてゆく……。
軽く最後まで髪をセットしてくれたフロイドと目が合うと、名無しはそのとき照れながらも、彼に自らの本心をそっと紡いでいた―――。
ipoipo
20200828UP.
7/7ページ