主≠監。
ipoipo
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――――。
五日目。
待ち合わせ場所にフロイドが訪れると、彼は普段と何ら変わらない様子で居り、名無しをホッとさせていた。
特に興奮しているわけでもなく、また機嫌もいたって普通のそれだ。
名無しはこの四日間の、彼とのスキンシップが齎していた効果の大きさに驚きつつ、静かに差し伸べられた手をとっていた。
「……んー?お前さ、ちょっと緊張してる?」
「ッ……え…?!」
「手に汗掻いてんじゃん……なに今更ァ?フフ」
「~……ッ…だって……四日間……っ」
「ん?」
鏡舎から寮の部屋までを行く道も、いつもフロイドが上手くカバーしてくれていた。
そのときだけは人通りが出来ないように仕向けていたわけだけれど、改めて思うと、どういう手段をとればこんなにスムーズに出入りできたものかと名無しは疑問符を拵える。
脳裏で今更、そういう考えでも起こしていないと、正直なところ胸の鼓動の速さにも勘付かれると思った。
散々焦らされた分の今日は、何もかもが開放される日なのだ……。
浮かれた気持ちも悟られまいと、それでも繋いだ名無しの手には汗が流れた。
「っ……毎日一緒に居たのに。四日も焦らされて……どきどきだってするよ……、もう……ッ」
「!――あぁー……ふうん?……ふふッ」
「、っ……フロイド…?」
「いや……?なんかさ、ちょっと思い出してた」
「え……?」
「んー……オレが初めてお前を抱いた日のこととか……?あははっ」
「…な……ッ」
身体には、外に出損ねた熱が溜まっている。
頭の天辺から足はつま先まで全てに、早くフロイドに触れて欲しいと強く願っている。
フロイドの部屋の前に到着した時、ドアに手を掛けた彼はにやにやと微笑を浮かべていたのだけれど、それはどうやら、頬を染めながら俯く名無しに思うところがあったかららしい。
ふと遡る無数の思い出……。
頭のなかでフロイドが探り出したのは、今の名無しに既視感を覚えるひとつの過去だった。
「チョー緊張してたよねー……。オレめっちゃ怖がられてたし」
「っ……うう…」
「でも終わった後には幸せそうなカオしてさ……オレも幸せだったなァー。好きなオンナのさ、処……」
「!!フロイド……もう…っ、いいから……ッ」
「ええー……ん~、まあさ……そういうコトだよね…今のお前、ちょっと似てる……あのときに」
「ッ……」
気まぐれな部類に入るフロイドが饒舌なときは、その大体が上機嫌であることを意味している。
もっとも、彼の機嫌の良し悪しは名無しにはあまり影響はなかったのだけれど。
それでも気分次第で色々と苦労している周囲のことをジェイドやアズールに訊いていた分、今のフロイドはやはり相当浮かれているらしいことは分かった。
「もう……恥ずかしいから…あんまりあのときの……ことは……!ん……」
「チュー……。――……フフ、ねえ……抱いちゃっていいよね?もう」
自分の過去を掘り下げられて、恥ずかしさに目が泳ぐ。
名無しは入室したフロイドの部屋の壁を凝視することで動揺を隠した。
が、抱き寄せられた身体にそのまま上から見下ろされれば、彼の瞳に吸い込まれそうになり、思わず胸も高鳴る。
名無しにとってそれをあまり思い出したくなかったのは、自分の慣れていなさ具合がやるせなかったからだ。
それでもフロイドに身を預け、正解が分からないまますべてを委ねた、一度しかない夜のことは、なかなかどうして忘れられなかった。
今がそのときと似ていると云うのならば、今の自分は、フロイドにとても向き合えたものじゃないだろう。
そうだというのに……。
「ッ……わ…フロ……」
「分かってるよー……今日もゆーっくり。じゃないと意味ないんだっけ?あはは」
「フロイド……ッ…、っも……」
「昨日約束したよね~?ふたりでいーっぱいって。ね?……名無し……ん」
「っ……んん…、は、ァ……」
抱き締められて、キスを浴びせられて、いつもなら勢いも強いそれが滑らかな感触に思える。
フロイドが加減をしていたいい証拠だ……大分と自分に合わせてきていることも自然と窺えた。
恥じらう名無しはフロイドに頭を優しく撫でられ、挙句その際、床から足が浮けば一瞬で抱きかかえられた。
歩む彼の足も当然、とっくに見慣れたベッドへと向いていた。
「名無し」
「ッ……フロイド……!んッ……ちゅ…、んぅ……」
「チュ――……ふふ…ねーえー……名無し。抱いてもいい?」
「…ッ……ん……――」
結ばれた日のことは今だってあまり考えたくはない。
けれどフロイドがわざわざ口にしてきた理由も、きっと彼なりにあったのだろう。
そうとでも思わなければ、名無しは身も心も羞恥でどうにかなりそうだった。
身体の奥まで与えられなかったぶんの物欲しさに溢れ、いよいよ火照りに耐えるのも、この五日目を機に限界を迎えている。
そしてそれはフロイドも同じだ……再三形容するまでもなかった。
名無しはフロイドの腕の中で従順になり、下ろされたベッドで頬を染めた。
降り注がれる口付けを避けることなく素直に受け入れると、今度は心から彼を求める。
赤ら顔をして自ずと自分を誘う……名無しを見下ろしていたフロイドはというと、再び口角を上げて微笑み、脱衣の為に制服へと手を伸ばしていた。