主≠監。
ipoipo
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それをフロイドが提案してきたとき、名無しは丸めた目を元に戻すのに苦労していた。
まあ普通に考えて戻せないわけはないのだが……。
とにもかくにも、彼女にとってはなかなかに驚きの大きな事実がそこにあった。
「んー……っ」
「……あは…お前もさあ、よく持ち堪えてるよね」
「ッ……それは……フロイドだって同じでしょ……!んん……」
「ん~……オレは全然平気~……お前と違って粘り強いからさァ」
「はぁ……ハァ…ん」
「まあ折り返し……つってももう四日目だしねー今日……。いよいよ明日だよねえ……今よりもっともーっときもちよくなれるね?あはは……んッ……名無し…?」
「!ふ、ぅ……ッ」
こういう状況になっていたのは他でもない。
おそらくは最後に部屋に遊びに来たとき、ベッドの傍に置いていた雑誌を見られたのだと思う。
載っていた特集は名無しもチェックしていたし、その内容ははっきりと記憶していた。
フロイドは名無しにそれを読んだとは一言も口にはしなかったけれど、お互い好奇心旺盛な年齢なのだ、それが性に関するものだとあらば、予想は難しくはなかった。
『ねー名無し~』
『んー……?』
『今日から五日間さ、オレの部屋来てくんない……?』
『……それは、えっと……毎日通うってこと……かな…』
『そ!毎日~っ』
『………』
――遡ること四日前。
フロイドから急にそう求められて、嫌な予感はしていた。
嫌な……とも言い切れないかもしれないけれど、妙に優しげな物言いに加え、上がった口角に目元の細まった彼の表情を見ていれば、そうも喩えたかったというものだ。
『まったり過ごしたいよねー』
『はぁ……まったりねえ…』
その時期は諸々の事情が重なって、フロイドが故郷の海に戻れないことは知っている。
ゆえに連休は寂しく、寮の中で過ごすことも知っている。
だから互いの負担にならない程度で行き来し合って、名無しもゆっくり、彼と休日を過ごそうとは思っていた。
が、フロイドが腰を低くしてまわりくどく話しかけてくるときは、その大体が無理難題に等しいことが自分に起こりうるときだと、相場も決まっていた。
『……がまんできるの?フロイドは……』
『えー……お前ちょっとオレのこと見くびってる感じ?何年オレの女してきてそう思えるわけ?』
『~……何年も隣にいるから分かるんだけど……絶対途中でがっついてくるでしょ……!!んん…』
『チュ……がっつかないよ?だってめちゃくちゃ楽しみじゃね?五日後にオレたちがさァ、どれだけ幸せになってるか。だからやろうよ~』
『ッ………――』
結局、露骨に誘われることは最後までなかった。
それでもそういうセックスをしたがっていることが分かったのは、それだけ自分がフロイドのことを理解してもいるからだろう。
こんなに気まぐれで、起伏の上下の顕著な男と……。
どうして長らくのあいだ付き合っていられたのかも疑問だったけれど、きっと波長が合うとしか言いようもなかった。
あとは純粋に身体の相性がよかったのだ。
彼にとって身近な存在であるジェイドやアズール、他にはフロイドの周囲を程よく取りまく連中から聞いていても、自分の前では気分屋にならないのは、相当稀有な光景らしかった。
――。
――――。
「はぁ……んんっ……」
「……フフッ、んじゃあ今日はこれでおしまーい。チュ……」
「ッ……ふぅ……、んッ……」
「、……ねー、そんな誘うカオしないでよ名無し……襲いたくなるじゃん?」
「…フロイドも……もう全然平気って感じに見えないよ……?ん……」
「――あは……やっぱバレてた?でもさ、今でもじゅうぶんきもちいいよね……一日目は物足りなさ過ぎて意味わかんなかったけどさ、お前の隣に居るだけで今やばいもん、オレ」
――フロイドのお願いどおり、名無しは毎日オクタヴィネルの彼の部屋へと通い詰めた。
寮の往復は監視の目もあり簡単ではないけれど、今でこそ容易く出入りできたのは慣れもあったのだろう。
部屋ではいつもと変わらず、おしゃべりに始まり、タブレットで一緒に映画を観たり、はじめはまったりと寛いだ。
そして時間が経ち、場が温まってきたところでベッドに移れば、それは行為の始まりを意味していた。
一日目から四日目の今まで、二人のやるべきことはまるで同じだった。
抱擁もキスも馴染みのあるそれ……脱がされた服は下着の上からも中からも、フロイドに手厚く触れられ、撫でられ、そして愛された。
名無しも彼に同じことを施して、小さな手が長身のフロイドの身体を滑る様子が、一見健気にさえ思える。
肩や胸元に唇をあてがったとき、滅多に漏らすことのないフロイドの吐息が聞こえて、その息遣いだけで名無しは感じていた。
そのときはじめて今までとは違う高揚感に襲われて、試そうとしていた行為の意義も見出せたような気がしたのは、決して名無しだけではなかった。
「っ……そ…だね……こんなに好い…って、思わなかったから……ッ、――はやく明日にならないかな……」
「!……楽しみだねえ、ふふ……いーっぱいふたりできもちよくなろうね」
「……ッ…ん……――」
初日の軽いスキンシップが終わった後、帰宅した名無しは、身体に孕んだ熱を解放できないまま自室のベッドに倒れ込んでいた。
そのセックスには概ね統一されたルールがあった。
決めた数日間は触れ合うだけ。
直接的な肉体の繋がりが成せるのもまた、二人が決めたその日だけ。
フロイドは名無しに、五日目がその日だとさだめ呈していた。
最後まで愛してもらえなかった名無しは自らを慰めたくて仕方ない衝動に駆られていたけれど、それはきっとフロイドも同じであり、そして耐えていたことだろう。
欲しいと願う気持ちが夜毎強まって、されど翌日には、少しはそれが叶う……。
なんとも不思議な体験だった。
同じことを四日も続けられる自信もはじめはなかったものの、与え与えられる関係に新たに芽生えていたのは、相手を尊重し、思いやる強い気持ちだ。
ベッドの上でキスを交わす些細なそれにすら有難みを抱き、優しく舌が触れ合えば、我慢と、その先に見据える解放にも自然と夢焦がれた。
「?!……フロイド…?」
「オレも同じ。――……今すぐ明日になんねえかな……あはは」
「ッ……――」
「……まってるからね、明日」
「……うん…―――」
その後、四日目の夜、帰宅して飛び込んだ寝具で名無しの脳裏に過ぎったものがあった。
それは数日のあいだ行き場のなかった燻った感情などではなく、ただただフロイドに恋慕する、ただただ純粋な想いだけだった。
まあ普通に考えて戻せないわけはないのだが……。
とにもかくにも、彼女にとってはなかなかに驚きの大きな事実がそこにあった。
「んー……っ」
「……あは…お前もさあ、よく持ち堪えてるよね」
「ッ……それは……フロイドだって同じでしょ……!んん……」
「ん~……オレは全然平気~……お前と違って粘り強いからさァ」
「はぁ……ハァ…ん」
「まあ折り返し……つってももう四日目だしねー今日……。いよいよ明日だよねえ……今よりもっともーっときもちよくなれるね?あはは……んッ……名無し…?」
「!ふ、ぅ……ッ」
こういう状況になっていたのは他でもない。
おそらくは最後に部屋に遊びに来たとき、ベッドの傍に置いていた雑誌を見られたのだと思う。
載っていた特集は名無しもチェックしていたし、その内容ははっきりと記憶していた。
フロイドは名無しにそれを読んだとは一言も口にはしなかったけれど、お互い好奇心旺盛な年齢なのだ、それが性に関するものだとあらば、予想は難しくはなかった。
『ねー名無し~』
『んー……?』
『今日から五日間さ、オレの部屋来てくんない……?』
『……それは、えっと……毎日通うってこと……かな…』
『そ!毎日~っ』
『………』
――遡ること四日前。
フロイドから急にそう求められて、嫌な予感はしていた。
嫌な……とも言い切れないかもしれないけれど、妙に優しげな物言いに加え、上がった口角に目元の細まった彼の表情を見ていれば、そうも喩えたかったというものだ。
『まったり過ごしたいよねー』
『はぁ……まったりねえ…』
その時期は諸々の事情が重なって、フロイドが故郷の海に戻れないことは知っている。
ゆえに連休は寂しく、寮の中で過ごすことも知っている。
だから互いの負担にならない程度で行き来し合って、名無しもゆっくり、彼と休日を過ごそうとは思っていた。
が、フロイドが腰を低くしてまわりくどく話しかけてくるときは、その大体が無理難題に等しいことが自分に起こりうるときだと、相場も決まっていた。
『……がまんできるの?フロイドは……』
『えー……お前ちょっとオレのこと見くびってる感じ?何年オレの女してきてそう思えるわけ?』
『~……何年も隣にいるから分かるんだけど……絶対途中でがっついてくるでしょ……!!んん…』
『チュ……がっつかないよ?だってめちゃくちゃ楽しみじゃね?五日後にオレたちがさァ、どれだけ幸せになってるか。だからやろうよ~』
『ッ………――』
結局、露骨に誘われることは最後までなかった。
それでもそういうセックスをしたがっていることが分かったのは、それだけ自分がフロイドのことを理解してもいるからだろう。
こんなに気まぐれで、起伏の上下の顕著な男と……。
どうして長らくのあいだ付き合っていられたのかも疑問だったけれど、きっと波長が合うとしか言いようもなかった。
あとは純粋に身体の相性がよかったのだ。
彼にとって身近な存在であるジェイドやアズール、他にはフロイドの周囲を程よく取りまく連中から聞いていても、自分の前では気分屋にならないのは、相当稀有な光景らしかった。
――。
――――。
「はぁ……んんっ……」
「……フフッ、んじゃあ今日はこれでおしまーい。チュ……」
「ッ……ふぅ……、んッ……」
「、……ねー、そんな誘うカオしないでよ名無し……襲いたくなるじゃん?」
「…フロイドも……もう全然平気って感じに見えないよ……?ん……」
「――あは……やっぱバレてた?でもさ、今でもじゅうぶんきもちいいよね……一日目は物足りなさ過ぎて意味わかんなかったけどさ、お前の隣に居るだけで今やばいもん、オレ」
――フロイドのお願いどおり、名無しは毎日オクタヴィネルの彼の部屋へと通い詰めた。
寮の往復は監視の目もあり簡単ではないけれど、今でこそ容易く出入りできたのは慣れもあったのだろう。
部屋ではいつもと変わらず、おしゃべりに始まり、タブレットで一緒に映画を観たり、はじめはまったりと寛いだ。
そして時間が経ち、場が温まってきたところでベッドに移れば、それは行為の始まりを意味していた。
一日目から四日目の今まで、二人のやるべきことはまるで同じだった。
抱擁もキスも馴染みのあるそれ……脱がされた服は下着の上からも中からも、フロイドに手厚く触れられ、撫でられ、そして愛された。
名無しも彼に同じことを施して、小さな手が長身のフロイドの身体を滑る様子が、一見健気にさえ思える。
肩や胸元に唇をあてがったとき、滅多に漏らすことのないフロイドの吐息が聞こえて、その息遣いだけで名無しは感じていた。
そのときはじめて今までとは違う高揚感に襲われて、試そうとしていた行為の意義も見出せたような気がしたのは、決して名無しだけではなかった。
「っ……そ…だね……こんなに好い…って、思わなかったから……ッ、――はやく明日にならないかな……」
「!……楽しみだねえ、ふふ……いーっぱいふたりできもちよくなろうね」
「……ッ…ん……――」
初日の軽いスキンシップが終わった後、帰宅した名無しは、身体に孕んだ熱を解放できないまま自室のベッドに倒れ込んでいた。
そのセックスには概ね統一されたルールがあった。
決めた数日間は触れ合うだけ。
直接的な肉体の繋がりが成せるのもまた、二人が決めたその日だけ。
フロイドは名無しに、五日目がその日だとさだめ呈していた。
最後まで愛してもらえなかった名無しは自らを慰めたくて仕方ない衝動に駆られていたけれど、それはきっとフロイドも同じであり、そして耐えていたことだろう。
欲しいと願う気持ちが夜毎強まって、されど翌日には、少しはそれが叶う……。
なんとも不思議な体験だった。
同じことを四日も続けられる自信もはじめはなかったものの、与え与えられる関係に新たに芽生えていたのは、相手を尊重し、思いやる強い気持ちだ。
ベッドの上でキスを交わす些細なそれにすら有難みを抱き、優しく舌が触れ合えば、我慢と、その先に見据える解放にも自然と夢焦がれた。
「?!……フロイド…?」
「オレも同じ。――……今すぐ明日になんねえかな……あはは」
「ッ……――」
「……まってるからね、明日」
「……うん…―――」
その後、四日目の夜、帰宅して飛び込んだ寝具で名無しの脳裏に過ぎったものがあった。
それは数日のあいだ行き場のなかった燻った感情などではなく、ただただフロイドに恋慕する、ただただ純粋な想いだけだった。
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