主≠監。
he got cuckold.
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「いつもならちゃんとスマホの電源を切る貴方が……らしくありませんよね。ふふ……トレイさんのこと、考えていたんですか?」
「っ……だから…ちがう……そういうのじゃ……ッ、ふ、ぁ……っ」
名無しとの付き合いはトレイに比べて格段に長かった。
何処を攻めれば悶えるかも知り尽くしているし、どんなプレイを好み、どう刺激を浴びせれば、色めく声音を上げるかも理解していた。
会える頻度は、ジェイドだって決して多くはない。
それに歪んだ愛情しか向けることのできない自覚があった彼にとって、身体以外の蜜なる繋がりを求めることは殆どなかった。
あくまで名無しとは、ただの性欲を満たし合う関係に過ぎないのもまた事実なのだ。
「………」
だから多分、これはすべてにおいてジェイドの我が儘にあたるのだろう。
たとえトレイと彼女を共有しようとも、知らず知らずのうちに元あった愛情は着実に膨らんでいたということ。
自分だけのものにしたい瞬間が、胸がちくちくとする時間が、確実に増えていたということ。
身体だけと言いつつ、トレイのようにそういう欲望をいつしか、ジェイドも自ずと持つようになっていた。
「は……、ん……ジェイド……いや…もう……」
「……名無し」
「ッ……」
「……ふふふ、面白いですよね、トレイさんは。……きっちりやり返してくるあたりなんかは、とても好戦的だ」
「…ジェ……」
――漸く名無しと会う日を設け、彼女を抱き締め、まずはキスのひとつでも交わすつもりだった。
実際膝を曲げて高さを合わし、ジェイドの方から唇を重ねれば、名無しは嫌がるどころか自分から口を割り、積極性を彼に見せた。
その愛らしさに目を細め、キスをもっと濃密なものへと昇華したい衝動に駆られれば、ジェイドは自らも舌を伸ばし、強引に彼女を貪る。
顔を離した時に意識付いた、糸を引く互いの唾液にも視覚から刺激を受けると、頭のなかは順調にセックスのことだけで満ちていた。
「あ……」
そうしてキスのあとは、わざわざ何か言葉を交わすまでもなく名無しを抱き上げた。
ジェイドは黙って名無しをベッドまで運ぶと、そのまま彼女を押し倒して、順番に服も脱がせた。
その脱衣させた際、首筋に覚えのない痕が見えてしまえば、それはトレイがジェイドに寄越した牽制とみて間違いないと、ジェイドが思うのは当然だろう。
控えめで居た筈のトレイが段々と牙を剥いてきたことがなかなかどうして面白い。
煽られること自体も、何故だか悪い気はしなかった。
総じて、これから名無しを抱くというタイミングでトレイから彼女に着信があったのは、ジェイドにはかえって都合のよかったことだった――。
――――。
「ジェイド……あ…、っも……だめ…」
「ふふ……ダメ?何がです?」
「ッ……分かっ……くせに…、挿れ……もう…、ちゃんと電話も出て…話したのに……」
「ああ……フッ。そうしたかったんですがね……何せとんだ邪魔が入ってしまったものですから。誰かさんがスマホの電源を切っていない所為で、気が乗らなくなってしまって」
「!……あっ、ぁ……」
名無しの首筋に残る複数の痕を見た正直な感想を、こうだと言い切らないあたりはいかにもジェイドらしかった。
別に傷ついたわけでもなし、大事な女を汚されたと認識して、感嘆とするでもなし……。
ただなんとなく「よくもやってくれたな」という、対抗心にも似た気持ちをトレイに抱いている気はしていた。
「や……ぁ…ッ……」
トレイが痕を残したのは、ジェイドが名無しの下半身に無数の同じものを刻んでいたからに他なかった。
あいつが下なら俺は上……そんな単純な答えにも自然と行き着いた。
共有すると言っておいて、それぞれ好きなときに名無しを呼び出し、好きに抱く――。
それは互いに納得した話だというのに、なかなかどうして上手くいかないのは、自分たちに何かしら、名無しへの感情があったいい証拠だ。
恋仲でもなし、名無しに選ばせるなんて野暮なことも互いに出来る由もない。
かといって三人で会えるのは、余程の機が重なったときだけ。
だからあとはそれぞれが好きにすればいいだけなのに、いちいち感情的になって………まずはジェイドが、そんなトレイを笑っていた。
けれど結局、ジェイドもトレイの挑発に乗ってしまっていたということだ。
「ちゅ……んん…――」
「いや……ジェイド……ッ…」
寮のなかでの限られた時間。
それを無駄にはできまいと、そもそも名無しの首筋を見てもジェイドはまだ、あくまで冷静でいられた。
が、名無しの身体に隈なく舌を這わして、嫌な感情を水に流そうと愛撫に集中して、自身も肌を露わにしたときにそれは起こっていた。
鳴り響く名無しのスマホは、鞄の中でモバイルバッテリーを用いて充電していたがために、その電源は落とし忘れられていた。
マナーモードでさえない、明らかに連続する着信音にジェイドが気を削がれたのは当然だろう。
挙句、彼が更に名無しを追いつめたその遠因は、スマホを鳴らしているのがトレイだったことに加え、それを名無しが分かっていたように見えたからだった。
その音がトレイ専用のものだと、彼女の顔を見て悟ったジェイドは、押し倒していた名無しの上から一度離れて身を引いた。
腕を伸ばした先には名無しの鞄があり、ジェイドはその中にあった彼女のスマホをバッテリーごと手に取ると、渇いた笑みを拵えながら名無しに手渡した。
そして自分の前でトレイと通話をさせ、今は一人だと名無しに嘘をつかせた。
出だしの声や話し方、その内容……表情も含め、トレイと話す名無しを目の当たりにしたことで沸き起こったのは、やはり認めざるを得ない嫉妬だった。
それを含めたジェイドの名無しに対する悪戯心は、このとき「名無しが真に望むものを与えない」という形で、徹底を極めていた――。