主≠監。
may be a crush
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――――。
「――ァ……ンァ…、んん……アァ……」
「はは……おいおい…ココで発音するなよ……響かせるのは、えっちな声だけでいいよ……ん」
「!」
――景気の良い事後だということは、その会話からも察することはできただろう。
耳心地のうっとりとする雫のはねる音に、ほどよく響く自分たちの声。
名無しはトレイと共に揺らしたベッドでのそれを終え、漸く待ち望んでいた入浴の時間を彼と迎えていた。
「ふふ」
「ッ……!や……またそういうこと言……っ、んん…」
「言わせてるのはお前だろう?まったく……ひとが風呂場の様子を見てた一瞬で、なんで参考書開いてるんだよ……」
「…ぅ……」
ベッドの上では、トレイと執拗にキスを繰り返していたまでは覚えていた。
自分の肉筒の中で彼が小さくなって、ひとつのセックスにいよいよピリオドが打たれる……。
終わりの瞬間を味わいたくなくて、目を閉じながら自然と眠ろうとしていたともしも問われれば、名無しにはそれを完全に否定することはできなかった。
まあ、疲労感も手伝って睡眠状態に入ってしまうことなど茶飯事だったし、そんな名無しにトレイは髪を撫で、見える肌に優しく口付けるだけだ。
トレイもベッドに背をつけて横になると、数分かけて呼吸を整え、脳裏では名無しとの交わりを反芻していた。
本当にこんな偶然……改めて考えても嬉しかったし、思い出しただけで再び勃起しようとする竿を宥めるのに、ひとり、少し必死にもなっていた。
「ちゃんと習ってるんだな……ウチの授業にもあるよ、動物言語。……難しいよな、確かに」
葛藤の末、完全に性的な感情を自身から切り離す。
先に起き上がったのはトレイの方だった。
そして名無しが所望していたものを彼が思い出し、一度だけ欠伸を零しながら裸のまま向かったのは洗面所だ。
こういう空間に見合った、「らしい」そこを目にして鏡に見せるのは、きっと苦笑いが相応しいだろう。
ボタンひとつ、それも一瞬で溜まるらしい湯が大きなバスタブに張り巡らされるまで、トレイはなんとなくその場に居座り、カランの流れを追っていた。
とはいえ、彼がそこに居たのは五分そこいらというとても短い時間である。
そのあいだにローブ二着を手に取って、傍に置かれていた入浴剤を開封すると、トレイはそれをバスタブに注ぎ込んだ。
一瞬で湯船に泡が広がれば、なんとなく愉快に、そして気持ちも穏やかにさせられていた。
「ん……動物……すきだから。……できればちゃんと話したくて……」
「そうか……偉いな、名無しは」
「っ……、…」
――やがて泡にまみれたバスタブが仕上がって湯張りが終わると、名無しが喜ぶだろうと思い、トレイは彼女を起こすべくベッドの方へと戻った。
もちろん共に入浴する為にだ……けれど、意外にも名無しはその短時間のあいだに目を覚ましていた。
その裸体はうつ伏せで、ぱたぱたと足を動かしている。
購入したばかりだった参考書がこんな場違いな部屋、名無しの手中にあることをトレイが目にすれば、思わず膝の力も抜けるほどにその光景は不可思議で、何より面白かった。
戻る自分に気付き、おはよう、と擦れた声音で囁かれると、やはりまた彼女を抱き潰してやりたいという欲望が沸々と沸き起こる。
それは今すぐ可能なことだった……が、懸命に耐える自分との戦いをトレイは繰り返しながら、再び肉欲を抑え込んだ。
「フ……」
少し離れていただけでおはようはないだろうとからかって、名無しに悟られないようにただただ笑顔で、結局自分も同じおはようを返す。
そうやって笑いを誘い、名無しを呼びはしたものの一度は隣に寝そべって、参考書の中身を一緒に覘いた。
そもそも、どうしてそれを今持っているのかと問えば、起き上がって荷物から取り出した……純粋に気になって、今すぐ読みたくなったのだと、名無しは正直に話すだけだった。
トレイは少しばかり、名無しの天然のように感じた言動に癒しを覚え、同時に欲望が落ち着いてくれたことにも安堵していた。
「うち、実技テストもみっちりあるんだ……ちゃんと発声して身体で覚えないと、すぐ忘れちゃうから…はぁ……ンン……」
「なるほどな……ふーん?身体でねえー……」
「ッ……もう…!そういう意味じゃ…ッ」
「はは……分かってるよ。……難しいよな、発音」
「~………それ、さっき聞いた…」
「!……ハハ…ッ、悪い悪い。……だって目の前にお前が居て、こうやって一緒に風呂入って……あんまり他のこと考えたくないんだよ……今は」
「っ……、むぅ……」
「ふふ……ん…チュ――……もっとゆっくりしよう……な?名無し」
――ベッドの上は名無しの隣に戻り、そこでとある頁の一文を彼女に読み上げてみせたとき、トレイがすぐに飽きたのは彼にとっても想定内のことだった。
お姫様ご所望の湯船が完成しましたよと切り替え、間近で冗談を連ねたのはもちろん、ぬるま湯になってしまう前に二人で気持ちよくそこに浸かりたかったからだ。
トレイは名無しが持っていた参考書を取り上げると、汗の引いたその身をぎゅっと抱き締め、浴室へと促す軽めのスキンシップを試みた。
当然、分厚いそれを奪われた名無しはいじけ面をトレイに見せそっぽを向いたのだけれど、些細な攻防は案外、キスをするだけで万事解決していた。
意地らしさを際立たせつつ。
その胸中、奥底をとろけさせつつ……。
あとは彼女を軽々抱き上げて、一緒に浴室に直行するだけだ。
互いの体液をシャワーで流すと、名無しの陰部に蠢きっ放しだったであろう、トレイの欲望も彼自らが掻き出してやる。
そして漸く漸く、入浴という、セックスとはまた違った至福の時間が訪れた。
今は名無しがトレイにもたれながら、湯船で参考書の中身を音読していたところだった―――。