主≠監。
heat haze
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――――。
「フ…ぁ……!あッ…」
「はぁキモチイイ……、ん……ねえまだ怒ってんの?オレがお前の大事なクスリ踏み付けたこととかさァ」
「!ッ……んぁ…」
――窮屈だった場所に無理やり挿入されれば、名無しが悲鳴を上げるのは当然だ。
それは本来ならちゃんと愛されて、じゅうぶんに甘露が満ちて、初めて男女が繋がれるであろう崇高な行為なのだから……。
「オレちゃーんと聞いてんだよー?あのあとジェイドにいーっぱい慰めて貰ったんでしょ?お前アンアン叫んでたってジェイド言ってた~。アン……アンって!あは……!」
「フロイド……ッ!!あ…んッ……ああ……っ」
「ほらーそれそれ。だからもうチャラだよね?あのときのコトは水にでも流してさ……ほらお前も一緒にイこうよ~………名無し…」
「!!あ……――っ」
抱擁されて、口付け合いたい。
触れたいところにお互いが手や唇を伸ばして、ひとつに溶けあうような……そういう甘い時間が本当は欲しかった。
が、そんなセオリーはフロイドの前では起こらないのがもはやデフォルトだ。
すべてを無視して、すべてを壊す。
名無しへの気遣いなど一切なく、もしも降らされていたとすれば、それは彼の気まぐれによるものだろう。
「いや……フロイド…!抜い……あッ……」
ベンチの脚の呻りが耳障りで、ぎしぎしとうるさい。
ジェイドの部屋のベッドやラウンジのソファとは全く違う、下種な擬音がその一室、一箇所で大きく響いている。
そこに混ざる名無しの嬌声はとても甘美だった。
実際二人にも確かにその喘ぎは心地好く聞こえており、けれど品のない無機質な軋みが、容赦なく彼女の声色を相殺してもいる。
「あ…ッ……」
フロイドは気にせず、成すがままに腰を打ち付ける。
一方で名無しの声に耳をすましていたジェイドは、汚い擬音が不快だったのか、後方で少々苦笑いを浮かべていた。
こうして兄弟で差が出るのは何とも面白い話ではあったが、そんなことを比較する余裕など、勿論名無しにはなかった。
「あ……んぁ…!フ……ッ」
互い、制服と下着をずらしただけのまま、突如強引に犯される。
通常の声音でフロイドに耳打ちされた、過去の一件をふと話題に出されれば、名無しは目を見開かざるを得なかった。
自分は避妊する気もないうえに、挙句、その薬にまで気まぐれに手を掛けられた、フロイドが潜める非情無情。
度を超えた冗談には何処をどう見ても慈悲なんてなかったし、そんな男にまだ抱く恋愛感情には、一体何の意味があるのだろうか。
本当に厄介な気持ちと病む果てに、痛んだ胸に被せられるは享楽の渦。
体内に駆ける快楽に、名無しはただただ悦がるばかりだった。
「は……抜、い……痛い…、フロイド……っおねがい……」
「、……へえ…イタイ、ねえ……」
「ッ……!あ……」
「じゃあナニ……?この何か聞こえるのは。ほーら……クチュクチュ言ってるよ?お前の垂らした涎じゃねえのー?オレに突っ込まれて感じてさぁ」
「…っ、は……ァ……ッ」
気まぐれな男……起伏の激しいフロイドのフォローはジェイドがする。
が、それは名無しの為じゃなく、きっと自分たちの為だ。
仮に少しでも名無しに抱く想いがあったとしても、三人が純粋に通じ合うことなど一生訪れないだろう。
ジェイドにまだその余地があってもフロイドが邪魔をする。
フロイドが気まぐれに愛そうとしてもジェイドがそれを阻む。
名無しは今だにどちらとも選べないまま、二人にいいように身を委ねている。
全うな関係になどなれない、今更戻れない……。
ただひたすらに、こうして歪で屈折した、痛く甘い関係だけが続けられるのだ。
終わりのない天国など、そんなものは地獄と同じだ――。
「ふふふ……強情ですね…。相変わらず健気だ」
「…っ……!やめて……その声…!!ひ……」
「あはは……ッ!お前やばいよ……?そこにジェイド居るじゃん~……カオ赤くすんのは流石にナシだと思うんだけど?……それとも、そんなに似てた?」
「――……ッ……!」
「ココもきゅうううって締まったしさぁ今……アー…めちゃくちゃキモチイイんだけど?ねえ~……」
「っ……フロ……お願…」
「ふーん?じゃあー………ほら、名無し……一緒に達きましょう――」
「!……ッ、やめ……―――ッ!!」
――そののち、蜜の一滴すら垂れていなかった名無しの陰部からは、ゆっくりと粘着質な音が響いていた。
無理やり押し込まれていても、数分も律動を繰り返されれば嫌でも濡れる。
そんな風に躾けられていた身体が本当に恥ずかしかった。
そこにはフロイドの存在と匂いがただ目の前に広がるだけ。
抱き締められているのだって、ベンチ上では名ばかりだ。
時々耳飾りの先端が頬に擦れて、少年のようにやんちゃで実に彼らしい、無邪気な声も聞かされた。
が、名無しはそのときフロイドを間近にいることは実感できても、セックスの中に愛情なんてものは微塵も感じていなかった。
「あ……アッ……いく…フロイド……やだッ、もう……!!」
こんな男のことがなかなかどうして忘れられなくて、乱暴に犯されても身体は悦び、上下の口から涎を零す。
一度糸が切れて快楽に洗脳されれば、上半身を押し返していた筈の両腕も、いつだっていつの間にか広い背に向かい、結局は自分から仮初めの抱擁を望むのだ。
「い……イッ、いく……んあ……ッ――!!」
傷つけられ、胸に刺さりっぱなしだった過去の件だって平気で掘り返された。
何度も何度も忘れようとして、そのたびに振り絞った努力が一瞬で水の泡と化す。
脳に侵食するのは、さっさと溺れればいいだろうと囁く、フロイドの黒い誘惑だった。
「んっ……はぁ…イク……あ…ッ……!―――名無し……ッ――」
――組み敷かれる、自分を抱くフロイドの上機嫌を物語っていた瞬間は、その耳元で確信を得て、名無しは精神から穢された。
下肢に浴びた激しすぎる猛追が、椅子の四脚には下品な悲鳴を。
名無しの喉には、甘い慟哭を上げさせる。
「――………」
そのとき、読むことの不可能だったフロイドの声音は一気に抑揚混じり、兆しを境にシリアスな低音へと変わっていた。
そして聞き覚えのあるそれを認識した刹那、溺れまいと堪えていた名無しは咄嗟に彼にしがみつき、本当は求めていた絶頂を全身でとくと味わった。
名無しがそこで嬌声とともに口漏らしていたのは、間違いなくフロイドの名前だった――――。