主≠監。
heat haze
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「お疲れ様です、名無しさん?」
「ねー……密室だよ?エロいよねーなんか……こうやって三人揃うのも久々だしさ。ねえねえ何する??」
名無しは出入り口でフロイドに虚を突かれると、その反動で再び自分のボストンを床に落下させていた。
唯一握り締めていたショルダーベルトは持ったままだ……彼に腕を掴まれ部屋の中へと引き摺り込まれれば、その後聞こえたのは、無情にも鍵の締まる音だった。
「ッ……」
バタン、という大きな開閉音に肩をびくつかせる。
驚いたも束の間、部屋の中心に設置された長椅子に早速押し倒されて、そこで名無しはショルダーも止むを得ず手放していた。
背中を強く打ち、眉を顰めながら自分を組み敷いたフロイドを見上げると、その奥には別のベンチにゆっくりと腰を掛け、足を組むジェイドの姿もあった。
フロイド越しに降り注がれていたのは、少し前に出くわしたときとは到底かけ離れた、冷静さを含んだ鋭くて強かな視線。
そこに笑顔はあれど、確実に先程とは何かが違っていた。
目が合えば嫌でも理解出来たのだ。
今、そこにいるジェイドは既に、性的な展開を見据え、気持ちを切り替えていたのだということを……。
ただただフロイドと共に自分を弄ぶ気でいるだけの、目に見えない冷ややかな空気が、その部屋には酷く充満していた。
「あ……」
「終わったようですね、ミーティング……隣に居た彼には、最後まで怪しまれずに済みましたか?」
「っ……な…」
「ああ……語弊がありましたか?特に深い関係でもないようには見受けられましたが……僕には、彼が貴方に興味を抱いているように見えていたもので。ふふふ」
「そんな……あの人はただの部員で、私もただの……!!ん……」
此処へ来るまでに感じた、和やかな空気がいきなり懐かしく思えたのは言うまでもないことだろう。
ロッカールームの扉を開けるその瞬間まで、体育館に響いていた馴染みの音に救われていた。
学校では好きな部に所属して、そのマネジメントにも就き、いつだって笑みを零して来られた。
そんな自分の置かれた環境がどれだけ恵まれており、どれだけありがたいことなのか、名無しは改めて痛感していたばかりだった。
「ッ……」
目の前の……この二人との関係さえ生まれなければ、いつまでも自分は純粋なままでいられただろう。
狂った歯車は誰でもない、自分の所為だ。
フロイドに好意を抱いて、今もなお棄てられない気持ちがここにはある。
たとえ彼にきつく掴まれた腕が痛んでいたとしても、それを無理やり振り払うことすら、彼女にはよもや叶わない……。
「痛……ッ…ん…」
「へ~……やっぱお前モテるんだ?まあ確かに男バスのマネージャーなんかやってたら男は漁りたい放題だろうけどさァ」
「ちが……!絶対ありえない……ッ、……!……んっ」
「でもジェイドが言ってるじゃん?仲良いのが居るんでしょ……?なにレギュラー?それともキャプテンー?今度オレ達にも紹介してよ~……名無し?」
「!フロイド……待…っ」
「だってお前にその気がなくてもさー、あっちは毎日頭ん中でお前のこと抱いてるかもよ?――……こんな風にさ」
「ッ………――」