主≠監。
pussy struck
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――――。
もしも「その」とき、ジェイドが撮影ボタンを既に押していたのならば、それはトレイによるささやかな嫌がらせだとも彼は思っていた。
記される、挿入の瞬間に紡ぐ言の葉など……実に洒落ているではないかと嘲笑を交えるのは、腹の中でだけの話である。
「………」
トレイに悪意はないことは承知の上だ……。
けれど彼の軽い牽制は、時として名無しを抱いた後のクールダウンしゆくジェイドの身体には、随分と心地がよかった。
競い合うわけでもなく、奪い合うそれでもない。
ひとりの女性をシェアすることに付いて回る淡い弊害であるならば、それもまたスパイスのひとつとして味わえば、新たな享楽も自身得られよう――。
「あ……ッ…ア……ァ…」
「はぁ……気持ちいいか?名無し……」
「ッ……!!ひぃ、……んぁ……あ…」
きっと、嘘か本当か以前の問題だ。
その言葉をなんとなく口にすることで、やはり高め合えるものがセックスには秘められていたのだろう。
熱っぽい表情から溢れる色気はそれを増すばかりで、名無しのトレイに抱かれる様子は、本当に瞬きひとつするのも惜しいとジェイドには思えた。
「ト……ッ…すご、…トレイも……あっ…」
「…ん……?俺がどうした…?名無し……」
「ッ……トレイの、も……すごいの…おっきくて……ッ、あつい……こんな…」
「ハ……俺も散々待ったからかな……?萎えてくれそうになくて、自分で笑っちまうよ。ホント……もうずっと興奮してる」
「はぁ……んぁ!ア……」
「……熱いの、本当に俺のか?さっき出されたジェイドの精子じゃなくて……?」
「!……や……そんなこと言わないで…ちゃんとトレイの……!!んっ」
「チュ……ああ、そうだな…それじゃあ、もっと熱くなろうな……ふたりで一緒に……――」
トレイが服をすべて脱ぎ捨てたのには勿論理由があった。
まあいたってシンプルなことだ……今この瞬間、余すことなく名無しを感じたかったからだろう。
それに自分が傍観しているとき、上半身が触れ合っているジェイドを至極羨ましいとも彼は思っていた。
抱いた羨望の意に囚われ過ぎず、気持ち穏やかで居るためにとった最善の策といえば、それも決して間違いじゃない。
もう殆ど惚れているといっても構わない……。
そんな名無しと、肌と肌を擦り付け合うということがトレイには必要で、それはとても大切にしたい気持ちだと……そう思える行為にまで昇華されていた。
「あ……んあ…ッ……」
ずっとずっと、その手と指と、唇と舌で愛してきた。
今は身体が同じ部位同士で触れ合って、ツンと擦れる乳首の感触も殊更たまらなかった。
汗ばんで滑りの悪くなる、けれど無理やり抽送で深く馴染んでゆく。
混ざる水分が何度も何度もベッドの上で弾ければ、耳心地に快楽が波打ち、名無しの甘い声と共鳴する。
後頭部を抱き、囁きと共に交わすキスは、陰部と同じくらい互いの口腔が熱を持ち、吐く息の艶に臍下が何度も疼いていた。
「トレイ……あ…!!いい……、ト……ッ」
「ん……何処がいいんだ…?言って?名無し……んぁッ……」
「っ……名無し、の……く、奥……トレイの、いっぱいささって……ん!ひぃ……」
「俺の何……?ああ……してるよ、出し挿れ……気持ちいいからな……んあ…」
「……ッ…、……」
汗のきらめきさえ愛おしかった。
白んだ息が孕む熱さえ抱き締めたかった。
すべてを包み込んで快感を共有して、もっともっと名無しの奥に潜む、彼女の欲望を引き出したいという烈に駆られる。
「ふ……んむ、…ぁ……あ!あ……!」
まるで舌を丸ごと奪われるのではないかというほど、名無しはトレイに唇を貪られていた。
ひとつのキスに、濡れた身体をどこまでも淫らにされてゆく……。
その底の見えなさ具合にはトレイもそれなりに驚いていたし、無論、とことんまで昂らされた。
じっと見つめれば締め付けは強まり、声で苛めれば、肉の壁が更に潤う。
好きという言葉の魔法以外に翻弄される名無しは、やがて自然とトレイの身体に纏わりつき、ジェイドのときのようにぎゅっとその体躯に自らしがみついた。
「トレイ……トレイ…あ……ッ」
「は、ぁ……ッ」
縋り付かれることに覚える多幸は計り知れない。
やみつきになることも、快楽も約束されたこの先の未来。
それでも手放したくない気持ちばかりが先行して、自然と逸るのは律動と愛撫。
トレイは己を律せず、声攻めも抑えられず、まだまだ激しく名無しを突き続けると、ふいに求めたそれで彼女を翻弄した。
「ッ……俺の何が、お前の何処にささって……ン、お前はそんなにはしたない声を出してるんだ?……ん?」
「…っや……!んぉ……ああ…ッ、と……れぃ…」
「……言えないなら抜くぞ……?困るよな……?フッ…」
「やだ……恥ず、……から……そんな、ちゃんと言えな…」
「ハ……恥ずかしい、か……俺とお前が今してるのは?恥ずかしいコトじゃないのか?」
「!!ひ……んん、…アッ……」
唾液で縦に築いた橋が崩れれば、舐め掬ってきれいにしたばかりの名無しの顔に、それがまたとろりと垂れてゆく。
両頬に手をあてがって頭を揺さぶらせず、悪逆な顔をしたトレイが名無しに振った、淫語をねだる様子は実に陰湿で卑猥だった。
そのひとつすら口にするのを恥じらえば、自分たちの今まさにしている行為を棚に上げられて追いつめられる。
挙句、強かだった下半身への刺激が緩まったことも感じてしまえば、トレイの言葉が口だけじゃないことも自ずと匂わされる。
孕みたくない焦燥が名無しの中に渦巻けば葛藤も必至で、そんな彼女を見下ろしながら、トレイはそれを肴として、淫水の中の陽物に高揚を感じていた。
「ト……」
「抜くぞ……?折角一緒に気持ちよくなってたのにな……フッ」
「ッ……いや!抜いちゃや……ら……、トレイ…!……ッ」
「ん……?」
「―――………ッ……」
――名無しにだって、「これ」が記録されていることは分かっている。
もしかしたら、あとで態度を一変させた二人にこれ以上ないほど動画を見せつけられ、脅される可能性だってあったというのに……。
「…ッ……――、トレイ……」
それでも、名無しは欲には勝てなかった。
ベッドの中では彼らが優しいことも身体が覚えていたし、忠実にねだって何も与えられなかったことなど、今まで一度たりとも起きはしなかった。
本能で理解してしまっているから。
口を開けばどうされるか、幸せな気持ちにして貰えるか……すべて分かっていたから――。
「――……ハ……俺はそこまでしろとは言ってないぞ?本当……卑猥な女だな。名無しは」
「っ……トレイ…、……!!ん……ア…ッ」
背に腹は代えられない。
が、せめてそこだけは記録に残らないように……。
名無しは葛藤にけりをつけ、トレイに強要されたことをすべて自身の言葉に乗せ、彼の耳元でそっと囁いていた。
激しい只中なのだ、声音の調整なんて、自分でも上手くいったかなんて定かじゃない。
けれどせめて録られていなければ、もうそれでいいと思えた。
その仕草は確かに保存されるだろうし、唇の動きでだって、再生された時には二人にネタにされるかもしれない。
だとしても今は純粋に、情熱的に、トレイと肌を重ねているさなかだった。
「は、ぁ……トレ…」
「フ……けど、ちゃんと言えたな……いやらしくおねだり。偉いぞ……?それじゃあご褒美な」
「……っ!あ…ッあ……ト…、ンぁ!!……ひィ、……ッ」
名無しがそのとき感じていたのは、決断ののち、トレイに耳打ちしたことによるジェイドの反応についてだった。
視線を向けるのが少し怖かった。
それを隣で見続けていた彼がどういう気持ちになって、どういう顔をしていたかを考えるのが、少し恐ろしかった。
たとえ恥ずかしいそのおねだりが音声としては残らずとも、肉声そのものはきっと、確実に聞かれている筈なのだから……。
「……ふふふ」
「っ……!あ……んぁ…ッ」
恥辱は大前提、けれど名無しがトレイにしか話さなかったのは、同じ言葉をたとえ口にしても、それがジェイドに宛てたものじゃなかったからだろう。
互いに欲望を吐き出し、慰め合う関係。
そして勿論、彼がそれを理解していない筈もない。
やがて名無しが恐々と感じつつもジェイドに目を向けると、横目に見えた彼の表情は、結果なにも変わってはいなかった。
微笑みまじり、スマホを向ける様子もずっと同じだ。
そこにすぐ安堵を覚えれば、直後、杞憂を察したトレイによって休みなく続きを浴びせられ、名無しは別の意味で恐々と声を漏らしていた。
――――。
「ト…れィ……!!あ……ぁぐ、アッ……」
「ふふ……お利口さんにはプレゼントだ……当然だろう?、ん…チュ……きもちいい?名無し……」
「!!あ……あっ……いい、……きもちいい…それ……そ…っ」
「ン……んぐ……ちゅる…はぁ……」
「っと……もっと吸って…、トレイ……もっといっぱい、舐め……あっ……突いて突い……ぃア……ッ!!」
いっときの恥をさらけ出して得られたものは本当に大きかった。
トレイの支配欲も大いに満たしていたらしいことは、彼の動きを見ていれば自ずと伝わってくる。
それに何より、互いの身体がとても幸せだったことだって、耳にし合う淫靡な声音で筒抜けだ。
「また締ま……っ、…キツ……名無し…可愛いよお前……えっちだ……」
「はぁ……ん!…トレイ……ッ」
当初この部屋に来てから、暫くは純情ぶっていた筈だ。
そんな態度から豹変した、二人が齎した躾による効果というのは絶大だった。
自分にだけ見せる、名無しの淫乱な声、仕草、表情……。
繋がりの心地好さたるや、トレイはこの上ない幸福を覚えていた。
組み伏せて下肢を犯しつつ、キスから始まる、届く限りの肌色に張り巡らせるは舌の罠。
熱いその部位が何度でも名無しの性感帯を好き放題這い廻れば、甘い声色はより一層高音になった。
「はッ……、スケベ……こんな足絡めて……お前…一生俺から離れないつもりか……?ん…?」
「っ……トレイッ……い、好い……きもちいいよ…ぅ……、ぁんッ……」
「ああ……もっと声だせ、もっと……もっと…そうやって俺の耳元でいっぱい啼いて……はぁ、ん……チュ…」
「!……ッ…ア……っは、ぁ…ひぁ……」
トレイの臀部に足を絡め、彼が万が一離れないよう、健気に踵を引っかける。
名無しが感じるあまり無意識にした所作は、煽られたと思ったトレイの行為にも拍車をかけた。
再び耳を攻め、わざとクチュクチュと音を立てて舐め回せば、彼女の膣が締まることくらい計算済みだ。
もっとも、陽物全体が艶めかしく膣に囚われていれば、行う出し挿れはおろか、その動きを止めることもまた難しかった。
「あ……ッ」
抱き締めていた後頭部から腕を抜き、トレイはその手を、名無しの胸を愛でる為に使う。
彼女の好きだった正常位のまま胸元を攻め、鳥肌の止まらない乳輪を吸引することで、全身に駆け抜ける悦を味わわせる。
気持ちいいと素直に口にされれば、純粋に嬉しかった。
それじゃあもっと、と思えることが、どれだけ幸せかも改めて知れた。
まるでナパージュでも施されたかのように、唾液に塗れた名無しの乳首はきらきらと艶めいている。
それを嬉しそうに食むトレイは、さながら赤い果実でも口含んでいるように見えた。
「トレイ……トレイ…ッ」
繋がりの確かな陰部に名無しの唇。
時々後者は首筋や腋、もちろん胸元にも場所を変えて、複数の位置で同時に水音が響く。
「名無し」
「っ……?」
止まらない律動は数分に渡って続いていた。
けれどふと、トレイはそこで初めて自分から眼鏡を外し、それをクラブのクッションの上に投げ捨てた。
彼が口を開いた途端、二人のあいだに流れていた空気には変化が生じていたけれど、そこには決して悪い意味などなかった。
もちろん、ジェイドに向けられていたスマホの役割にも変わりはない。
言うなれば互いが互いを再び惚れ直し、また一層、相手を好きになってしまうような……。
流れていたのは、そんな甘やかな空気だった。
「フ……なあ、そろそろバックで、とも思ってたんだが……今日は突かせてくれないのか……?」
「…っ……え、あ……んぅぅ……」
「ん……?四つん這いにして、丸見えになったお前の尻、ぎゅって掴んで……バックでぐちゃぐちゃに犯したいな…。……ダメか?名無し」
「ッ……」
場が張り詰めたのは、本当にまばたきほどのあいだだけだった。
律動を経てしっとりと甘い、恋人同士のようにも見紛う濃密な時間が流れていただけに、驚いた名無しが見せたトレイへの百面相に、彼はただただ恋慕を抱く。
それは満たされども、消えない支配欲が齎した更なる性への渇望だ。
トレイがふいに体位を変えたいと思ったのも自然なことなのだろう。
今も回されていたスマホのカメラ、トレイのねっとりとした囁きが名無しを誘惑する。
けれどそのときの名無しが抱いた感情は、ほとほとトレイには及ばない思考だった。
目を見開いてその返答に驚くも、逆に高まってしまったこともまた、彼には甘くほろ苦い思い出のひとつにもなろう――。
「あ……うしろ、は……ッ――」
「名無し……」
「…ッ……やだ……だって、…トレイの顔……見えな……ッ」
「!……」
珍しく、強い意思で撥ね退けられた気がした。
トレイの小さな願いが彼方に消えたその瞬間、予想だにしていなかった名無しの言葉に、けれど彼は微笑んだ。
時々意表を突くような……自分の中に眠っているらしい、性に忠実な想いが表に押し出ていた名無しは、その強情さがつくづく愛らしかった。
抗われて、真っ向からのセックスを求める無自覚に淫猥な彼女の姿……こういった状況は恐らく、ジェイドも過去に体験しているのだろう。
そう思った直後、トレイは彼と目が合っていた。
予想が当たったからこそ面白おかしく口角を上げるしかなかったが、素直に面白かったのだ……トレイに何も言うことはなかった。
それにこういうときの名無しは云わば、裏を返せば、本当に性欲を抑えられない状態でもあるということだ。
長い時間をかけて仕込んで、愛でて……つくづく身体に熱を送り続けた甲斐が、切にあったといってもいいだろう――。
「~……ふ…、ぅ……ッ…」
「は……ハハッ…!突かれるのが好きでもか……?ずっと正常位で……ホントにこのままでいいのか……?名無し」
「ッ……め…」
「ん?」
「ッ……だってうしろは…、舐めてもらえない…もん……――ッ」
「……ッ…。……ッハ……お前はまったく…」
その素直さが胸の奥に響く。
憂い物乞う様が、しつこいまでに下半身を疼かせる。
ただでさえ膣中で味わっていた快楽が、その悩ましげな表情と、声音によって深く深く、どこまでも加味されてゆく……。
「フ……そうだな……名無し。…ン、……ん……チュ…」
煽れば煽るだけそれでも意地を張り、頑なに今の状態を求める名無しに、トレイがそこで無理強いをすることはなかった。
まあ、少しは彼女を背後から犯したい欲はあったものの……それでもだ。
強情なのにこんなにも可愛い、そんな姿が目の前で見れたのならば、男として、名無しの希望を叶えてやらないわけにもいかないだろう。
「!!あ……ッ」
「フッ……バックじゃあ……耳は舐められても、ん……うなじと、背中……あとは無理やりキスができるくらいか?それはイヤって……?この意地っ張り」
「っ…いや……らっていまは、む……、ね……!!ひゃ……ッ」
「ふふ……ワガママだな、ホント……ちゅ。んん……」
「ん!ン……ちゅく…っは……ァ…!」
「けど……お前はお利口さんだから、許してやるか……はぁ、…んっ……」
「!ひ……ぃあ…あッあ……いい…乳首きもちいい……ト…ッ」
「乳首だけ……?んむ…ちゅく……んん…」
「……!!それ……なかも突……ア……ッ」
本当なら無理やり後背位に持ち込むこともできたし、そこから彼女の望むものを施すことも不可能ではなかった筈だ。
けれどトレイは名無しの気持ちを尊重した。
ここまで自分に……自分たちに弄ばれ、それでも懸命に応え続けていた彼女への罪滅ぼしと言ってしまえば、それは少し違うかもしれない。
ただ芽生える慕情が、トレイの決意を鈍らせていたから。
恋を交えた感情がこちらを折らせ、我が侭に喘ぐその姿さえ、とても愛しいと感じてしまったがゆえに――。
「きもちいい……トレ…っひぃ、あ……」
「ああ……可愛いよ…俺ので濡らして、締め付けて……ああ、また濡…んっ……名無し…ッ」
「ト……ッ、……!!あァ……」
顔が見れなくなることが辛い。
そう言ったくせに、頭を振って視線を逸らそうとするところにもまた、憎らしさにも相応する愛情が沸き上がる。
両腕を頭上でかため、額に同じ部位を押し付けてこれでもかと動きを阻めば、近距離で見つめ合った互いの瞳に自分たちがうっすらと映る。
羞恥心に滲む、名無しの目尻を舐め取れば涙の味がした。
続けてキスもすれば、耳にだって頬にだって、トレイは何度でも噛み付いた。
首筋を吸うたび薄らと肌は赤らんだし、消えかけていた所有の証がよみがえる。
耳傍でわなないた高音に快感がうつされるかの如く、トレイの震えた喉からは、彼の抑制しきれない声色が漏らされた。
「はぁ……またきつくなった…先っぽヤバ……なか擦れ…、んぁ……ん!ああ……ッ」
「と……んぁ、あ……それ……そこ激しく…、ンン……ッ!」
「……はぁ…名無し……、お前イキそうなのか…?!あァ……」
「っ……ん、いくの……トレイ、おくあたって……!!ああ……きもちいィ…アッ……、いっちゃうよ……あっア…」
しがみつかれていた分、名無しが思わず離れたがるほどに、トレイはめいっぱいの愛撫を彼女に撒き散らした。
それは殆ど、捉え方次第では体位の不変を望んだことに対する報復にも近かった。
舐めじゃくられる身体がびくびく震え、耳の奥に残るのは、ねっとりとした唾液の感触。
首や胸に伝う熱もまた生々しく、這うその舌心地は本当に最高だった。
「きもちいい……トレイ…すご、ぃ……あ、ん…!きもちいい……ッ」
こんなに淫らにトレイのベッドで溺れさせられて、名無しはもはや彼を拒めなかったし、腰だって自らトレイに合わせてグラインドさせた。
隆々とした体躯、その下半身の骨ばった場所には、自身の恥丘もあたるように……。
擦れる芽にもじわじわと快感が及び、何より、そこでは陰部がダイレクトに刺激を浴びている。
締め付けによって更に充血し、太ましくより強固になったトレイが、名無しの筒を高速で貫く。
そんなことをされれば同じ分だけ、名無しのスポットにだってもちろん、確かな愉悦は届いていた――。
「ああ……俺もキモチイイ……この前よりもずっとずっと、お前濡れ…っ!んッ……」
「トレイ……ッ、トレイ…ッ」
「ほら……イけよ名無し……ほらイカせてやるから俺ので……ン、ちゅ……んむ、ぅ……ッ……はぁ…名無し……!」
「!!……ッひ、ぁ……トレイ…らめ、いっちゃう……いクいく…イク、きちゃう……も…、ッ!!……んぉ……あッ―――」
――名無しの奥をぐんぐん突き穿つたび、トレイは彼女のまだ漏れる甘ったるい膣液に塗れていた。
陰部に居りつつ、且つ突きつつ……。
体液の海に生で浸れるそこは、至極たまらない空間だった。
「は、ァ……――」
トレイは自身も持って行かれそうになるのをぐっと堪え、名無しに至福を味わわせていた。
陽物が出し挿れによって奏でた水音も、そのときには確かに聴いている。
が、最早あまり耳に入っていなかったのは、彼には別の聴きたいものがあったからだ。
「はぁ……ハァ……――ッ、きもちいい……トレイ…――」
「………」
「?……ト、…――ッ!!」
名無しの上肢を舐め回し、乳首をきゅうきゅうと吸い上げ、乳輪を舐った淫靡な音。
キスをしたときに弾けた、唾液の撥ねる、澱みを思わせる、執拗に粘着質な音。
加えて律動と同時それらに感じて、一番聴きたい、彼女が啼き喚く声音に耳をすましていれば、トレイが陰部にまで意識がまわらなかったのは妥当なところではあった。
「――……ふ、…ん……ッ」
「!!ひぃ、……いや…ットレイ……!やッ……あァ……っ!」
激しく激しく何度もピストンさせ、ゼロ距離で括目した、セックスの交わりにおける名無しの中達き。
その瞬間に叫ぶ声色があまりに健気で、辛そうで、愛しくて、心底気持ちよさそうで……。
トレイはそれを聴く為、全身全霊をかけて彼女を打ち突けていた。
更には、その先に見る多幸をも、確かなものとする為に――。
「――も……いや!!トレイ…だめ……、イッ…もう……いやぁ…ッ」
「はァ……ッ、…ッフ……はは…!んッ……ァ」
「だめ……いまいって……!!もうきちゃった……から…、いまイッたから……っ!これ以上は、……トレイ…ッ」
「それだよ名無し……ほらもっと…ッ……あ、んぁ…――」
借りは作りたくない。
それがたとえただの口約束でも、だとしても聴いてしまったことは、回収しなければ気も済まなかった。
「ひゃ……んぅ、あ……!!」
底の見えない性に溺れゆく様を、自分自身の身体と、声と、その律動で。
貪欲に目覚め、ジェイドに立て続けに抱かれた名無しが、そのときでさえ漏らさなかった弱音を吐き出させること……。
『……それはよかった…。では、僕が聞きたい貴方の台詞は、トレイさんに引き出していただきましょうか』
トレイが名無しと一緒に果てなかった理由は、それがすべてだった。
どんなに淫水に心地よく浸り、嬌声に過敏になりこちらが沈められかけようとも、ただただ耐えて、耐えて耐えて突き続けた。
「あ……ア…っ、おかし……!トレイ……っも……ン、ひぃ……ッ」
「ハハ…、狂ったのか……?いいぞ……じゃあ…もっと一緒に狂おうな……名無し…、ああ……名無しッ……んあッ…」
名無しの達ったばかりの身体に追い打ちをかけるトレイの抽送は、また激しさを一層増してベッドを幾度となく揺るがした。
たとえ刺激に耐え兼ねて、暴れる名無しの手がクッションに触れ、そこにあった眼鏡がクッションごと床に落とされても、トレイは律動を止めなかった。
どころか、勃起したままの芽を更に擦り付け、二箇所同時に浴びせられる快楽を、中と外、彼女自身にもとくと思い出させて突き穿つ。
「トレイ……もう、ッ……また私…こんな……!!んぁ……、いぁ……いく…ッ―――」
「イク……あぁ達く……名無し……お前のナカ……出したい、出……俺も……ッぐぁ、……!あ……―――ッ」
トクンと精巣が蠢き、鼓動が逸る。
胸が躍って、陽物が欲望を解放する。
とろとろと儚い、虚ろな表情で垂涎する名無しにキスをしながら、トレイは低く甘い音色をそっと囁いた。
静かに……けれど強かに。
まばゆい烈の瞬きに駆けた白濁がその渦中で開放され、潤滑と溶けゆく様を二人は感じ合う。
「――はぁ……ハァ…はぁ……、名無し……?ん……チュ」
「……ッ…、ふ…ぅ、……んん!……ト…れい……、好…」
「、……ああ…――ちゅ、ん……好きだ、名無し――」
身悶えた名無しをぎゅっと抱き締め、舌を絡ませ、脈が切れるまで互いを貪った。
射精と同じ機に紡がれた言葉。
出し切ってもなお注がれた言葉。
そこに込められた想いが薄っぺらなものでないことは、自分を包み込むトレイの両腕の熱と、唇で、痛いほど伝わっていた。
長い交わりの末、打たれていたのは文字通り終止符だろう。
そしてジェイドが握り締めていたスマホの録画ボタンが再び押され、彼がそれを翳すことを止めたのもまた、同じ瞬間の出来事だった――。