主≠監。
RA's blue day
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――――。
溜めていたぶんのこれが反動なのだろうか。
一度出せば満足、なんて結果に胸を撫で下ろすことも出来ず、解放した二度目を経てようやく、邪な感情が心と切り離されてゆく気がした……。
「ハァ…、ぁ……あ…名無し……」
「!ん……んぐッ、……あ…トレ……んん…チュ……ん」
上半身をかなり自分に寄せることで、無理をさせてしまった。
なんて……思いもしない罪悪感を抱いてみたり、急に穏やかな気持ちになる己の現金さに、トレイは片眉を下げ苦笑いをするばかりだ。
曇りのなくなった眼鏡の向こうに見える、か弱いその姿。
名無しはまた唇を白く染め、トレイの出した精液の名残を、指や舌で舐め取っていた。
「ッ…フ……よしよし……いい子だな……」
「…っ……んん…」
トレイが二人の繋がる場所から一歩下がったのは、射精後まもなくのことだった。
一陣同様、長らく口腔に竿を浸らせていたいと思うも、切りかえるその早さは気持ちが冷めゆく男の事後ならではだ。
そこは上の口……の内部なのだから、直挿れの是非を問う必要もあまりないというのに……。
また無駄に生真面目な気が出張り、自嘲が重なった。
「………」
掴んでいた頭からも手を離し、物理的接触が途切れ、けれど心身が満ちる。
トレイは再び、ベッドの端で腰を下ろそうとしていた。
今度こそ身なりを……まあ、シャワーを借りなくてはもうどうにもならないほど、身体はどろどろになってはいたのだが……。
座って楽になるその前に、肩で息をする名無しの頭をひと撫でしようと手を伸ばす。
すると、呼吸が整う間も与えられないまま名無しは目を見開き、声を荒らげていた。
「――……お利口さんだよ…お前はほんとに……、…!」
「ト……!!ア……ひ、ぃあ…ジェイド……ッ」
「……ッ」
二度に渡る射精にうっかり呆けてしまっていれば、気が緩んでいたトレイがそこで驚くのも、無理はなかった―――。
「ジェイド……あ!ァ……いや…突……あッ、まって……待って!」
溜まりたまった欲求。
二度に及んだ射精。
それで性欲は一気に吹き飛んでいても、じっくり満足感に浸り、余韻くらいは味わっていたい。
興が冷めてもあくまで自然に……が、トレイの望むそれは、人為的に途切れたように思えて仕方なかった。
「ええ……あたっていますね……ココが擦れて…ン……ッ、名無しの気持ち好いところに……」
「!!ひ、ぃ……ッ…あ……ぉ、…んんっ」
「……面白いですよね、予想外の出来事って……ふふふ。……名無し…?僕が先程口にしたことを、もうお忘れですか」
壁にもたれ、再びばくばくと震えていた心臓を落ち着かせるつもりだった。
その目下、白い泥を飲み干す名無しが見れたことに恍惚を覚え、あとは互いが落ち着くのを待っているつもりだった。
どちらもできなかったのは、トレイが離れるのを待っていたとばかりに直後、名無しの身体を再びきつく抱き締めていたジェイドの所為だろう。
自分が口淫に悶えているあいだも、彼は名無しとの交わりも律動も絶やすことはなかった。
むしろトレイは、その前後上下の揺らぎを利用して、咥内での絶頂を味わってもいた。
名無しを両腕に閉じ込めるジェイドは、快楽に眉を顰めながらもいまだ冷静に見える。
……見えるのだけれど、おそらく、そういうわけでもないことがトレイに伝わるのは、名無しの尋常じゃない動揺や興奮する様子から汲み取れた。
「ッ……ら、け…ジェイド……だけ…考え……だから…ッ」
「!おや……ちゃんと覚えていましたか……本当、お利口さんですね……」
初めて名無しを抱いたトレイには、まだ知らない彼女が居るのだろう。
同じようにみえてきっと異なる、ジェイドの座位を利用した腰の突きが、名無しを一気に悶絶させている。
ジェイドの身体に跨ってからの二人のセックスは、元々どことなくじっとりと、ねっとりとした重怠い気配で満ち溢れていたけれど、今はそんな雰囲気は皆無に等しかった。
ただ忠実に、名無しのいちばん好いらしい部位を攻め抜き、逃げようとする彼女の腰を抱き、蛇のように離さない……。
これが本性とでも言うのか……悪魔的に見えるジェイドの本質を、トレイはそこで垣間見た。
「あ……いや…突……そこ…!んぁ……」
「貴方がもし、先程交わした僕との約束をお忘れだった場合……もう抜いてしまおうかと思っていたんですよ、ふふ……中断していじめるつもりが、此処もまた予想外の展開です」
「!っ……、ジェイド…あ……」
「ああ…大丈夫ですよ……?途中でトレイさんが割って入ってきたことは怒る理由になど……彼は何も悪くありません……一切、ね……」
「…ッ……んぁ、ぁ……あっ」
「名無しがあんまり夢中になって、トレイさんのを頬張っていたものですから…―――ああ…なるほど」
名無しに触れて、キスをして、舌を滑らせて……。
身体を抱いて分かったことは沢山あった。
が、それ以上にまだ自分の知らない彼女が、どんどんと目の前に溢れている。
追い付く必要などないし、知らない分は、これから知っていけばいい…。
ただそれだけの、誰にでも理解できる簡単なことを何度反芻しても、一概に認めたくないとトレイが思ってしまったのは、彼に名無しへの情が幾何も芽生えていたからだろう。
「……?!」
「これがトレイさんが抱える、軽い嫉妬のようなものですかね?ふふふ」
「っ……」
恋愛を匂わすような、自分の女にするつもりなんてない。
こんな関係から始まって欲する幸せ、得るものなんて……外の世界にもなければ、その夢を見る気もさらさらない。
ではどうしたいのかと訊かれれば、トレイがそのとき感じたのは、やはり自分の手の中で彼女を飼いたいという、歪みに満ちた願望だった。
誰にも知られたくない。
誰も気付かなかった同寮の面々を差し置いて、ここまで抱える自身の闇と、その霞みひとかけらにいち早く気付いた、ジェイドを除いて―――。
「…っ、ジェイド……君は…」
「構いません。だって……名無しは僕のものです。が……もう貴方のものでもある。先程も申し上げたように」
「っ……」
「不思議ですね……別に、僕は嫉妬深い類のそれというわけでは……なのに、あまり感じたことのないこの気持ち……ふふ。だから大歓迎なんですよね、予想外の出来事って」
「…ジェイド……、…!」
「ゾクゾクしませんか……?貴方もそうでしょう?トレイさん」
トレイにとって思うべくは、ジェイドのような男でも、自分相手に嫉妬なんて感情を孕む、その驚きだった。
溜まりかねた鬱憤を晴らす場を作ったのも彼だ。
自分は後回し、優先して、名無しのことを好きに抱かせてくれた。
けれど、その本人にいざ自分の番、割って入られて腰を折られた……それが恐らくはジェイドの言う予想外。
動じる予定もなかったであろう彼が抱えたそれはきっと、自身にとって初めての感情なのだろう。
だから名無しを抱き締める強さに見えない圧と熱を感じ、トレイの思っていた、ジェイドの象徴にも形容できた「静」が、そのときには薄らいでいた。
「……ふふ…」
つまるところ、ジェイドは名無しに少しもやもやとした気持ちを抱いていた。
自分と交わりながらも、トレイが横槍を入れたことで咥えさせられるがまま口含む彼女に……。
手まで使って、悦んで口淫に勤しんだ、自分を差し置いてトレイに尻尾を振る彼女に……。
が、だからと言ってどちらも責めるのはおかしな話だということもよく分かっていたからこそ、そこで滲んだ彼の黒い感情は、違う形で爆ぜさせる必要があったのだろう。
ジェイドがトレイ相手に怒気を持てない理由はそれに尽きたし、勿論、トレイをこの場に誘ったことに後悔するというわけでもない。
ここで上手く流れを作り、己の性欲に感情をぶつけていたあたりもまた、隙のひとつも感じさせないほど、トレイにはジェイドが完璧にみえていた。
「ジェイド……」
だからなおさら恐ろしかったのだ。
共通の慰みものを持ってしまったという、何ものにも代え難いその事実に―――。
「さて……名無し?ちゃんと覚えていた貴方には、僕からもご褒美を差し上げなくては……」
「…っ……あ!ぁ……っひ…ゃ、ぁんん!!いや……」
「耳も、首筋も……ですがこれは元々の約束でしたね……。ですからご褒美は、名無しの今欲しいものを……ね?このお口で言えたら、なんでも叶えて差し上げます」
「ッ……ジェイド…あっ……」
息を整え、ジェイドの思惑、名無しの欲する願い、自分の気持ち……様々なことを考えながらも、トレイは二人に釘付けになっていた。
これでは二度目を始める直前とまったく一緒だと思いつつも、釘付けにならざるを得ないほどの雰囲気が、そこにはあった。
たかだか男女のセックス……それも自分じゃない、他人のものだ。
それでもトレイは夢中に見続けた。
ここからジェイドがどう切り返し、名無しを辱め、溺れさせ、最底辺から救いあげてゆくのかを……。
「君は……ハハ…。はは……!とんだご褒美だな…、名無し……」
「そんなことはないですよ……ねえ?名無し」
「…なにが褒美だ……どう足掻いても主導権は君のものだろう……俺に嫉妬?笑わせる……。それが事実でも、かすり傷にも満たない筈だ……君にとっては」
「!」
「まあ、それでも今日は最高の一日に違いないさ……少なくとも俺にとっては。――早く悦ばせてやれ……全部見ててやるから……最後までな」
「、……ふふふ…、……んっ…ン……」
そのとき、なんとなく口にした言葉にジェイドが一瞬目を見開いたことを、トレイは見逃さなかった。
今までの自分の推察がハズレではなかったことがそこで明白になった気がして、口の端が緩むのを必死に抑える。
それはようやく見せられた、年上の意地や威厳とも言えよう……。
ジェイドにはあまりにも隙が無い。
裏も表も読めない男だ。
けれど、名無しのことになると「こう」もなるのだというそれが、静かに証明された瞬間でもあった。
「…あ……ッあ…ジェ、イ……」
「………」
彼もまた、ただの愛玩道具として名無しを可愛がっていても、下手をすれば相愛にも近い純粋な情も抱えているのだろう……。
互いに癖が歪み、狂っている……ゆえにトレイは巻き込まれ、今はもはや共犯者だ。
名無しを抱き、ジェイドをよく見て、そこまで考えが行きつけば、首は素直に縦へと振れた。
違和感でしかなかった彼の抱く悋気とやらにも、そして自分の嫉妬心にも、トレイは心から納得できた。
「……――」
そしてきっと、これから長い付き合いになる……そういう確信も強く持てた。
「あッ…ジェイド……ぃ、…それ……!ア…ん、っふ……んぅ……」
「名無し……本当は僕にどうされたいんです?ほら……」
「ふ、ぁ……んっ……、突い…て、ほし………ッ」
「おや……それだけですか?他にもあるでしょう……もっともっとして欲しいことが」
「ッ……っ、…う……」
「名無し……」
自分の想いと、ジェイドの内情を紐解いたトレイが二人を見続けることに変わりはなかった。
が、見る目はとても円やかに……。
そして驚きから一転、いやらしく視線を向けるようにもなっていた。
ジェイドに抱いた、いまは恐れも怯えもトレイには一切ない。
どころか、あわよくばぶり返しそうな性欲を抑えるのに多少必死だったことは、きっとまた笑うところだろう。
「ほら……名無し…?ふふ……ん…」
駆け引きを繰り返して腰をグラインドさせ、名無しを身悶えさせるジェイドも、トレイに言われた一言でどこか吹っ切れた様子だった。
見せつけるように、いまの体勢で届く限りの、彼女の身体を舐め尽くす。
汗を吸い、首筋を噛み、そこで舌をまわせば名無しはよく喘ぐ。
そして垂涎する陰部をキュッと、ジェイドごときつく窄めていた。
「ッ…私…あ……っ、ん……ジェイドが…、したい……こと…して欲し…ッ、……ッ」
約束も、ご褒美も、今となっては全部意味を成さないものかもしれない。
前者は名無しが失念していれば、ジェイドはそれに託け、罰として行為を止めていたと口にした。
けれど恋慕にも似た気持ちを抱く彼に実際そんなつもりはなかっただろうし、あったとしても、それはもう必要としない、ただのトレイへの牽制だ。
名無しが忘れていようがいまいが、ジェイドが名無しを愛情込めて抱く事実というのは、結局変わらない。
惚れて惚れられて……は、お互いさまなのだから――。
「――僕がしたいこと……ですか?…ふふ……随分と洒落たことを言えるようになりましたね……名無し。……愛しさが過ぎてしまいます…」
「ッ……は、ぁ……んん」
褒美なんてものは、その場の気持ちを高め合うための、魔法の言葉のようなものだろう。
どうしたって、ジェイドがすることはやはり決まっている。
抱き慣れた、けれど飽きることのないその身体を、いつだって悦ばせる為に。
魔法抜きの本気の想いで、彼女の全てを愛でる為に……。
「そんなこと…ふふ、……それがもし、名無しにとって都合の悪いものだったらどうするんです?」
「…え……?っ……!!あ……ァ…」
「………」
「ぃ、んあ……っひゃ…あ―――!!」
視線が重なれど、ジェイドは一度たりとも、自身の個性を名無しに出したことはなかった。
遵守ではなく、心を覘くまでもなく……。
指や舌先やその声で、自分の意思で、彼女を撫で回したかったから。
熱い眼差しに混合する、夜色にも染まる、鋭くてつややかなその眼差し。
そのときのジェイドはただ、共に名無しと落ちることだけを願っていた。
「いや……!ジェイド…ッ……」
「こうやって腕を掴んで、ナカを掻き乱して…激しく突いて……」
「あッ…んぁ…!!あ……ジェイ…ド……ッいや……っだめ…」
「ん……クリトリスを擦り付けて、一緒に耳も、胸も舐め回して……んッ…イヤだと言っても、僕はもう絶対に止めませんよ?勿論……」
「!!」
ジェイドは一度後方に片腕を伸ばすと、名無しの目を覆っていた自身のネクタイを手にとった。
そしてハグを望んでいたであろう彼女の胸中をもどかしく思わせるべく、後ろ手で華奢な二本を結び、拘束する。
企みがジェイドにとっては些細なものであっても、今更ネクタイを使うなんて考えもよらなかった名無しにとっては、その被虐癖に無意識に刺さるものが大いにあった。
抱き締められて、身を委ねさせられる。
自分は腕をまわせなくなっても、一方的な表現に加え、継続する律動に心身が震える。
組み伏せられずして凌辱を浴びているようなその感覚に、名無しは顎に唾液を伝わせながら嬌声を天に向けた。
「ひ、ぃぃ……んぁ…、っう……あ!!いやっ……いや!ジェイドやめて……イヤ…ッ」
「………」
「おねがいジェイド…ッ、いく……なか…ッ、クリも……いっちゃうの…ジェイド……!い、ぐ……イクイク…んぅ――!!あァ…ッ――」
「ン……勿論、貴方が達っても止めずに続けて……きゅうきゅうと啼くこのナカに…――なんて……。おや?」
「――は……ッ…」
「……僕のしたいことを聞き入れて、ちゃんと耐えられていますか?ほら……!」
背中に回されたジェイドの腕力が弱まれば、それは彼が名無しの身体に舌を伸ばす為の所作だ。
噛み痕も残る、唾液の筋も、汗の感触も……。
何の体液かさえ厭わずに唇を使って名無しを愛でるジェイドは、狡猾ながら、どこかとても殊勝に思えた。
漏らす吐息も本物だ……。
絶頂が近いのか、耳が赤らむ様子は、体内に溜まった熱が少し辛かったのだろう。
水の中のような自由は此処にはない。
……けれど自分のベッドの上でくらい、好きな女は最後まで、好きなように抱きたい。
そういう強い気持ちを、ジェイドからは感じられた。
「!!い――ッ、……もういや…!これらめ……い、…!やめて……ジェイド…もうイッて……!!またいっちゃうから、ナカ……ッいぐ…あァ――!!」
「は、あ……ッ…ん、っぐ……名無し…ッ名無し――!あ、ァ…―――ッ」
やがて膣の奥を猛々しい竿の先端で擦られて、ごりごりとあたる快楽とイコールの感触は、名無しに尿意にも似た症状を齎した。
同時に感じるのは、開脚で露わな実にも与えられる、あまりにも甘くて強い刺激だ。
欲しかったものがぜんぶ下腹部に集まり、つま先から、脳髄から一気に狂わされてゆく……。
背を反れば胸元へ、もたれかかれば律動と同時、耳朶や首筋にねっとりとした愛撫が注がれた。
逃げ場もなくただジェイドに跨って、トレイに見られながら、ひたすら全身を愛された。
「あぁ……ッ、っ…が…、ハ……ァ…―――」
名無しは腕を回せなかった分、感じていた自らの表情でジェイドに主張をし、噛み締めた唇が解けた瞬間、高く嘶いた。
して欲しいこと、して貰いたいこと。
望むもの、求めるもの。
嫌がる反面、欲したすべての理想がジェイドの思惑と一致していた名無しは、果肉とその内側、立て続けの絶頂を経てもなお、彼が射精するまでは下からの抽送を与えられた。
「ハァ……はぁ―――…ッ」
「ッあ…、んぉ……ぉ、…ッ!……れ、…ほしかった……の、ジェイド……すき…すき…っ…!ジェイド……ッ…」
「…、っ……――名無し……僕がしたいと思ったことと、貴方が欲しかったものは…同じでしたか……?それとも……こんなことを訊くのは、愚問でしたか?」
「は、ぁ…はぁ……すき…ジェイド―――…はぁ……ッ――」
「!――……ふふふ…」
頂点に辿り着いて白い夢を見ても、抱かれている時のような卑猥な言葉をずっとずっと漏らし続ける。
名無しはジェイドの肩に顔を寄せ、そこで完全に陥落していた。
長らく、長らく、揺らぎ続けたベッドが静まったのもこのときであり、名無しの髪を撫でるジェイドは、赤ら顔で愛おしそうに、自らも彼女に頭を寄せていた―――。