主≠監。
RA's blue day
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同じクラスではあるけれど、出来れば深く関わるのは避けたいとリドルが言っていたことが、今になってよく分かる。
まあ、だからといって自分にそれを強く主張できる資格など、もうどこにもないのだが……。
「こっちだ……名無し」
「!!は、…んむ……ッ、は…」
「すごいな……自分から舌…。キスが好きなのか?」
「っ……、…」
「はは……好きなんだな…。なら……ん」
抵抗する名無しのそれを自ら撥ね退ける必要なく、ただひたすら愛撫に集中できるのはとても楽だった。
嫌がる彼女を見ているだけで下着の内側は膨らんだし、下腹部には、じわりじわりと熱がこもってゆく。
「ん……チュ」
「!……ふ、ぁ…」
迂闊だったとは一応思っている。
が、そもそもトレイには、まさか誰かに聞かれているなどという考えに至る理由がなかった。
それは本校舎の外廊下、ケイトとの会話を差していた――。
『最近?いや……別に何も…?』
『えー!処理してないの?それって溜まんない?トレイくん大丈夫?!』
『~……いいんだよ別に。溜まろうがなんだろうが、それどころじゃないさ……ケイト。あんまりやることが多すぎて、俺にそんな暇は――』
とあるなんでもない日。
思春期の男が交わすその会話には、意外さも、おかしなところも全くもってないだろう。
副寮長としての仕事、寮の規則に準じた生活、菓子作りに縛られる時間。
眠る頃には、下半身に手を伸ばす元気など無いにも等しく、毎夜と疲れていた。
ケイトに心配されるのもその日だけではなかったけれど、トレイとしては性欲よりも、寮内の面々が滞りなく笑顔で過ごしてくれているかの方が心配だった。
リドルの眉間に皺は寄っていないか、新入生の言動に腹を立て、どこかでその顔を真っ赤にし、無闇に怒号を飛ばしてはいないか。
物事をラフに考えられる柔軟さを確かに持っていても、流石に自分のケアまで気がまわらないのは、圧倒的に精神的余裕と時間が足りなかった所為であろう。
『はあ……、ん?』
溜まる男のシステムも本当に面倒だと思う。
廊下の直線が終わる頃にケイトと別れ、トレイがついたのは小さなため息だ。
ふと、何処かで楽にできまいか、何かいい考えは舞い降りはしないだろうか……。
そうついつい思ってしまうほどには、早い話が、彼は長らく御無沙汰だった。
『こんにちは、トレイさん』
『!』
凝った首に手を添え、傾げ、回しながら鏡舎に向かう。
その途中、ケイトとの話を偶然訊いていたらしいジェイドに話しかけられたトレイが舎内で選んでいたのは、本来向かうべき場所とは違えた、オクタヴィネルの鏡前だった。
――――。
「ん……ッ」
「っと……下着、滲んでるぞ?シーツにまで垂れてるのか……キスだけで?」
「は、ぁ…ッ……」
「そんなに気持ち好いのか?名無し……」
「!や、……ちが…、その……」
「違う?俺の指が見えるか……?糸引いて……フッ…、見えるわけないか。目隠し……まだつけたばかりだもんな…外して欲しい?」
「ッ……!あ…」
寮内でこなそうと思っていた仕事のことを少しのあいだ忘れ、トレイがオクタヴィネルに来ていたのは、他ならぬジェイドの誘いがあったからだった。
トレイとケイトの後方を一人で歩いていたジェイドは、二人が分かれた頃合を見計らい、トレイに話しかけていた。
すれ違ったら会釈を交わす程度……。
深すぎるわけでもないジェイドとの関係は、時々錬金術の授業が被る以外には、単なる互いに副寮長同士という間柄なだけ。
トレイとしては、ただの挨拶で終わると踏んでいた。
が、そう思いきや、傍らにそんなわけもなかったと感じてしまったのは、ジェイドの表情が何やら嬉しそうだったからだ。
ひいては違う表現をするならば、なにか企んでいるように見えて仕方なかった。
『本当……寮長ほどではないとはいえ…肩書きがあるばかりに……。自由時間なんて殆どなくなりますよね』
『ああ……まあな…、それで?君はそんなことを言うために、俺に声をかけたわけじゃあないんだろう?今これから、俺に少し時間があるのを分かってて話しかけてるよな?』
『!ふふふ……分かりますか?やはり』
『~……おおよそはな…』
鏡舎に着く前に、ジェイドとの話は終わっていた。
舎内に入って鏡の前に立つまで、無言になってしまった時間が十数歩ぶんほどあったのだけれど、トレイにとっては、その数秒が少しきつかった。
年上なのだから、なんとなく威厳も見せなければいけない。
が、それどころではなかった。
トレイがジェイドのことを、彼は本当に困った男だと思えた瞬間がそのとき訪れていたからだ。
『……ッ…』
まさかな……とこめかみに汗を垂らしつつ、後輩に付き合って欲しいと頼まれれば、トレイがそれを無碍にする理由はなかった。
付き添う意志を示せば、あとは半信半疑、ジェイドと共にオクタヴィネルへと向かうだけである。
疑念のこたえは、行けばすべて分かるのだから……。
そして彼の部屋に案内されて、トレイがそこで見た光景は、今までずっと我慢していたひとつの欲求をいとも簡単に波立たせるものだった。
――――。
『まったく……バレたらどうするつもりだ…ん……』
『バレるわけがありません……まあ、色々工夫しているんですよ、僕も』
『っ……アズールに気付かれたら、それはそれはうるさいだろうとは思うが?』
『ええ。うるさいどころではないでしょうね……ふふふ。でも、このことはフロイドにも内緒なんです。……彼女は、僕とトレイさんだけが可愛がれる秘密の玩具、ということで』
『、…ッ……待て…俺は別に今日限りのつもりで…』
『おや……?そうは見えませんが…』
『!――……っは…、そうか……ああそうかもな。溜まってた分を全部出し切ったところで、また次を求める未来がなんとなく見えるよ…俺にも』
―――双子に弱みを握られている生徒は少なくないという。
この寮では内外問わず、アズールによる取引や契約云々も多々行われていたし、関わりを持つとそれなりに苦労が続くとはよく言ったものだと、感心さえしてしまう。
自分は無縁だと思っていたばかりに、まんまとジェイドと出来てしまった繋がりに、トレイは言葉もなかった。
もっとも、絶望や無気力たるものは感じなかったけれど……それはむしろ、自身が今まさに組み敷く名無しが抱くべき感情だろう。
「あ……ッ」
「………」
ひょんなことから知り合ったとジェイドは話した。
彼女でも、恋仲を匂わすようなそれでもないけれど、じゃあなんなんだと部屋に入ってトレイが問いただせば、「ただのセックスフレンドですよ」と得意げに返された。
冷めた口調でジェイドが漏らしたその言葉に、トレイは呆気に取られていた。
しかも片割れのフロイドさえ知らない存在ともなると、余程彼女を独占していたかったのだろうか。
じゃあ何故、自分にはその存在を明かしたのかとトレイが訊かなかったのは、訊けなかったからだ。
「貴方がよっぽど欲求不満そうに見えたから」……―――そう言われるのが嫌だった。
事実、トレイはそのよっぽど欲求不満の状態であり、入室してすぐ、ジェイドのベッドに横たわる下着姿の名無しを見た瞬間、臍の下はズクズクと疼いていた。
「ん……ハァ…ッ…や、め……――」
「!……トレイさんですよ。ちゃんと呼んであげてください?名無しさん」
「ッ……ト…れ…、とれい……んぁ」
「ふふふ……幸せそうですね…気持ちが好くて、もう随分と吐息まで漏らして……。そろそろ僕も舐めても?割って入ってもよろしいですか?」
「っ……、ゃ…」
ジェイドがどういう手段を使って、名無しをここまで連れ込んでいるかは想像もつかない。
その慣れようから一度や二度ではなさそうだったし、何より名無しの嫌がり方が本心とは思えなかった。
普通なら、急に一人新しい男が部屋に来て、自分の見ている前でセックスの相手をしてみろ、なんて言われれば頑なに拒む筈だ。
ジェイドも相当……とは思ったが、彼女も……。
二人して歪んだ性癖にとらわれているのだろうと、トレイは脱帽しながら、同時に胸のうち、揚げ足をとる自分自身にも嘲笑していた。
「!ジェイド……あッ…それ……」
「耳の中……でしょう?ずっと待ってたんですか?僕がこうするのを……ん」
「ッ……ひゃ、ぅ…」
「ん……好きですよね?あと……トレイさんは貴方を初めて抱くんですから、ちゃんとこのお口で言わないと……ふふ、伝わりませんよ?」
部屋に入ってすぐ、お好きにどうぞと指を揃え、ベッドの方へ促された。
視線が合った名無しは、トレイを見るなり少し怯えていたけれど、その頬が赤らんでゆく様は見逃しようがなかった。
ふざけるな、とジェイドに声を荒らげかけても、トレイが喉の奥にその暴言をしまいこんだのは、自分でも抑制しきれない下半身の疼きと、ジェイドの冷えた視線の所為だった。
共犯成立、とでも言いたげに鋭い歯を見せ、笑いを零す……。
そんなジェイドは自身の机に腰をもたれさせ、最初は様子見とばかりに一人、ベッドの方を向いていた。
「……ッ」
近付いたベッドは枕元に見えたのは、ジェイドの制服のネクタイだ。
今日はそれを使う予定だったと言われれば、トレイはやむなくそれを手に取った。
そのネクタイをどこに向けるか、一寸悩みながら……。
そして一考した後は名無しの目隠しとして彼女に充てれば、トレイの中に渦巻いていた名無しに対する罪悪感も、彼女に自分を見られないぶん、薄らいでいた。
なにが罪悪感だ。
興奮し始めておいてどんな都合の良さだと、自らを内々で罵りながら―――。
――――。
「あ…ァ……ッ…らめ……!!あ…」
「……どうですか?二人同時に愛されるのは」
「っ…ジェ……あ…」
「こんな経験は初めてでしょう?全身……何度もぴくぴくとさせて…ん」
「ふ、……ぁ…」
トレイは名無しに目隠しをする前、少しばかり彼女と会話を交わしていた。
挨拶、と喩えるのもまたおかしな話だけれど、今から何をされるのか、そして、自分に抱かれても構わないのか……遠回しに問うた。
名無しは小さく頷きつつ、何度か視線をジェイドにも向け、頬を染め続けた。
ああ……これはジェイドの策か、とトレイが感じ、自分はそれに巻き込まれたのだと察す。
触れる前から火照っているように見えた彼女の身体は、薬のひとつでも飲まされていたのだろうか。
冷静でいようとすればするほど、下腹部のむず痒さがコントロールできなくなってゆく。
「あ……」
どうせ出来た自由な時間……少しの暇に訪れたこんな機会は、偶然か必然か。
されど与えられたのならば、あとはもう開き直るばかりだった。
恐らくはジェイドにそこまで読まれていたのであろうことも承知の上で、依然として態度を保留していたトレイは、身を起こさせた名無しの後頭部にネクタイを回した。
ゆっくりと顔を近付け、初めて交わしたキスの直後からは、彼の頭のなかから遠慮という文字は消えていた―――。
「んぁ…あ……」
「声……可愛いんだな、お前……耳のなかが好いのか?ン……」
「ッ……や…」
「や、じゃないよ……もっと出せ……名無し」
「…っ、ふ……はぅ…」
キスをしたとき、一瞬で名無しの積極性を感じ取ることが出来た。
どんなに嫌がる素振りを見せていても、それが彼女の癖のひとつなのだろう。
舌の絡み方は慣れを示していたし、余程ジェイドに飼い慣らされていると読むのも難しくはなかった。
トレイは目隠し用のネクタイが解けないようそれをきつめに結び、後頭部から手を戻すとき、名無しの耳にそっと触れた。
軟骨をなぞったときにぴくりと動く、淡い赤をした両肩で見せる反応の可愛さ。
同じようにこちらの欲望もびくびくしてしまったことは、ほんの少し恥ずかしかった。
正座を崩した女の子らしいその体勢は、下着姿で男のベッドの上に居るというだけで高揚したし、勃起を煽る。
はりツヤの滑らかな肌を指で長らくなぞれば、うっすらと浮かぶ鳥肌さえ愛しく思えた。
「トレイ……あ…」
「此処は?どうして欲しいか言ってごらん……いつもジェイドにはお願いしてるんだろう?」
「っ……、舐…トレイも……いっぱい……」
「!…フッ……ああ…、分かったよ……ん」
「…ッ……!」
トレイの脳内から謙遜や遠慮という言葉が消え伏せ、彼自身の欲望が、口調や態度として全面に押し出されてゆく。
それをジェイドは心から喜んでいた。
愛があることは大前提で、けれどどこか少し、加虐癖が垣間見えるかのような……。
トレイのことをなんとなくそう思っていた直感が当たって、ジェイド自身も、背中のぞくぞくとした感触を覚えずにはいられなかった。
もっとも、初めて抱く以上、二人にはそれなりにぎこちなさも生じるだろう。
だから多少は二人の行為を傍観しつつ、それをカバーする為、彼は途中でベッドに近付いた。
ジェイドはトレイが攻めていた側とは反対の名無しの身体を愛で、自身も初めて見る、二人同時に攻められて感じる彼女の姿を目前に、下半身をいきらせた。
「すご……きもちいい…それだめ…」
「ふふふ……同時に吸われたり噛まれたり…たまらないですね?でも……舌いっぱいにこうやってされるのが、貴方は一番好きですよね?ん……ん」
「ッ…――ああ…んぁ……、あッ」
「下着……もう脱がせて差し上げましょうか?使いものにならなくなるでしょう……まあ、もう手遅れな気はしますが」
「――ア……ッ」
机にもたれていたジェイドが行為に加わってからは、名無しの嬌声は当たり前のように増した。
勿論、水音の量もだ。
普通に聞いていれば、気がおかしくなるようなぴちゃぴちゃと響くその音色が、名無しの耳の傍から頭の内側へと浸透してゆく。
耳たぶを舐められて、左右の穴の中まで捩じ込まれた二人の舌は、トレイもジェイドも、その狭さゆえ窮屈そうに息を乱すほどだった。
同時に両方の肩紐に指をかけられれば、ブラジャーはアンダーを軸にぱかりと下に反転し、胸を守るという役割を終える。
腹上にへばりついていても邪魔なだけだったそれのホックを外したのはトレイだった。
片手で外すそのクイックな所作は、ジェイドを少しばかり感心させ、外された名無しはといえば、ただ素直に胸を高鳴らせていた。
「ぃ…ん……いや、あ……」
「腰がずっと動いてるな……お前、そんなに胸が好いのか?攻められるのが……」
「ッ……って、両方…はじめてだから……おかしい…ア…ッ!トレ……」
「フ……ひょっとしてこうやって爪弾かれるのも……フッ。嫌いじゃないな?ほら…」
「…っ……」
「乳輪もさっきより赤くなってるぞ……鳥肌いやらしい……。な、他に舐めて欲しいトコロがあるなら、もっと俺に教えてくれ……名無し――」
ベッドの下に儚く落下したブラジャーは、いましばらくは名無しのぬくもりを孕んだままだろう。
再び手にするときは冷たくなっていても、それまではじゅうぶん、身体には熱が停滞する。
視界を奪われた名無しに出来るのは、左右のどちらに彼らがいて、どこを攻めているかを触覚で感じ取ることだけだった。
首から順に降りる二人の舌に、長らく胸元を攻め立てられる。
それだけで何度も背筋がぴんとなり、名無しがまだ穿き続けたままだった下着は、みすみす濡れゆく一方だった。
「あ…ト……!!やッ…」
「ん……。何も言ってくれないなら、俺の好きにするまでだ……チュ…んん」
「!!ひ、ゃ……ら…」
「段々分かってきたよ……お前、全身感じるんだろう?だから言う必要もないんだよな…ハハ。焦らしてやろうかと思ったが、まだこっちに触れてない分、もうじゅうぶん焦れてるよな」
「っ……ふ、ぁ…」
愛撫が続くそんな折、ふとトレイが名無しの腕を持ち上げれば、汗の滲んだ腋に顔を近付け、躊躇なくそこを舐め上げた瞬間があった。
這いずる舌に身を跳ね、女が甲高く啼けば、手ごたえを感じるのが男というものだろう。
窪みをしつこく舐れば、時間差でジェイドも同じように続く。
彼はトレイの見違えるほどの積極的な態度に再び喜々とし、ひとり悪逆と微笑んでいた。
「あ…ぁ……んッ」
そして悶々と喘ぎ、上半身に伸びる愛撫に彼女が耐えられなくなると、名無しは偶々、トレイの居る方へともたれ込んだ。
けれどもたれた先でまたキスをされ、唾液が激しく絡み合い、やがては押し倒される。
のちに言葉で攻められながら全身にまで指と舌が這えば、名無しにとっては前戯はふりだしに戻ったも同然だった。
散々それはねっとりと繰り返され、トレイがようやく下着に手をかけた頃には、既に先刻のジェイドの言葉が、下着に対する概ね真実を語っていた。
「こんな……あ…っもうむり……」
「おやおや…無理だなんて……ふふふ。まだ何もしていませんよ…?少し触って、少し撫でられたくらいで音を上げてどうするんです」
「ッ……そんな、ん……ジェ……、ド…これ……せめて外し…、ね……」
「ん……僕は構いませんが…。トレイさんが今の貴方に随分と昂ぶってらっしゃるようなので、どうですかね」
「!…っ……や、ぁ…ッ」
「だって…いつもよりいやらしいですよ?僕も楽しいです。そのうち外して差し上げますから…これから僕たちが貴方のどこを舐め回して、どう愛するのか…もう少し想像していて下さい」
ベッドに背をつけた名無しは、それでも凛と主張するふたつの実を二人に舐られる。
曲線に唾液の跡を何度も作られ、彼らの指の腹が乳腺にフェザータッチを施せば、シーツと背には幾度も隙間ができた。
仰け反るほどの快楽が、ただの愛撫だけで何度も何度も繰り返される。
いまだ果ててすらいないし、陰部にだって、手は伸ばされていないというのに……。
名無しは二人同時の威力というか、恐ろしさというかを肌で実感していた。
そして悶絶しながら彼女が首を左右に振り続ける姿は、ジェイドには見慣れた光景でも、トレイにとっては羨望の眼差しさえ覚えるほどだった。
「……ッ」
「トレイさん?……!――……ふふ」
自分はご無沙汰だったから。
むしろよくここまで抑圧して、名無しをひたすらに攻められたものだなと思った。
そのとき彼女の下着を剥いだのはトレイだったけれど、それを手中にいやらしい匂いをかぎ、恍惚とした表情を零す。
濡れた生地、透み切ってぬるりと光る体液をひと舐めすると、トレイはそれをベッドの下へ投げ捨て、今度は自ら名無しの枕になるため移動した。
当然、枕なんていうのは、あくまで建前だったのだが……。
「?!……トレ…イ?」
「俺もジェイドも……別にお前の手の自由までは奪ってないぞ…。きつくは結んだが、外そうと思えばいつでも外せるよな?名無し……ン…ちゅ」
「っ……あ…」
「自分で出来るのにやらないんだ……目隠し、本当は気に入ってるよな?何処を舐め回されて……いつ耳元でいやらしいコトを囁かれるか、楽しみなんだろう?…ん?」
「…ッ……いじ…わる……トレ…っ!あ………ンぐ!!」
「はは……意地悪か。そうだな……けど、ちゃんと可愛い声を出せたご褒美も用意してるぞ?ほーら……しゃぶって?奥まで」
「――ッ……」
ベッドの上でトレイが移動したとき、ジェイドは彼の意図をくみ、自身も端へと移っていた。
もう何度も名無しを可愛がっていたし、トレイほど必死になる必要でもなかったのだ。
それに、高揚して既にカウパーが出ていても、それ以上にきっと滲ませているのがトレイだろう。
ここで大人げなく自分が出張っては、彼が救われないとも思った。
ちょうど下着を脱がしてくれていたことだし、ジェイドは名無しの足元で座すと、その細い脚線に隈なく舌を這わせた。
足の指間に捩じらせた舌、その奇妙な動きに名無しが喘げば、内腿に指を添わせて浮いた鳥肌に視覚的興奮を覚える。
もっとも、途中でその嬌声は途切れ、くぐもった音色に変化してしまってはいたが……。
理由は簡単だ。
トレイが自身のそれを、名無しに咥えさせていたために―――。
「ン…ッ……んぐ…はぁ……」
「……ッ、ハ……フェラチオも上手いんだな…。めちゃくちゃしゃぶり慣れてる……って感じだ」
「ッ……んむ…」
「どれくらいジェイドのを咥えてきたんだ……?無理やり?それとも…自分から?ジェイドに命令されたら、お前はちゃんとゴックンできるお利口さんか?」
「!ン……」
トレイは自ら片足を曲げた状態で胡坐をかき、寝かせた腿の上に名無しを誘っていた。
横を向けば、名無しがのちに欲するべきものが目の前にくるようにだ。
制服と下着をずらせば、沸々と上を向き、絶妙に反るトレイの陽物がそれはそれはいきり勃っている。
最後の自涜や異性とのセックスから、どれだけ間隔が空いていたかが見て取れた。
「ふ、……んぐッ」
禍々しいそれをまだ目にすることのできなかった名無しでも、汗ばんだ独特の竿の匂いと、間近に感じるそれそのものが放つ熱で、迫力だけは嫌でも窺える。
が、何かを言う間もなく口含まされて、喉奥につっかえる感触に名無しはむせた。
ぶちゅぶちゅと音を立て口元から垂れた唾液は、よりトレイの欲を掻き立てていた。
「トレイさん……ふふふ、随分と楽しそうですね…。僕の想像以上でした」
「!っ……はは…。何て言えばいいんだろうな、ここは」
「……きっと知る由もないんでしょうね…。同じ寮の皆さんはおろか、リドルさんでさえ……今のような貴方のことなど、誰も……」
「……」
「ご心配なく……僕は何も企んでなどいませんから…。ただ一緒に、名無しさんを可愛がってみたかった。本当にそれだけなんですよ」
名無しの頭を掴むトレイの手付きは、強引に見えてしっかりと優しさも滲んでいる。
細くしなやかな彼女の首筋を撫でる仕草や、口に絡みつきそうになる髪が口淫に巻き込まれれば、そっと掃うあたりの所作からそれはよく分かった。
膝を甘噛みし、内腿に痕を残しながらそれらの始終を見ていたジェイドは、トレイの可能性を元よりにらんでいた自身をほんの少し自賛した。
誰からも頼られる先輩像。
メリハリのついた、きっちりとして、けれど飄々とした風のような男。
が、観察していれば、自ずと欠点も見えてくるものだ。
トレイが俄かに抱える、糸を通す針穴の隙間ほどの闇に、ジェイドは気付いていた。
彼と共に自分の可愛がる名無しを愛せば、もっともっと、互いが……そして名無しが惹き立つと思った。
「はぁ……んん、ん……っぐ…」
「名無し……気持ち好いよ…」
「ッ……は、…ト…レ……、トレイは……ん、此処…?」
「!はは……よく分かったな」
「…っ……ぴくぴくって…してるから……。ジェイドと、同じ…だから……」
「ッ……ハ…っ。お前は……まったく…ン」
「!ッ……ん!ん…」
溜まっていた性欲、それをずっと捌け損じていたトレイにとって、名無しに咥えられる行為というのは、それだけで今すぐにでも射精欲に駆られるほどだった。
上手というのもさることながら、素直に彼女を可愛いとも思った。
視界を奪われ、何も見えなくなってからも暫く経つというのに、健気に咥え込んでは口腔を窄め、的確に自身の性感帯にも舌を触れさせている。
喉奥は根元まで含んで、上下に尺り続ける咥内で器用に動かす名無しの舌先は、亀頭の先端を何度も攻めた。
トレイはそれが心地好すぎて、極まったあまり言葉で名無しを嬲り、続投を要求した。
けれど結果思わぬところで苦笑いを零す事実を知ると、それを訊いていたジェイドも自然と微笑んでいた。
「んぐ……んむ…ッ」
「ああ……好きだよ、先っぽ。此処を早くお前のなかにぐちょぐちょ擦らせて、感じまくりたいな……そうしたらお前は、またいやらしくなるんだろう……?」
「!!んッ…ぅぐ……」
「ん…?どうした……大きくて、硬くて苦しいか……?」
「ぐ……っむ…」
「なあ名無し……俺がこのまま出したら飲めるか?だってベッドが汚れたらまずいものな」
「っ……ん…」
十人十色なれど、偶然があるのもまた人間だろう。
薬を飲んだ人魚だって、その例外じゃないということだ。
好き好んだ同じ性感帯に、ジェイドとトレイは視線を合わせて再びほろ苦く笑っていた。
名無しが口を滑らせたのも、元は彼女自身がトレイへの口淫に必死で、同時に下半身はねっとりジェイドに刺激されて、頭が朦朧としていたからだと思った。
それに、怒るどころか面白さが沸くのは、この場を楽しんでいるいい証拠だ。
トレイは名無しに亀頭を攻め続けさせ、目隠しの上から目元をなぞり、優しくテノールを響かせた。
いっそこのまま出してもいいだろうかと……。
が、そんな矢先、まだまだ三人での行為は終わらないとばかりに、今度はジェイドが陽気に口を開いた。
「トレイさん。一度出してしまってもいいですが……僕はちゃんと貴方の為にとっているんですよ?もっとも、お気付きかとは思いますが」
「!ハ……、君は気が利くな…とでも言うべきなのか?ここは。それに……この借りは、なんて展開にはならないだろうな?」
「まさか……!ふふふ。まあ……つまるところ、僕もそろそろ口寂しいんですよ。名無しさんとキスがしたくなりまして……もとより、場所を交替したいと」
「――だってさ……名無し。お前のフェラチオ、好かったぞ……またあとでしゃぶってくれ……チュ」
名無しがつま先をピンとさせるたびに、指間に絡みついた粘膜が糸を引いている。
足の裏や足首、踵にまで垂れるそれは、空気で冷えたジェイドの唾液だった。
ベッドにぽふりと足をつけば、当然、シーツにその唾液がまとわりつく。
元々事後に交換する気ではいたものの、汚れる一方だった生地に笑いながら浅くため息をつき、ジェイドはトレイに場所の移動を要求していた。
「んっ……はぁ…トレ…イ?」
「すぐにでも出したいとさっきは思ったが、久々なんだ……だから後でゆっくり、こっちでな…。――…さ、今度は俺がお前にしてやる番だ。どうされるのが好きか……ちゃんと言えよ?」
「?……―――ッ!!」
長らくのあいだ、トレイに名無しの上半身を譲っていた。
そのあいだ、下着が剥がれてどんなに熟れようとも、ジェイドは彼女の陰部に自分から触れることはなかった。
名無しを初めて抱くトレイのことをたて過ぎでは……と、我ながら思いつつ…。
それでも欲求不満だった彼を悦ばせたいという、それはあくまで、ジェイドなりのささやかな配慮だ。
普段から抱き慣れていれば、舐陰なんて簡単に我慢もできた。
「あ……ァ…――」
ここまでされれば、オクタヴィネルの十八番が発生しそうだとトレイが感じるのも当然だろう。
勿論なんの取引もそこにはない。
純粋に、誰も触れずして潤滑を垂らす……。
みずみずしい名無しのそこを、ジェイドは漸くトレイに譲っていた。
「横目には見えていたが……君は本当に…フッ」
「僕はもう何度と舐めていますからね……一瞬揺らぎはしましたが、ふふふ。ほら……そこに痕を付けておわりです」
「そうか……ハハ…、プレッシャーだな。――……ちゃんと感じてくれるかな?お前は……ン」
「問題ないと思いますよ…?トレイさんなら……さて、僕もようやく……ほら、名無し……口を開けてください?」
ベッドでひとり、早くも肩で息をする。
疲弊した姿で寝そべる名無しは、目元の傍、ネクタイに僅かにしみを作っていた。
快楽のあまりと、ずっと閉ざされたその場所にかかる圧迫からなる負担ゆえか、涙が滲み漏れたのだろう。
しっかりとした生地のタイが目視で分かるほど濡れていたのだから、全身に行き渡っていた享楽の凄まじさも、特にトレイにはよく窺えた。
「ジェイ…ド……?」
名無しの額に口付け、ジェイドと場所を交替して、彼女の陰部をいかにもそういう眼差しで見つめる。
自分の息が荒めば荒むほど、よぎるのは射精の二文字だ。
たとえ耐えられていたとしても、トレイは淫靡な彼女を目の前にすることで、その頭はどこまでも扇情的な気持ちにさせられていた。
「?!……ふ、…ぁ……んぅ…ジェ……ぃ」
「ふふふ……当然、キスだとばかり思いましたよね…?僕の指で残念でした……でも、上手に舐められていますよ」
「……ッ?!」
「ああ……トレイさんが、今から貴方のそこを舐めるでしょう?ですから……どういう風にされたいか、ご自身の舌で彼に教えてあげてください」
「ッ……」
欲情する想いを一旦預け、喉を鳴らす……。
トレイは股を開いた名無しの下肢近くへ腰をおろすと、身を捩り、上肢を倒して彼女の両膝を抱いた。
もう、暫くは離すまいとばかりにがっしりとホールドすれば、名無しはそこを自力で閉じることはできなくなっていた。
確かに、汗でずれた眼鏡を手の甲でクイ、と定位置に戻しながらトレイの視界に入ったのは、ジェイドの残したという無数の赤々たちだ。
濃度の違いから、たった今付いたであろう真新しいもの……他には数日前に付いたであろう、深紅めいた色のものまで。
内腿は、色白の綺麗な肌色が汚されているその光景は、ただただ淫猥でしかなかった。
「っ……」
まっすぐ見つめた陰部は何度もそこで呼吸をして、自分やジェイドを今か今かと待っている。
つやつやと甘露が滲み、ひくつく襞から伸びる銀糸がシーツに滴れば、トレイは純粋にそれを勿体ないと感じていた。
そして――。
「名無し……、んん…ちゅ……ン」
「!!ひ、ゃ……!ぁ…ッ――あ……ッ」
「はぁ……ん……んむ」
「ト……レ、…ら……!ふ、……ぃ…」
初めて触れた名無しのそこは、舌が熱でどうにかなるかと思った。
あまりにも火照り、熟れている……これをずっと攻めずにいられたジェイドは、本当に正気だったのかと思わず疑うほどまでに。
名無しのやわらかな陰部はトレイの舌によく馴染み、捩れた腰が、自分からその部位を抱擁するかのように順応していた。
舐めてまだ間もないけれど、これはできれば暫く続けてやりたい……。
そして彼女を心から悦ばせてやりたい、そんな行為のひとつかもしれないと、トレイは男としての自尊心も軽く擽られていた。
「あ…ッ……いや…ト…!!んん……」
熱情孕んだ強い気持ちになってしまえば、自身の膨らみ、怒張した竿の射精欲も、何時何時どうこうと考えている場合ではもはやなくなっていた。
溜まっていても、いよいよ限界が来たかもしれないと思っても、まだなお耐えられると……そういう想いにも自然と傾いた。
ふと、トレイが舐陰を続けながら上を向けば、場所をかわったジェイドは、交替前の自分と同じような体勢をとっている。
なら名無しにいつでもフェラチオさせることは可能である筈なのに、そのとき彼が咥えさせていたのは、いきり勃つ陽物ではなく、自身の指だった。
ただジェイドのしなやかな指を、名無しが舐めるだけ……。
が、その光景は臍の下が幾度と疼くほど、トレイにはあまりにも淫靡に思えたものだった。
「は……んぁ!あ…」
「名無しさん……ほら…どうされると、貴方はもっと可愛い声が出るんでした?是非トレイさんに見せて差し上げなさい」
「ん……ちゅぷ…、ッ…ちぅ……はッ…んん」
「ふふふ……そうですよね?僕の指先が貴方の真っ赤なクリトリスだとしたら、今のこれが大好きなんですよね……。舌先をピンと……根元から回して、ねっとりと嬲るようなクンニが」
「チュ……!!あ…ッ……ぃ…ああ…――」
「!ふふふ……きっと今のがお上手だったんですね。トレイさんも、しっかりと理解ってくださったようですよ?――……これならもう、貴方もすぐに達けるでしょう…ン……」
「あッ……ト…レ……――?!んん……っは、ぁ……!!だめ…ジェイド……ッ」
「だめ?フッ……僕がただ、指を舐めさせるだけで終わるわけがないでしょう?……ン…ちゅ……来ますね、ほら……一番気持ち好い瞬間ですよ?名無し―――」
このとき、トレイは僅かにだけれど、ジェイドに対し淡い嫉妬心を抱いていた。
出会った年月と、肌を重ねた回数は自分には及ばないし、追い付けない。
初めてだったからという事実を差し引いても、必死に名無しの下半身を貪るなか、ジェイドに覚えた悋気が意識を散らした。
「チュ……ん……はぁ…名無し……」
もっとも、そんな感情で興醒めするのもらしくないし、くだらない。
まるで自身の個性のように気持ちを上書きし、切り替えられる強さがあるのもまたトレイという男だろう。
ジェイドはわかっていたのだ。
昂り、息巻いて、下肢に喰らい付く自分がそれをしながら彼女に問うても、肝心の名無しが嬌声だけに喉を囚われ、何も伝えられずに溺れてしまうことを。
どこをどうして欲しいか、ちゃんと受け答えできそうになかったことを。
それじゃあ気持ち好い場所は分からないままだし、手探り、口探りで大体を掴んだところで、的確な位置は未知のままだった。
「名無し……」
名無しに舐陰を再現させたことには驚いたし、感心も謝意も抱けた。
おかげでどうされれば完堕ちするかも……彼女の舌遣いそのものを凝視することで、一瞬で見抜けた。
ジェイドに対する負の思いは、名無しのそこを全力で愛でることで忘れよう……。
そして再び、彼はどうせこんなところまでも読んでもいるのだろうと、頭の片隅でささやかに思いながら―――。
「……お前、こんなに捲られて恥ずかしくないのか?ひくついて、ここまで勃って……ハッ…まるで早く舐めろって、クリに駄々をこねられてるみたいだ……ん、ちゅ」
「あッ……ト…レ……――」
「お前のフェラチオが上手い筈だよな……口の中で、そんな舌遣いをされてたんだと思うとどうにもヤバイ……。それと…可愛いよ、……すごくな」
「!!いや……!ジェ…、っ…トレ……待ってまって……ま――」
「思い切り……イクときはちゃんと聞かせろよ?俺とジェイドに。……乳首もクリも最高に好くしてやる―――」
「イヤ……ッ!もうだめ…いくからダメ……やめ、アッ……!あッいくイクイク…イっ……ッぁ―――ッ」
トレイにとって、名無しのそこを舐めるという行為は、それはそれは待ちに待ったものだった。
前屈みになって貪り付いた下半身。
低位置から臨む柔肌の丘。
悶えた結果、上下に運動する腹部の更に奥に見えるのは、いやらしいふたつの実。
名無しが首を振って背を反った瞬間は、勢いのまま何もせずして、出してしまうんじゃないかと思わず焦った。
こんなに恥ずかしい声を出して、嫌がって、それでもやはり本心とは違う、自分から望んでいるような被虐性癖。
目隠しだって相変わらずだったし、ただ、流石に激しさを物語っているように、名無しのそれは少しずれていた。
結び目はそのままでも、斜めになってしまったその部分は、なんだかとても可愛く思えた。
「ハァ……ッ…ひぁ……―――はぁ…」
トレイは名無しの羞恥なる実演を前に、彼女の腿の付け根を甘く噛んだあとは、じっとりと中心に舌を伸ばした。
これ以上の焦れはもう無理だと、自らが体験している分は素直に愛す。
溢れ出る潤滑を掬い、吸い、わざと喉を鳴らしてそれを飲み込んでもみせた。
身体がシーツの擦れる音に混ざり、嚥下の音色も名無しに聞こえれば、彼女の腰はまたひくついている。
片方の二指で入口を広げ、もう片方の親指で表皮を押し上げると、充血した雌蕊がトレイの前に顔を出し、はしたなくその舌を待ち詫びていた。
それをトレイが舌先で愛で、時計回りやその逆にぐるりと何度も回転させると、届きさえしなかった彼女にとっての絶頂は、一気に手中に圧し迫った。
「チュ……ちゅ…、ハァ……ん…、ちぅ……名無し…?」
「ぁ…、……はぁ……ッ――」
じっくり、ねっとり、時間をかけてやりたかった。
が、そうもいかないほどに追いつめられていた名無しが果てたのは、概ねすぐのことだ。
もっとも、そうは思ってもトレイだって腹の中を黒々と染め上げ容赦なく彼女の芽を暴いていたし、左右にひらつく肉唇にも自身の唾液を塗りたくり、たっぷりと弄んでいた。
陰部だけを避け、散々焦燥感に駆られるがまま全身を舐め回されていた名無しが、少しの舐陰で呆気なく堕ちるのは当然のことだった。
そしてそれに拍車をかけていたのが、トレイともうひとり、ジェイドだろう…――。
「いい子でしたね……轟々と声を上げて……ふふふ」
「ハ…ァ……ん…」
トレイに拘束された下半身は、少し膝を曲げ、妙なM字を象るくらいしか抵抗のしようもなかった。
その曲げた足もトレイの肩甲骨に気持ち乗る程度で、縛られずして取れない身動きのいやらしさと、男二人を前に己の無力さを痛感する。
傍ら、上にはジェイドだ……。
自分を押さえ込むその力はトレイ同様にとても強かで、枕を作ってくれた優しいジェイドは、一瞬で何処かに消え伏せていた。
彼もベッドの外側に長い足を出して座ると、上から名無しを抱き留め、無理やり唇を奪った。
二人にとっては久しく感じるようなそのキス。
交わす直前、トレイのクンニに身を捩り、自然と口を開け甘く啼いていた名無しは、そこで咥内にさらさらと滴るものを感じていた。
「はぁ…はぁ……」
舌の上にポタリと乗ったのは、上から注がれたジェイドの唾液だった。
受け止めきれず口腔と唇にも垂れたそれは、あまりに艶やかでいやらしい。
澄んだ糸を引き、彼の唇と繋がっていたそれが途切れたのは、直後重ねた、猛烈な舌の絡み合いが生じたときだ。
頬を窄めてまで口吸い合う、そのあまりに淫靡なキスもまた、名無しの絶頂を示唆するのにはうってつけの行為だった。
「達った瞬間、またどちらも硬くなってましたよ?貴方の乳首……ふふ。それにひどく仰け反って、頭も振って…実に押さえ甲斐がありました」
「っ……は…ァ…」
激しいキスをして……それからジェイドは、名無しの上半身を逆から覆った。
着ていた制服は前を開けて乱すだけだったけれど、倒されたジェイドの生肌の感触が、名無しの唇に押し当てられ、熱を覚えさせる。
完全に覆うまでは首を舐め、舌を這わしながら胸まで向かっていった。
名無しの両腕に押し返されても、ぴくりとも退かないジェイドは容赦なく彼女の乳房を愛でる。
手は当然の如くふたつの実を揉みしだき、乳輪と乳首は口で攻め立てた。
勿論めいっぱいに水音を奏でながら。
全ては、トレイが下で行っていることと並走するかのように……。
上下で男二人に嬲り尽されれば、名無しが秒で高潮を起こすのも、至極理解に容易かった――。
そして焦れから初めて迎えた大いなるうねりに、全身は痙攣気味、ただ二人のもとで不規則に息をすることしか、彼女にはできなかった―――。
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