素直じゃない彼と鈍感な彼女※露伴・裏あり予定
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岸辺露伴の第一印象は「クールでかっこいい人」だった。
しかし、今になってみれば何を言ってるんだろう、自分の目は節穴だったのかなと思う。
私が初めて岸辺露伴と出会ったのは、アルバイト先のドゥ・マゴだった。
スケッチブックを持ってテラス席に座り、道行く人たちや景色をスケッチしている彼を見て、「あの人ちょーかっこよくない!?」とアルバイト友達とキャアキャア騒いでいたのが彼に関する最古の記憶だ。
確かそのあと店長からコーヒーを彼の席まで運ぶように言われて運ぶと、それまでスケッチブックに釘付けだった彼が顔を上げ、ぱちりと目があった。
長い睫毛に縁取られた綺麗なエメラルド色の瞳でじぃ、と私の顔を凝視したあとにフッと小さく笑って「ありがとう」と言われたことに喜んでた頃もあったなあ。
その後も何度か岸辺露伴はドゥ・マゴに来るようになり、「変わった服装してるしよくスケッチしてるから美大生かな?目の保養だよねー」なんてよくアルバイト友達と話していた。
彼とは短い言葉しか交わしたことがなかったが、目を惹く容姿と、真剣な顔をして毎日一生懸命スケッチをしている姿を見てかっこいいなあ、なんて思っていた。
アルバイト友達は、「あの人よくなまえのこと見てるよね、なまえ美人だもんなあ。連絡先聞いてみたら?」なんて笑っていた。
あんなかっこいい人と連絡先交換できたらいいなあとか思った時もあったっけなあ……
以上が岸辺露伴に関する良い記憶の全てだ。
第一印象が大事、なんてよく言うけど、岸辺露伴に関しては真逆だった。
第一印象はよかったが、この後『ドゥ・マゴによく来るかっこいいお兄さん』、なんて幻想は見事に打ち砕かれることになった。
ある日の朝、スタンド使い同士だとわかり、最近仲良くなった仗助と億泰がこれまたスタンド仲間の康一くんを尾行していた。
どうやらあの真面目な康一くんが朝から学校と反対方向に向かっているらしい。
スタンド使いに関わっているのではないかと思った私たち3人は、康一くんが入っていったおうちを観察することにした。
玄関チャイムを押す前に、仗助が「危ないかもしれないからなまえさんは物陰から見ててくださいッス」と言うから、私は近くの木のそばに隠れて見ていた。
玄関から出てきた康一くんの手は血だらけになっていて、本人の口調は明るいがその手が異常事態を表していた。
康一くんはここ漫画家の家なんだ、一緒に見て行かない?と言っていたが、仗助たちは断った。
仗助たちは帰るフリをして、仗助は玄関から、億泰と私は窓からこの岸辺という人の家に侵入しようと決めた。
先に窓から侵入した億泰を眺めながら、立派な家だなあ、漫画家と言っていたが、結構売れっ子なのかなあ、なんて思っていた。
中から億泰と康一くんと誰かの声が聞こえる。
耳を凝らして聴くと、その人物はザ・ハンド…形兆…と言っていた。
なんかどこかで聞いたことがある声だけど、どこでだろう。
そんなことよりまずい、億泰のスタンドがバレてる!
そう思い、急いで窓へ向かう。
私が窓から顔を出した瞬間、億泰の体が本のページようにペラペラになっている姿を見てしまった。
「億泰!!」「億泰くん!!」
よく見ると康一くんも同じように本みたいな姿にされている。
康一くんと億泰をこんな姿にしやがったスタンド使いであろう人間の方に顔を向けると、予想外の人物で目を見開いた。
「え………あなた、ドゥ・マゴの………」
ドゥ・マゴによく来る憧れのお兄さんがスタンド使いであったことや、康一くんと億泰を本にした張本人であること、そして漫画家であったことに驚き、うまく声が出ない。
彼も私と同様に目を一瞬見開いて、「君がなぜここに…」と言いこちらを見つめていたが、どうやら私を敵だと認識したらしい。
すぐに不敵な笑みを浮かべ、「まあいい、君も見ておこう」と漫画の原稿らしきものを私の前に見せつける。
まんまと原稿を見てしまった私は、一瞬遅れてスタンドで攻撃しようとするも、全く体が動かなくなっていた。
自分の体を見ると、腕や手が本のような状態になってしまっている。
本にされてしまった私は、スタンドを出すことも体を動かすこともできないまま、ただ目の前にいる男を睨みつけることしかできない。
男は私の睨みなんぞ痛くも痒くもない、と言った顔で私の前に座る。
「康一くんのファイルにも書いてあったが…君もスタンド能力を持っているとはね」
彼は私の顔のページをめくると同時に、私の個人情報をベラベラと口にし始めた。
「名前はなまえ。20歳。ぼくと同い年か。彼氏はいない。スリーサイズは…へぇ、見た目よりも胸が大きいな」
この男は何を言ってるの!?しかもこの前はかったばかりのスリーサイズまで正確に読まれている!
下着のサイズまで読み上げられ、抵抗をしようとしても体を動かすことすらできず、プライベートな情報がバレてしまっているショックからただ口をパクパクと開閉させることしかできない。
ペラペラと私の個人情報を口に出す男は楽しそうに、
「君、男性経験が一度もないじゃあないか。彼氏もいたことがない、キスもしたことない、君は正真正銘の処女だ!ハハハハハ!!」
と大声で笑った。
このクソ男ッ!!私が一番気にしていることを康一くんと億泰と、扉越しにいる仗助にわざわざ聞こえるように大声で言ったな!!
康一くんは顔を真っ赤にして「やめてください!」なんて言ってるし、億泰はこんな状況なのに「まじかよォ〜なまえ、そんなに胸デカかったのかぁ?」なんて間抜けな声を出している。億泰、違う!そうじゃない!!
多分仗助にもバッチリ聞こえているだろう。やめてくれ。みんな聞かなかったことにしてほしい。
多分今私は死にそうな顔をしていると思う。
本にされてて自分では見えないけど。
それだけにとどまらず、このクソ男は面白いものを見たと言った顔をしてニヤリと笑って私の耳に唇を寄せ、私にしか聞こえないくらいの声で囁いてきた。
「『ドゥ・マゴによく来て絵を描いてる、緑の髪のかっこいいお兄さんと仲良くなりたいなあ』って君の顔に書いてあるけど、これって僕のことだよなァ?なまえ」
「なっ……」
その通りだ。だってこんなやつだと思ってなかったんだもの!
本人に仲良くなりたいと思っていたことを知られてしまった恥ずかしさと、不意打ちで名前を耳元で囁かれたせいで、火が出そうなほど顔が熱い。
口角を上げて嬉しそうな顔をした彼の顔が至近距離に見え、真っ赤な顔のまま彼のエメラルド色の瞳を睨みつけた。
「君も、僕と同じ気持ちだったんだな」
と再度耳元で囁くと、一瞬嬉しそうな表情をしたあとに、くるりと体を反対方向に向け、また椅子に座り直した。
その後このクソ男は仗助を呼び煽り散らかした。
億泰に火をつけさせて仗助を炙り出したところで、仗助の髪をけなしてプッツンさせてしまった。
全員の予想を裏切り、髪型をけなされた仗助はあまりの怒りで何も見えていなかったらしく、この岸辺露伴という男は仗助にボコボコにされて本棚の下に生き埋め状態になった。
彼がボコボコにされたことにより、私と億泰と康一くんの体は元通りになる。
仗助がなぜ髪型を貶されたら怒るのかという感動する話を聞き、ボロボロになりながらも一生懸命に康一くんの話をメモする男に、私たちは一周回って尊敬の気持ちが芽生えた。
だがしかし、それとさっきの仕打ちとは話が別だ。
さようなら。私の憧れだった人。
「覚悟、できてますよね、キシベロハンさん」
私は笑って渾身のパンチを彼の頬に一発お見舞いした。
しかし、今になってみれば何を言ってるんだろう、自分の目は節穴だったのかなと思う。
私が初めて岸辺露伴と出会ったのは、アルバイト先のドゥ・マゴだった。
スケッチブックを持ってテラス席に座り、道行く人たちや景色をスケッチしている彼を見て、「あの人ちょーかっこよくない!?」とアルバイト友達とキャアキャア騒いでいたのが彼に関する最古の記憶だ。
確かそのあと店長からコーヒーを彼の席まで運ぶように言われて運ぶと、それまでスケッチブックに釘付けだった彼が顔を上げ、ぱちりと目があった。
長い睫毛に縁取られた綺麗なエメラルド色の瞳でじぃ、と私の顔を凝視したあとにフッと小さく笑って「ありがとう」と言われたことに喜んでた頃もあったなあ。
その後も何度か岸辺露伴はドゥ・マゴに来るようになり、「変わった服装してるしよくスケッチしてるから美大生かな?目の保養だよねー」なんてよくアルバイト友達と話していた。
彼とは短い言葉しか交わしたことがなかったが、目を惹く容姿と、真剣な顔をして毎日一生懸命スケッチをしている姿を見てかっこいいなあ、なんて思っていた。
アルバイト友達は、「あの人よくなまえのこと見てるよね、なまえ美人だもんなあ。連絡先聞いてみたら?」なんて笑っていた。
あんなかっこいい人と連絡先交換できたらいいなあとか思った時もあったっけなあ……
以上が岸辺露伴に関する良い記憶の全てだ。
第一印象が大事、なんてよく言うけど、岸辺露伴に関しては真逆だった。
第一印象はよかったが、この後『ドゥ・マゴによく来るかっこいいお兄さん』、なんて幻想は見事に打ち砕かれることになった。
ある日の朝、スタンド使い同士だとわかり、最近仲良くなった仗助と億泰がこれまたスタンド仲間の康一くんを尾行していた。
どうやらあの真面目な康一くんが朝から学校と反対方向に向かっているらしい。
スタンド使いに関わっているのではないかと思った私たち3人は、康一くんが入っていったおうちを観察することにした。
玄関チャイムを押す前に、仗助が「危ないかもしれないからなまえさんは物陰から見ててくださいッス」と言うから、私は近くの木のそばに隠れて見ていた。
玄関から出てきた康一くんの手は血だらけになっていて、本人の口調は明るいがその手が異常事態を表していた。
康一くんはここ漫画家の家なんだ、一緒に見て行かない?と言っていたが、仗助たちは断った。
仗助たちは帰るフリをして、仗助は玄関から、億泰と私は窓からこの岸辺という人の家に侵入しようと決めた。
先に窓から侵入した億泰を眺めながら、立派な家だなあ、漫画家と言っていたが、結構売れっ子なのかなあ、なんて思っていた。
中から億泰と康一くんと誰かの声が聞こえる。
耳を凝らして聴くと、その人物はザ・ハンド…形兆…と言っていた。
なんかどこかで聞いたことがある声だけど、どこでだろう。
そんなことよりまずい、億泰のスタンドがバレてる!
そう思い、急いで窓へ向かう。
私が窓から顔を出した瞬間、億泰の体が本のページようにペラペラになっている姿を見てしまった。
「億泰!!」「億泰くん!!」
よく見ると康一くんも同じように本みたいな姿にされている。
康一くんと億泰をこんな姿にしやがったスタンド使いであろう人間の方に顔を向けると、予想外の人物で目を見開いた。
「え………あなた、ドゥ・マゴの………」
ドゥ・マゴによく来る憧れのお兄さんがスタンド使いであったことや、康一くんと億泰を本にした張本人であること、そして漫画家であったことに驚き、うまく声が出ない。
彼も私と同様に目を一瞬見開いて、「君がなぜここに…」と言いこちらを見つめていたが、どうやら私を敵だと認識したらしい。
すぐに不敵な笑みを浮かべ、「まあいい、君も見ておこう」と漫画の原稿らしきものを私の前に見せつける。
まんまと原稿を見てしまった私は、一瞬遅れてスタンドで攻撃しようとするも、全く体が動かなくなっていた。
自分の体を見ると、腕や手が本のような状態になってしまっている。
本にされてしまった私は、スタンドを出すことも体を動かすこともできないまま、ただ目の前にいる男を睨みつけることしかできない。
男は私の睨みなんぞ痛くも痒くもない、と言った顔で私の前に座る。
「康一くんのファイルにも書いてあったが…君もスタンド能力を持っているとはね」
彼は私の顔のページをめくると同時に、私の個人情報をベラベラと口にし始めた。
「名前はなまえ。20歳。ぼくと同い年か。彼氏はいない。スリーサイズは…へぇ、見た目よりも胸が大きいな」
この男は何を言ってるの!?しかもこの前はかったばかりのスリーサイズまで正確に読まれている!
下着のサイズまで読み上げられ、抵抗をしようとしても体を動かすことすらできず、プライベートな情報がバレてしまっているショックからただ口をパクパクと開閉させることしかできない。
ペラペラと私の個人情報を口に出す男は楽しそうに、
「君、男性経験が一度もないじゃあないか。彼氏もいたことがない、キスもしたことない、君は正真正銘の処女だ!ハハハハハ!!」
と大声で笑った。
このクソ男ッ!!私が一番気にしていることを康一くんと億泰と、扉越しにいる仗助にわざわざ聞こえるように大声で言ったな!!
康一くんは顔を真っ赤にして「やめてください!」なんて言ってるし、億泰はこんな状況なのに「まじかよォ〜なまえ、そんなに胸デカかったのかぁ?」なんて間抜けな声を出している。億泰、違う!そうじゃない!!
多分仗助にもバッチリ聞こえているだろう。やめてくれ。みんな聞かなかったことにしてほしい。
多分今私は死にそうな顔をしていると思う。
本にされてて自分では見えないけど。
それだけにとどまらず、このクソ男は面白いものを見たと言った顔をしてニヤリと笑って私の耳に唇を寄せ、私にしか聞こえないくらいの声で囁いてきた。
「『ドゥ・マゴによく来て絵を描いてる、緑の髪のかっこいいお兄さんと仲良くなりたいなあ』って君の顔に書いてあるけど、これって僕のことだよなァ?なまえ」
「なっ……」
その通りだ。だってこんなやつだと思ってなかったんだもの!
本人に仲良くなりたいと思っていたことを知られてしまった恥ずかしさと、不意打ちで名前を耳元で囁かれたせいで、火が出そうなほど顔が熱い。
口角を上げて嬉しそうな顔をした彼の顔が至近距離に見え、真っ赤な顔のまま彼のエメラルド色の瞳を睨みつけた。
「君も、僕と同じ気持ちだったんだな」
と再度耳元で囁くと、一瞬嬉しそうな表情をしたあとに、くるりと体を反対方向に向け、また椅子に座り直した。
その後このクソ男は仗助を呼び煽り散らかした。
億泰に火をつけさせて仗助を炙り出したところで、仗助の髪をけなしてプッツンさせてしまった。
全員の予想を裏切り、髪型をけなされた仗助はあまりの怒りで何も見えていなかったらしく、この岸辺露伴という男は仗助にボコボコにされて本棚の下に生き埋め状態になった。
彼がボコボコにされたことにより、私と億泰と康一くんの体は元通りになる。
仗助がなぜ髪型を貶されたら怒るのかという感動する話を聞き、ボロボロになりながらも一生懸命に康一くんの話をメモする男に、私たちは一周回って尊敬の気持ちが芽生えた。
だがしかし、それとさっきの仕打ちとは話が別だ。
さようなら。私の憧れだった人。
「覚悟、できてますよね、キシベロハンさん」
私は笑って渾身のパンチを彼の頬に一発お見舞いした。
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