Short
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もう死にたい……お嫁に行けない……」
ベッドに頭を打ちつけながら死にたい、と何度も呟く。
10分前、私は人生で一番の失態を犯してしまった。
時間を巻き戻せるスタンド使いか、記憶を消せるスタンド使いがいるならすぐに私と契約して欲しいくらいだ。
なぜ私がこんなに死にたい、と連呼しているかというと、すべては10分ほど前の出来事のせいだ。
遡ること10分前、ブチャラティは私の部屋のドアにジッパーを取り付け、中に侵入してきた。
そして彼は……下品だからあまり言いたくないが……私の一人エッチを目撃してしまった。
ブチャラティは何か用事があって私の家を訪れた。
そして彼は、ブチャラティの名前を呼びながら喘ぐ私の声を聞き、敵スタンドに襲われていると思ったのだろう。
私の家のドアにジッパーを取り付け、「なまえ !大丈夫かッ!」と焦った表情で部屋に入ってきた。
しかし彼が見たものは敵スタンドに襲われている姿ではなく、スーツをはだけさせ、自分の指でマス…から始まる行為に耽る姿だった。
彼と目があった時、完全に時が止まっていたと思う。これが噂に聞くザ・ワールドかと思うくらい。
お互い3秒ほど固まったあと、ブチャラティは低い声で「…すまない」と言い、扉につけたジッパーを閉じて帰っていった。
残された私は、絶頂に達せぬまま、かと言って再開する気にもなれず、ベッドに頭を打ち付けることしかできなかった。
私が一人でこんな行為をしていたのにも理由がある。
任務のため、今朝までの2日間ブチャラティと二人きりで行動をしていたからだった。
パッショーネに入るきっかけとなった彼のことを、私はずっと想っていた。
今回の任務で、天然なブチャラティが私の腰を抱いたり、耳元で囁いたり、胸元に抱き留められたりしたせいで私の理性は無くなる寸前だった。
ギリギリで理性を保って敵を倒し、任務は遂行できた。
理性を保つのに限界だった私は、今朝アジトで解散をしてから猛スピードで自宅へ帰り、シャワーを浴びる前に一人での行為を始めた。
任務中のブチャラティの声や体温、時折見せる笑った顔を思い出す。
「好きだ、なまえ」と耳元で囁かれる想像をしながら何度も彼の名前を呼び、指で自分を慰めた。
あれから30分くらい経っただろうか。
頭を打ち付けることにも疲れて、気晴らしに買い物でも行くか…と腰を上げた。
大人なブチャラティのことだ、何も見なかったことにしていつも通り接してくれるだろう。 死にたい気持ちに変わりはないけれど、落ち込んでいても何も解決しない。
パーっとショッピングでもして忘れようと思い、シャワーを浴びる。
少しでもテンションが上がるように、メイクもいつもより気合を入れて、お気に入りの服に着替える。
バッチリときめた姿を鏡でチェックしてから、玄関ドアを開ける。
ドアを開けて外に一歩出ると、今一番会いたくないブチャラティが私の横に立っていた。
まさかの出来事に顔を真っ青にして絶句する私に、彼は困ったように眉尻を下げて笑いかける。
あれから1時間以上は経っていたのにブチャラティが帰っていなかったことに驚いた。
驚きときまずさでドアを開けたまま固まっていると、ブチャラティは「部屋で話そう」と言い、私の腕を掴んで勝手に玄関まで勝手に入ってきた。
「なまえ、オレが何故ここに来たか、分かるか?」
「まさか、今朝の任務にやり残しがあったとか…?」
そういえば、ブチャラティが私の部屋に来るなんて任務関連でしかないだろう。
もしやり残したことがあったなら最悪だ。
任務もまともにできず、あんな姿を見られるなんて………
しかしその不安はすぐに否定された。
「いや、任務は完璧だった」
…とりあえずよかった、任務は遂行できていたみたいだ。
あれ、任務じゃないとしたらブチャラティは何故私の部屋に来たんだろう。余計にわからなくなってしまった。
「??」
困惑した顔でブチャラティを見ると、彼は今まで見たこともないくらい優しい顔をして笑っていた。
ブチャラティは私の髪を撫でながら、
「今日、オレはお前に告白しに来たんだ」
と言った。
「告白…?告白って…」
と言う私の言葉を遮るかのように、私の唇に彼の人差し指を当てる。
ブチャラティの仕草一つ一つに、心臓が飛び出そうなほどドクドクと音を立て、顔がどんどん熱くなっていくのを感じる。
ブチャラティの顔を見ることができなくて、目をぎゅっと瞑った。
目を瞑ったままにしていると、近くでジッパーの音が聞こえたので。そっと目を開ける。
するといままでどこに隠していたのか、花束が私の目の前に差し出されていた。
「オレは君のことが好きだ、なまえ」
予想もしていなかった言葉に、驚いて目を丸くさせる。
ブチャラティの顔を見ると、長い睫毛に縁取られた深いブルーの瞳が私を真っ直ぐに見つめていた。
「私も、出会った時からずっと…好き」
と答えると、ブチャラティは優しく微笑んだ。
花束を持っていない方の手で私の腰を抱き、ブチャラティの顔がゆっくりと近づいてくる。
キスを受け入れるようにそっと目を閉じると、ブチャラティの唇が私の唇と重なった。
彼の厚い唇が触れるだけのキスを数回繰り返し、離れていく。
「驚いたか?」といたずらっぽい表情をして私を抱きしめた。
「今日一日驚きっぱなしだよ…ブチャラティのせいで」
と嫌味を込めて言うと
ブチャラティは楽しそうにハハ、と笑っていた。
**************
ブチャラティの困ったような笑顔がディ・モールト好きです。