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「ねえ、修二にとって、私の存在って…何?」
「何ってそりゃあ…友達やろ」
そう、私と修二は「友達」である。勿論ただの友達ではないが、他人に説明する時の関係性は文字通り「友達」である。肌に何も纏わないまま彼の部屋で朝を迎え、目が覚めるとこちらに背を向けていた修二の胸板に、虚しくも私は腕をまわしていた。
修二は特定の彼女を作らない。それを了承して私は彼の「友達」になった。「友達」から「彼女」に昇格する可能性は0%だと、それを了承して私は彼の「友達」になった。最初は彼と肌を重ねられるだけで、ただただ幸せだったから。これ以上はきっと彼の機嫌を損ねるだろうと、ここから先の追求はやめて口を噤んだ。
こちらの気持ちも露知らず、呑気にベッドから抜け出しカーテンをあける修二の、引き締まった身体を暫く眺めていた。この褐色の肌が、数時間前までは激しく私の身体を求めていた。修二にとってその行為はただの毎日のルーティーン、ありふれたスポーツの1つで、反して私にとっては幾度もの絶頂を思い出すだけで頬が火照り全身がじんわりと熱くなる。彼の大きな手が、ゴツゴツした指が触れた場所も、耳元で優しく掛けてくれた言葉も、私の脳が耳が身体が全て覚えているというのに。彼は絶対に肌にキスマークを残さない。それは優しさと言うよりは独占欲の無さの表れのようだと私は思う。
「いつも通りコーヒーでええ?用意しとくな」
任せきりが心苦しくなり、起き上がった私を、まだゆっくり寝ててええよと彼が制した。その優しさや気遣いに不覚にも胸がきゅううと苦しくなる。わかってる、彼が優しいのは私にだけじゃない。彼はいつも余裕たっぷりで、誰にでも優しくて、女の子の扱いに慣れている。私にだけ特別扱いをしているんじゃない。彼にとってはごく普通にできてしまう、なんてことない行為だ。
私が修二と繋がっていることを知ると、友人たちはどうやったらあの種ヶ島修二と繋がれるのかと誰もが不思議がる。そんなの、修二を観察していれば簡単じゃない。彼は絶対に自分からは声をかけない。だけど来る者は拒まない。必要なのは、自分から声をかける勇気と、身体を差し出す覚悟。ただそれだけ。他の女の子にはそれが無く、私と私以外の「友達」にはそれがあった。ただ、それだけ。
「昨日もめちゃくちゃ気持ちよかったで」
「…私も」
「俺たちホンマに相性ええなあ」
身体だけはね、という私の皮肉は口から出ることはなかった。修二はくしゃっと笑って、ベッドの上、毛布にくるまる私のおでこに唇を押し当てた。もっと、もっと。彼が本当に拒むことがないのなら。もっと、もっと、可愛く大胆に振舞って、沢山甘えて困らせて、振り回して、そんなことができたらいいのに。きっと、彼の「友達」の中にはそんな女の子もいるはずなのに。それなのに自由奔放に振舞って、「身体だけで繋がっている友達」の関係が壊れてしまうことが怖くて、そんな彼に虚しく縋って、執着して、私はいったい何をやっているんだろう。
「私、修二とするの、好きだよ」
「嬉しいこと言ってくれるやん。俺もやで」
ベッドに腰を下ろした修二は、私を覆う毛布を剥ぎ取り後ろから私を抱きしめた。修二の香りと、昨晩の熱を思い出させる汗の香りが、頭をクラクラさせる。私が好きなのはあくまでも修二との行為だと釘をさすのを私は忘れない。修二は特定の彼女を作らない。依存相手を作らない。自分に恋愛感情を抱く女の子は相手にしない。でもきっと、修二は私の気持ちに気づいている。奥の底が見えない彼の瞳がそれを物語っている。私が口に出して言うまで、もしくは私が勝手に去っていくまでは、手元に置いておいてくれるつもりなんだろう。
「コーヒー、冷めてもええ?」
修二の方を振り向くと、ふわりと唇が降りてきた。優しく、啄むようなキス。擦れ合う肌の生暖かさが心地よい。
「どうしたの?珍しい」
「んー、たまにはもうちょっと一緒にいてもええかなーって」
「ふふ、嬉しい」
溺れていく。種ヶ島修二に。ここから抜け出すことは容易ではないと知りながら。身を抉るような苦しみが待ち受けていると知りながら。私の心が限界に達するまで、「友達」の関係はきっと続いていく。
深く、深くなる修二からのキスに、私は身も心も全てを委ねた。
「何ってそりゃあ…友達やろ」
そう、私と修二は「友達」である。勿論ただの友達ではないが、他人に説明する時の関係性は文字通り「友達」である。肌に何も纏わないまま彼の部屋で朝を迎え、目が覚めるとこちらに背を向けていた修二の胸板に、虚しくも私は腕をまわしていた。
修二は特定の彼女を作らない。それを了承して私は彼の「友達」になった。「友達」から「彼女」に昇格する可能性は0%だと、それを了承して私は彼の「友達」になった。最初は彼と肌を重ねられるだけで、ただただ幸せだったから。これ以上はきっと彼の機嫌を損ねるだろうと、ここから先の追求はやめて口を噤んだ。
こちらの気持ちも露知らず、呑気にベッドから抜け出しカーテンをあける修二の、引き締まった身体を暫く眺めていた。この褐色の肌が、数時間前までは激しく私の身体を求めていた。修二にとってその行為はただの毎日のルーティーン、ありふれたスポーツの1つで、反して私にとっては幾度もの絶頂を思い出すだけで頬が火照り全身がじんわりと熱くなる。彼の大きな手が、ゴツゴツした指が触れた場所も、耳元で優しく掛けてくれた言葉も、私の脳が耳が身体が全て覚えているというのに。彼は絶対に肌にキスマークを残さない。それは優しさと言うよりは独占欲の無さの表れのようだと私は思う。
「いつも通りコーヒーでええ?用意しとくな」
任せきりが心苦しくなり、起き上がった私を、まだゆっくり寝ててええよと彼が制した。その優しさや気遣いに不覚にも胸がきゅううと苦しくなる。わかってる、彼が優しいのは私にだけじゃない。彼はいつも余裕たっぷりで、誰にでも優しくて、女の子の扱いに慣れている。私にだけ特別扱いをしているんじゃない。彼にとってはごく普通にできてしまう、なんてことない行為だ。
私が修二と繋がっていることを知ると、友人たちはどうやったらあの種ヶ島修二と繋がれるのかと誰もが不思議がる。そんなの、修二を観察していれば簡単じゃない。彼は絶対に自分からは声をかけない。だけど来る者は拒まない。必要なのは、自分から声をかける勇気と、身体を差し出す覚悟。ただそれだけ。他の女の子にはそれが無く、私と私以外の「友達」にはそれがあった。ただ、それだけ。
「昨日もめちゃくちゃ気持ちよかったで」
「…私も」
「俺たちホンマに相性ええなあ」
身体だけはね、という私の皮肉は口から出ることはなかった。修二はくしゃっと笑って、ベッドの上、毛布にくるまる私のおでこに唇を押し当てた。もっと、もっと。彼が本当に拒むことがないのなら。もっと、もっと、可愛く大胆に振舞って、沢山甘えて困らせて、振り回して、そんなことができたらいいのに。きっと、彼の「友達」の中にはそんな女の子もいるはずなのに。それなのに自由奔放に振舞って、「身体だけで繋がっている友達」の関係が壊れてしまうことが怖くて、そんな彼に虚しく縋って、執着して、私はいったい何をやっているんだろう。
「私、修二とするの、好きだよ」
「嬉しいこと言ってくれるやん。俺もやで」
ベッドに腰を下ろした修二は、私を覆う毛布を剥ぎ取り後ろから私を抱きしめた。修二の香りと、昨晩の熱を思い出させる汗の香りが、頭をクラクラさせる。私が好きなのはあくまでも修二との行為だと釘をさすのを私は忘れない。修二は特定の彼女を作らない。依存相手を作らない。自分に恋愛感情を抱く女の子は相手にしない。でもきっと、修二は私の気持ちに気づいている。奥の底が見えない彼の瞳がそれを物語っている。私が口に出して言うまで、もしくは私が勝手に去っていくまでは、手元に置いておいてくれるつもりなんだろう。
「コーヒー、冷めてもええ?」
修二の方を振り向くと、ふわりと唇が降りてきた。優しく、啄むようなキス。擦れ合う肌の生暖かさが心地よい。
「どうしたの?珍しい」
「んー、たまにはもうちょっと一緒にいてもええかなーって」
「ふふ、嬉しい」
溺れていく。種ヶ島修二に。ここから抜け出すことは容易ではないと知りながら。身を抉るような苦しみが待ち受けていると知りながら。私の心が限界に達するまで、「友達」の関係はきっと続いていく。
深く、深くなる修二からのキスに、私は身も心も全てを委ねた。
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